アストロズ、自ら厳しい処分を下す
現地2020年1月13日、ヒューストン・アストロズのサイン・スティーリング・スキャンダルに一つの結論がくだされました。今回は調査の上、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが正式コメントを発表。それを受けてアストロズ側がさらに厳しい処分を下すという二段構えの体制で対応しました。
処分
現地2019年11月12日にマイク・ファイヤーズの告発をThe Athleticが独占でスクープしたアストロズのサイン・スティーリングのスキャンダルは約2ヶ月が経過したこの日、一つの結論を迎えました。詳しい経緯は下記リンクに記載しています。
Statement of the Commissioner(PDF)
MLB側が処分を発表し、それを受けてアストロズ側がそれを上回る厳しい処分をくだしたという形になっています。
MLB側
- AJ.ヒンチ監督とジェフ・ルノーGM:
- 2020年のワールドシリーズ終了までの1年間のサスペンション。
- 当該期間の報酬なし。
- 当該期間、ヒンチ監督はアストロズ及ぶ他のクラブで指揮を執ることは厳禁。指導者としてのチームのファシリティーへの立ち入りも厳禁。もしやぶった場合、”the permanently ineligible list”「永久追放」に。
- アストロズ:
- 2020年と2021年のドラフト1巡目と2巡目の指名権剥奪
- MLBオフィスへの罰金500万ドル
アストロズ側
- AJ.ヒンチ監督とジェフ・ルノーGM:解雇
企業の危機管理の観点から
どう考えても世間からの非難を受ける事案に対して、今の時代は少しでも隠すあるいは非難を交わすという方向ではかえって泥沼にはまります。この危機事案をアストロズの球団幹部がどう対応するか、非常に興味深かったです。
執った方針は悪事を白日のもとに晒し、世間の批判を受け切るという、客観的に見て正しい方向への舵取りであったと思います。今の時代、隠しても白日のもとにさらされます。よって、球団側として対応は勇気が必要だったと思いますが、二次災害、三時災害を防いだという点でよかったと思います。
こういった事案はバイアスがかかってしまっていますから、疑い始めるとキリがありませんので、慎重に捉えないといけません。コミッショナーの報告書では今回の件はオーナーのジム・クレイン氏に関係なく現場が行ったこととなっております。公式発表でそうなっています・・・。
クラブ側も$5Mのペナルティーとドラフトピック権の2年間の剥奪ということで一応罰を受けました。ヒンチ監督の名誉もわずかながら保たれております。
アストロズの顧問弁護士か危機管理のコンサルタントはかなり見事だと思います。ただ、これから数年はファンから批判を受け続けることをどう交わすか?という課題も残ってはいます。そして、火の粉はレッドソックスに移っております。
コーラとレッドソックス
今回の報告書においてもアストロズのベンチコーチであったアレックス・コーラは渦中のど真ん中。ビデオレビュールームの使用とゴミ箱による通知の首謀者と目されています。そして、レッドソックスの2018年のレギュラーシーズン中のリプレー・ルームの使用によるサイン盗み疑惑も出てきております。
コーラの処分は継続中のレッドソックスの調査が終了してからということになりそうです。ブルームさんはおそらく新監督の人事も着手しないといけないことになりそうです。
仲間を救ったファイヤーズ
まだスキャンダルの解明が終わった訳ではありませんが、今回、マイク・ファイヤーズが告発したことで、「なぜか打たれてしまう?」と首をかしげ、自信を失くして調子を落とし、野球の仕事を後にしていった選手達に、こんなことがあったんだ!だから君の力のせいじゃないんだと思える機会を作れたのではいかと思います。その意味でマイク・ファイヤーズの功績は大きいと思っています。
ナショナルズの大正義
また、このサイン・スティーリングの上を行き、ワールドシリーズ・チャンプとなったナショナルズはどれだけすごいことを成し遂げたのかとその大正義ぶりにあらためて拍手を贈りたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント
不謹慎ながら、Twitterでバウアーとランスマッカラーズジュニアのバトルが再燃してるの予想通り過ぎて笑ってしまいました、、、
十分に重い罰だと思うのでとりあえずアストロズ叩きは終わって欲しいと思いますが……
かなすけ様
私もバウアーのアストロズいじりを「やっぱりな」と思いながら見ておりました。
ブレグマンいじりはやりとりの中から生まれたものではありますが、バウアーはこの中身を知っていたがゆえに余計に
いじっていたのではないか?とさえ思えてきました。
コメントありがとうございました。