A’s、セミエンの抜けたSSをカバー
現地2021年2月6日、大きなトレードが成立しました。
アスレチックスがFAでブルージェイズに移籍が決まったマーカス・セミエンが抜けたSSの穴をリカバーするべく、レンジャーズの正SS、エルビス・アンドラスを獲得することになりました。
アスレチックスからレンジャーズには強打者のクリス・デービスが動くことに。レギュラークラス同士のトレードだけでなく、プロスペクトも含め計5名が動く大型ディールとなりました。
トレード内容
アスレチックスGet
- エルビス・アンドラス( Elvis Andrus/ 32)SS/ 右投右打
- アラミス・ガルシア(Aramis Garcia/28)C/右投右打
- キャッシュコンシダレーション:アンドラスのサラリーの一部 $13.5M
レンジャーズGet
- クリス・デービス (Khris Davis/ 33)DH&LF/右投右打
- ジョナ・ハイム( Jonah Heim/25)C/右投スイッチ
- デイン・アッカー(Dane Acker/22)RHP
エルビス・アンドラスの契約
これからアスレチックスが負うこととなるエルビス・アンドラスの契約ですが、エルビス・アンドラスは2013年4月にレンジャーズと以下の条件でエクステンションしていました。
- 8 年/$120M (2015-22) + 2023 $15M べスティングオプション
- 支払い:$15M(2015-2020)、$14M(2021-2022)
- べスティングの設定: 以下の条件をクリアーで、トレード、ウェーバーも含めたプレーヤーオプションに変わる
- 2022シーズンに550PA
- 2021-2022の2年間で、1,100 PA
- 2018、19シーズン終了後にオプトアウトがあった(しかし、そうせず)
- 一部ノートレード条項(2016年時点では10クラブがその対象。その対象は公表されず)
- もしTEXからトレードに出たなら、新しいクラブとフルノートレード条項を自動的に結ぶ
2021年のサラリーは$14Mでしたが、レンジャーズから$13.5Mの補填があり、2021年に関しては支払いは$0.5M。ただし、2022年は$14Mの支払い、そして2023年はべスティング・オプションがあるので、さらに$15Mの支払いが発生する可能性もあり。
クリス・デービスの契約
一方で、クリス・デービスは2019年4月にアスレチックスと以下の条件でサインしていました。こちらもエクステンション契約です。
- 2 years/$33.5M (2020-21)
- 支払い:$16.75M x 2回
A’sは確かに2021年は緊急避難的に削減成功
アスレチックスのフィナンシャルなインパクトですが、2021年に限定すると、クリス・デービスに$16.75Mを支払う予定が、レンジャーズからの補填もあり、たった$0.5Mの支払いだけで済むことに。
とにかく何がなんでも2021のサラリーシェッド(削減)を実現したいということなら、確かにその差額である$16.25Mのキャッシュは残ることに。
クリス・デービスがFAになれば、アスレチックスに返ってくるものはありませんから、在籍中の今のうちに少しでも現金化しようという発想が見えてきて、やや切ないものも感じます。もしそうであるなら、A’sは本当に今季は資金繰りが厳しいのだと思います。
レギュラーシーズンが始まり、入場料収入などが入ればまだ潤うという試算もあるのでしょう。
とにかく財政的に緊急避難し、尚且つセミエンの抜けたSSをなんとかしたいということで、なくなくクリス・デービスを放出という背景かと想像します。
まさに肉を斬らせて骨を断つやり方ですね。
2021年に思うようなインカムが入ってこなければ、来季以降は苦しむことは明白なのですが。
選手紹介
【アスレチックス】エルビス・アンドラス
エルビス・アンドラスは1988年8月26日生まれの32才。ベネズエラ出身です。ここまでずっとレンジャーズに在籍。
オジー・スミスも絶賛
まだアンドラスが若い頃、メディアがオジー・スミスにインタビューし、次世代のSSとして誰かをピックアップするようにお願いしたところ、オジー・スミスはエルビス・アンドラスをその筆頭に上げました。そのくらいSSとして高い評価のある選手。
デビューは2009年。この年、128安打を放ち、打率.267、HR 6、RBI 40、盗塁33でROY2位に入りました。ちなみにこの年のAL ROY1位は、当時アスレチックスにいたRHPのアンドリュー・ベイリーでした。
デビューイヤーからもうフル稼働の状態。2018年に当時エンゼルスにいたキーナン・ミドルトンから肘に死球を受け骨折。97試合に留まっただけであとはずっと150試合ほどの出場を続けていました。
まさにエブリーデーSSの鑑のような存在。
あと、ルーキーの頃、尊敬する父の似顔絵をタトゥーに刻んだまではよかったものの、入れ墨あとの熱がひどくてゲームを休んだというちょっと笑えるエピソードを紡いだおかしなところも。皮膚に傷をつけて墨を入れる原理が「入れ墨」ですからそれはヒリヒリして苦しいと思います。
ベルトレとのコンビが解消したのはすべての野球ファンが惜しんだと思います。
通算の成績は1743安打、HR76、打率.274、RBI 636,盗塁305(現役2位)。2017年には191安打を放ったことも。SSとしてのフィールディング%、.973は現役では17位。ちなみに1位はホセ・イグレシアスの.9845。もうわずかの差で凌ぎ合っています。
12年、貢献してきたアンドラスをこのような形で出すのはちょっと忍びないですね。
【アスレチックス】アラミス・ガルシア
アラミス・ガルシアは2014年、ジャイアンツ2巡目指名の捕手です。デビューは2018年ですが、ジャイアンツにはバスター・ポージーがいますから、なかなかMLSも増えず、2021年もまだルーキー・ステータスです。
2018年と2019年にそれぞれ19試合、18試合に出場したのみ。
2020シーズン終了後に、ジャイアンツがウェーバーに出したところをレンジャーズがクレームオフ。よってレンジャーズでの出場経験がないままアスレチックスへ動くことになります。
【レンジャーズ】クリス・デービス
身長180cmながら、HRアーティストして活躍するクリス・デービスはあまりにも有名ですね。スペルは、KHRISです。オリオールズの左打者のクリス・デービスはCRISですね。
1987年12月21日生まれで、33才。2009年に、ブルワーズの7巡目指名でプロ入り。デビューは2013年でブルワーズに在籍時です。
2016年2月にブルワーズからアスレチックスへトレードで移籍。ブルワーズにはジェイコブ・ノッティンガムが移りました。
2016年から2018年には3シーズン連続で40HR以上を達成。2018年はなんと48HRです。このシーズンはRBIは123まで伸びました。
メジャー8シーズンで218 HR。ただ、2020シーズンは30試合で、HR2本にとどまりました。
【レンジャーズ】ジョナ・ハイム
ジョナ・ハイムは25才の捕手。2013年、オリオールズ4巡目指名でプロ入り。2020年8月にデビューしていますが、2021年もルーキー・ステータスです。
2016年8月1日に、レイズへ移籍。元レッドソックスのスティーブ・ピアースがオリオールズに動いたディールです。
2017年12月に、レイズからアスレチックスへトレードで移籍。レイズがジョーイ・ウェンドルを獲得したトレードです。
2020 シーズンは13試合に出場し、38打数8安打。打撃が向上すればというところです。
【レンジャーズ】デイン・アッカー
4月1日に22才になる右腕。2020年、アスレチックスの4巡目指名です。アスレチックはもう2020年ドラフトのプロスペクトを出さないといけないほど、プロスペクトが枯渇気味。
NCAAで投げていた投手ですが、ややデータが少なめ。
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