ポージーの守りたかった大切な人とは
現地2020年7月10日、やはりというか、ある程度予想はしていましたが、残念と言わざるを得ないニュースが入ってきました。
サンフランシスコ・ジャイアンツの正捕手でクラブのキーマンでもあるバスター・ポージー(Buster Posey)がクラブを通じ、2020シーズンのオプトアウト(=参加しない)を表明しました。
サマーキャンプ参加も休みの日が多かった
現地7月3日から本格的に始まったサマー・キャンプですが、バスター・ポージーはもちろん60manプールに選ばれていましたが、最初の7日のうち3日休んでおり、コメントなどを見ていても2020シーズンのオプトアウトが予想されていました。
わがままで休んだのではなく、クラブ側と連携し合い、別メニューのような動きになっていました。
オプトアウトの理由は健康配慮
ポージーのオプトアウトの決断の理由はやはり新型コロナウィルスに対する健康懸念です。
そしてその理由で決断をする人は、守りたい人がいるという背景があります。本人は野球がしたくして仕方ないものの、愛する人に最悪のことが起こったら・・・と考え、タフ・デシジョン(難しい決断)に心を悩ませるケースが目立ちます。
守るべき人は、双子の赤ちゃん
今回、バスター・ポージーがオプトアウトを決断したのは、生まれたばかりの双子の女の子がいたためです。
アダ(Ada)と(リヴィ 発音をもとに表記)Livviと名付けられた双子の女の子たちは、早産により現在、新生児集中治療室におります。安定はしているものの、今後数ヶ月はナイーブな状態が続きます。
そしてポージーとクリステンさんは彼女たちを養子に迎えていたのでした。
9日に正式に養子が決まったばかり
さきほどのポージーのサマー・キャンプでのワークアウト参加日が少なかった理由でもあったのですが、ポージーとクリステンさんは養子縁組にずっとチャレンジしており、アダとリヴィの養子縁組が決まったのは実は現地2020年7月9日(木)のこと。
アメリカのテレビ・ドラマ・シリーズでも養子縁組の難しさはたまに取り上げられます。『ブラック・リスト』でもそのようなシーンがありました。
ポージーほどの衆目の紳士であっても受け入れ側として適切かどうか慎重に審査されるということですね。ほぼ、ミスター・アメリカのような人なんですけどね。
よって、縁があるかもしれないとなれば、チャレンジしていくしかありません。その手続や審査があったため、ワークアウトの参加率が落ちていたのでした。
8才の双子のお子さんもいるよ
ポージー夫妻は過去にも養子縁組を成立させており、リー(Lee)とアディソン(Addison)と名付けられている二人のお子さんも双子。そして8才になります。
お子さんを手放すにはいろいろな事情があります。ましてや双子となると経済的な事情でそうなったのかもしれません。誰かが受け入れることでその子達の人生の手助けになれば、こんな素晴らしいことはありません。
ポージー夫妻はとにかく優しいとしか言えませんね。
とにかく、ポージーは生命の危険もある双子の赤ちゃんへの健康配慮、そしてすでにいる8才の双子のお子さんへの健康懸念から2020年オプトアウトを決断したのでした。
サラリーは支払われず
バスター・ポージーの2020年のベース・サラリーは$21.4Mで、60試合の日割りでフルサラリーで37%ほどになるため、$7.92Mが支払われる予定でしたが、リーグとMLBPAの協約上、自主的な不参加となった場合は支払われません。
契約は2013年に9年$167M(2013-21)でサインしており、あと1年残っています。2022年はクラブオプションです。
ポージーの略歴
バスター・ポージーの略歴を記しておきたいと思います。
現地2020年7月10日時点で33才。2008年ジャイアンツの1巡目指名で全体順位は5位。デビューは翌年の2009年。すごい経歴です。
- 2010 NY ROY (ルーキー・オブ・ザ・イヤー)
- オールスター出場:6度
- 2012 NL MVP
- 2012 ハンク・アーロン・アワード
- 2012 バッティング・タイトル(=打率).336 でNL1位
- 2012 カムバック・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー
- ウィルソン・ディフェンシブ(捕手):2度(2015-16)
- 2016 ゴールド・グラブ賞
- ワールドシリーズ: 3度
- シルバースラッガー賞:4度(2012/2014/2015/2017)
- 通算安打:1,380 (2020年7月11日時点)
- 通算HR:140(2020年7月11日時点)
ホーム・コリジョン・ルールのきっかけ
そしてバスター・ポージーで忘れてはいけないのは、大怪我ですね。2011年、5月25日のことでした。フロリダ・マーリンズ戦。あまりにひどい怪我だったので、これ以上は書きません。この大事故がきっかけでホームコリジョン・ルールが2014シーズンから発動となりました。
ジャイアンツ、捕手補強を図るか?
ポージーのシーズンオプトアウトが決まったジャイアンツは大変です。ポージーの代わりとなる捕手を見つけなければなりません。
ポージーがいた以上、ジャイアンツは今オフ、捕手を補強しませんでした。
アラミス・ガルシアがトップ
ジャイアンツは2019年、バックアップ捕手として、スティーブン・ボートとエリック・クラッツを起用。しかし、二人ともすでに流出しており、スティーブン・ボートはDバックスのメジャー・ロスター、エリック・クラッツはヤンキースとマイナー契約。
現地2020年7月10日時点の候補は、アラミス・ガルシア(Aramis Garcia)、27才。過去2年で計37試合に出場。105打数で計6HRですから、少ないチャンスをものにするため集中力のある捕手であるとも言えます。どちらかと言うと、打撃が得意な捕手とも言えるでしょう。
この危機にジャイアンツがどう決断するか?補強するのか、あるいは思い切って若手を使うのか?若手を使ってゲームを壊せばショートシーズンゆえにかなり悲惨な結果にもなります。そのリスクを承知でやりきるかどうかですね。
2018年1巡目のジョーイ・バート
他には、30才のロブ・ブラントリー(Rob Brantly)もおります。2019年はフィリーズでメジャーの試合に1試合出場。むしろマイナーの経験の方が長い選手。
あるいはトップ・プロスペクトのジョーイ・バート(Joey Bart)を一気にデビューさせるか。彼は23才で、2018年ジャイアンツ1巡目指名、全体2位の選手。
もしくは補強。どこまで準備出来ているのか不明ですが、ドジャースにいたラッセル・マーティンが未契約FAの捕手の筆頭としては挙げられます。
ザイディさん(ベースボール・オペレーション・プレジデント)がどのような知恵を使うのか見ものです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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