ブルージェイズ、風向きが変わる
D.J. ルメイヒューを始め、色々なディールに参戦しつつも、ことごとく振られていたトロント・ブルージェイズですが、メッツのジャレッド・ポーターGMの解雇が決まってから、なぜか風向きが変わり、続けざまにディールを成立させています。
まずは投手の2つのディールについて記載したいと思います。
1つ目はクローザー獲得の報です。
TOR、カービー・イェーツを獲得
現地2021年1月19日、ブルージェイズはパドレスからFAのカービー・イェーツ( Kirby Yates)と合意に至りました。
契約内容
ブルージェイズとカービー・イェーツは1年$5.5M保証で合意。この契約には$4.5Mのパフォーマンスボーナスもプラスされる見込みです。
2021年1月時点でのMLSが6.021のカービー・イェーツの2020年のサラリーは調停を避けて1 年/$7.0625M (2020)。今季はベースサラリーで前年より下がりましたが、その分パフォーマンスボーナスでカバーしようという内容になっています。ボーナスの詳細などが出ましたら、追って記載いたします。
背景
2020シーズンはもともとケン・ジャイルズをクローザーに起用するプランであったブルージェイズですが、ケン・ジャイルズはシーズン途中で肘を痛め、4試合のみの登板に終わります。そして2020年9月30日にトミー・ジョン手術を受ける事態に。
ケン・ジャイルズの代わりにクローザーを務めたのがアンソニー・バス。若い頃はパドレスの期待の右腕で、2016年には日本ハムでも投げましたね。2020年、アンソニー・バスは14フィニッシュで7セーブをマーク。
しかし、今オフは二人ともFA。トミー・ジョン手術の身でFAとなったケン・ジャイルズは気の毒としか言いようがありませんが、とにかくブルージェイズはクローザー・ロールの投手を探す必要がありました。
イェーツは2019年に41セーブ
今回、カービー・イェーツを獲得するに至ったわけですが、カービー・イェーツは2017年から2019年まで3年連続で60試合以上に登板という素晴らしい実績を持った投手。
特に2019年は際立っていて、60試合、60.2イニングに登板し、0勝5敗、41セーブをマーク。この年のERAはなんと 1.29でした!
2020シーズンは6試合、4.1イニングのみの登板に終わり、ERAは12.46に悪化。2020年は調整の難しいシーズンでしたから、ある程度加減して見る必要があるかと思います。
ブルージェイズのブルペン
ブルージェイズのブルペンは元阪神のラファエル・ドリス、元横浜の山口俊投手をはじめ、人数の面では揃っていましたが、決定的なクローザーが不在でしたので、カービー・イェーツには大きな期待がかかります。
カービー・イェーツの大逆転のキャリア
簡単にプロフィールを記載しておきます。カービー・イェーツは1987年3月25日生まれ。4月1日の開幕では34才を過ぎたところとなります。
1年契約になったのは年齢のこともあると思います。本人は複数年を希望したと思いますが。
アマチュアFAとしてプロ入り
高校卒の年の2005年のアマチュア・ドラフトでレッドソックスから26巡目指名を受けますが、カービー・イェーツはサインしませんでした。ちなみにハワイ州の高校出身です。
その後、アリゾナの大学に進学。大学には4年間在籍。そして、2009年6月、アマチュア・フリーエージェントとしてタンパベイ・レイズとサイン。ここでようやくプロ入りとなります。珍しいケースですね。そう言えば、元ブルージェイズのマット・シューメイカーも非ドラフトの選手でした。
27才でメジャーデビュー
メジャーデビューはレイズ時代の2014年。27才のときです。この年、37試合に登板し、12試合でゲーム・フィニッシュを任され、ERA3.75とルーキーとしては上々の成績を残します。
2015年は20試合のみの登板に終わり、ERAは7.97。この年のオフにカービー・イェーツはレイズからDFAとなり、トレードでインディアンスに移籍。ところが、シーズン前の2016年1月、インディアンスからDFAに。ウェーバー公示されたところをヤンキースからクレームオフされました。
2016年はヤンキースで41試合に登板するも、ERAは5.23という成績に。シーズン終了後、マイナーへアウトライトとなり、ウェーバーにかけられたところをエンゼルスからクレームオフされます。
2017年、エンゼルスではすぐにメジャーのマウンドに上がるも、与えられたチャンスで大失態。1イニングで被安打2、失点2を喫し、これで開幕早々の4月26日にDFAに。ウェーバーにかけられたところ、パドレスがクレーム・オフし、2020年オフ、FAとなるまでパドレスに在籍。そして2019年にセーブのタイトルを獲るまでに至りました。
まさに大逆転のキャリアです。
イェーツの抜けたパドレスのブルペン
クローザーが抜けたパドレスですが、現時点ではドリュー・ポメランツがクローザー・ロールを担う予定です。セットアップにはエミリオ・パガンもいますが、ブルペンはまだ補強すると思います。
TOR、タイラー・チャットウッドともサイン
カービー・イェーツとのディールが決まった前日の現地2021年1月18日、ブルージェイズはカブスからFAとなっていたタイラー・チャットウッド(Tyler Chatwood)ともサインしました。
契約内容
契約は1年$3M(2021)に加え、$2.5Mのパフォーマンスボーナスが加わります。ボーナスの設定詳細はまだ不明です。
大幅ダウン
タイラー・チャットウッドの前の契約は2017年にカブスと合意した3年$38M(2018-2020)。支払いサラリーは2020年が$13Mでした。60試合、37%のプロレーティッド(日割り)換算で、$4.81M。今回の契約はそれを下回る額となってしまいました。
先発からリリーフへ
キャリアの大半をスターターとして過ごしてきたタイラー・チャットウッドですが、今回のブルージェイズではリリーバーとしての役割を果たすことになった模様です。
先発としてMLB通算9シーズンを過ごしてきたタイラー・チャットウッドの成績は、51勝57敗、ERA4.70。
2020年は5試合、2勝2敗、ERA 5.30でした。
タイラー・チャットウッドとは
タイラー・チャットウッドは1989年12月16日生まれの31才。2008年アマチュアドラフトでエンゼルスから2巡目指名を受けプロ入り。
2011年11月、エンゼルスがクリス・イアネッタを獲得したトレードでロッキーズへ移籍。
2017年にFAとなり、上記の契約でカブスとサインしていました。
まだ31才。新たなキャリアを築いて欲しいと思います。
腕のほどき方がPLで選抜を制した榎田投手を想起させるものがあるので昔から好きな投手です(笑)。
お読みいただき、ありがとうございました。
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