22年のマネジリアル・キャリア
現地2020年1月28日の情報です。
例のイリーガルなサイン・スティーリング・スキャンダルで空席となっていたアストロズの監督のポジションですが、新監督にジャイアンツやレッズなどで長年指揮を執ったことのあるダスティー・ベイカー氏(Dusty Baker)に依頼することに決めたようです。現時点ではファイナライズではなく、公式発表には至っておりませんが、ほぼ決定と見ていいでしょう。
追記:正式決定
現地2020年1月29日、アストロズはダスティー・ベイカーの監督就任を正式決定。契約は2020年の1年、2021年はクラブ・オプションというショート・ターム・ディールとなりました。これはベイカーの健康問題も絡んでのショート・ターム・ディールとも言えなくもないですが、つけ刃のイメージ戦略ではないという意味で出来れば3年くらいのタームで設定して欲しかったなとは思います。
アストロズ、早めに編成に着手
アストロズが急遽監督探しを始めたのはご存じの通り、イリーガルなサイン・スティーリング・スキャンダルのせい。A.J.ヒンチ監督とジェフ・ルノーGMがMLB側から1年間のサスペンション処分を下され、なおかつオーナーのジム・クレインから解雇処分を言い渡されました。
オールドスクールでイメージ一新
アストロズの監督探しで難しいところは、やはりイメージの問題です。新しい監督はフレッシュであることに越したことはないまでも、やはりテクノロジーとは無縁のイメージの人選にならざるを得ませんでした。
今の時代ですから、統計的な手法には賛同しつつもなおかつ昔ながらのアメリカン・パスタイム(アメリカの娯楽)をイメージさせる人が適任ではありました。そうなると自ずと”Old School(オールド・スクール)”の人ということになります。
オールド・スクールとは昔ながらのベースボールをやる人。もしもクリント・イーストウッド監督の”Trouble With Curve”(邦題『人生の特等席』)をご覧になったことがある人がいれば、どんな人物かはよくわかると思います。
スイングの音を聞いて変化球に弱いと判断したり、ファウルを打った後に腕がどんな位置にあるのか?など、とにかく長年現場培った知識、勘を信じるタイプの人という定義がわかりやすいのではないかと思います。
少し意地悪な言い方をすれば、ホームプレート・コリジョン・ルールに異を唱えるタイプの人。ダスティー・ベイカーがどちらの立場だったかは定かではありませんが、少なくともオールド・スクールと言われた人たち、たとえば、ヤンキース元監督のジョー・トーリさんなどは導入に異を唱えていました。
とにかく現場にテクノロジーを持ち込む発想がそもそもなく、野球は人間が生々しく力をぶつけ合うことが面白いんだというタイプの人です。
監督キャリア22年
ダスティー・ベイカーは監督としてのキャリアが22シーズンというとてつもなく経験値の高い人です。オールド・スクールだけに確実性という点ではちょっとそっぽを向かれているかもしれませんが地区優勝は7度。
- サンフランシスコ・ジャイアンツ(1993-2002): 10年
- シカゴ・カブス(2003-2006):4年
- シンシナティ・レッズ(2008-2013): 6年
- ワシントン・ナショナルズ(2016-2017): 2年
ジャイアンツでは1997年と2000年に地区優勝。1997年はNLDSでマーリンズに敗退。2000年はNLDSでメッツに敗退。カブスでは2003年に地区優勝。NLDSではブレーブスを破るも、NLCSでマーリンズに敗退。
レッズでは2010年と2012年に地区優勝。2010年はNLDSでフィリーズに敗れました。2012年はNLDSでジャイアンツに敗退。ナショナルズでは2016年と2017年に地区連覇を果たしています。2016年はNLDSでドジャースに敗退。2017年もNLDSで敗退。カブスに敗れました。
新庄も指揮
ジャイアンツでの最終年となった2002年には地区2位でフィニッシュ。ワイルドカードでポストシーズンに出場し、ナ・リーグのペナントを獲っています。この年、ジャイアンツはワールドシリーズに出場するも、エンゼルスに3勝4敗で敗れ、惜しくもチャンプにはたどり着かず。
この時のジャイアンツのメンバーは現レッズ監督のデービッド・ベルのほかにCFには新庄剛志(Tsuyoshi Shinjo)選手がおりました。もちろん、当時のジャイアンツのスター選手はバリー・ボンズです。ジェフ・ケントもいました。
健康面が心配。とくに心臓
アストロズにとって打ってつけの人材ではありますが、唯一の心配は健康面。2020シーズンは6月で71才の誕生日を迎えます。
またレッズ時代の2012年にはシーズン終盤の9月半ばに不整脈で緊急入院し、現場の指揮をベンチコーチに任せるという事態も発生。復帰は果たしたものの周囲が心配になる面もありました。
健康問題だけは氣をつけてもらいたいと思います。
アストロズ、今年はスタンドからも厳しい声援を浴びることになりそうですが、ダスティー・ベイカーの人間力で選手への批判が少しでも和らげばいいなとは思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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