ALCS Gm3: NYY 5 @ 7 CLE (CLE 1-2)
現地2024年10月17日、「これぞポストシーズン!」と言わんばかりの素晴らしいゲームになったのが、ヤンキース@ガーディアンズのALCS Gm3。
このゲームのすごかったところは「こんなことがあり得るのか?」というのが両チームに起こったこと。しかも、ガーディアンズはまさに土壇場※に追い詰められた状況からの同点そしてサヨナラ勝利。すごかったですね。
※ 「土壇場」とはそもそもは「斬首刑を行うために築いた土の壇」のことで、そこから「進退きわまった状態」の例えに使われています。また「壇」とは「祭祀その他の儀式を行うために一段高くしつらえた場所」のことです。
CLEが3連敗を避けたかった事情
2連敗したガーディアンズは、Gm3がどれだけ重要かがわかっていました。最大7戦、4戦先勝のシリーズで0勝3敗の劣勢に陥った場合、劇的に不利になるのは明らかで、ポストシーズン史上、3連敗した40チームのうちワールドシリーズに進出したのは2004年のレッドソックスただ1チームのみ。
また、現在の2-3-2方式では、アウェーで最初の2試合に敗れた後、ホームで第3戦に勝利したチームは、36回中10回(28%)が逆転勝利しているというデータもあります。ガーディアンズはGm3を取るしかありませんでした。
マシュー・ボイドが期待通りの好投
先発はガーディアンズが左腕のマシュー・ボイド、ヤンキースがクラーク・シュミット。
マシュー・ボイドは2024年8月13日にトミー・ジョン手術から復帰。復帰後は以前よりも球速が上がり、レギュラーシーズン終盤に大きなインパクトを残した左腕。このポストシーズンもALDSで2試合に登板し、ERA0.00。
そのマシュー・ボイドも立ち上がりはさすがに慎重になったと見え、2つの四球を出しましたが、初回は無失点。しかし、2回表に四球がきっかけでアレックス・ベルドゥーゴとホセ・トレビーノに連続長短打を浴びて先制点を奪われてしまいます。ただ、この後、当たっているグレイバー・トーレスを抑えて最少失点で切り抜けたのは大きかったです。
3回表はソト、ジャッジ、スタントンを三者凡退。4回、5回も3人ずつで斬って取り、5回を投げ終えて降板。75球で被安打2、失点1、自責点1、BB 3、SO 4と見事にゲームメイクしました。
カイル・マンザードが逆転2ラン
マシュー・ボイドが堪えている間になんとかしたかったガーディアンズは3回裏に反撃。先頭のブライアン・ロッキオがシングルで出塁した後、2番のカイル・マンザードがRFへ2ランHRを放ち、2-1と逆転。早めに取り返したことも大きかったです。
ガーディアンズは6回裏にもアンドレ・ヒメネスがタイムリー・シングルを放ち、3-1とリードを拡大。この後、チャンスが残っていたのですが、攻めきれなかったのが終盤に出てしまいます。
CLE、BIG 4で締めに行くが・・・
ガーディアンズはマシュー・ボイド降板後、 ケイド・スミス、ティム・ヘリン、ハンター・ガディスとエマニュエル・クラセとつながる「ビッグ4 」によるリレーを企図。
ケイド・スミス、ティム・ヘリンはマシュー・ボイドの流れを壊さず、終盤に持ち込んだのですが、8回表にケイオス(大混乱)が待っていました。
ジャッジ、スタントンの連続HRで逆転を許す
8回表はハンター・ガディスがマウンドに。ガティスはオースティン・ウェルズとグレイバー・トーレスを抑えて簡単に2アウトを奪いましたが、つづくフアン・ソトに四球を出してしまいます。
ここでガーディアンズ・ベンチは石橋を叩いて渡る投手リレーを決断。2点差のリードで一発のあるジャッジとスタントンに回るということで、エマニュエル・クラセをマウンドに送りました。
そのクラセはジャッジに対して2球で追い込み、かなり優位に立ったのですが、4球目のカット・ボールは外枠ギリギリを捉えたいいコースへの投球だったものの、これをジャッジがキッチリと右方向へ対応。ボールがやや高かったこともあり、打球はそのままRFのウォールの上部に当たる2ランHRに。
守護神からの同点HRということを主砲が放ったということで流れは一気にヤンキースへ傾いたのでした。
この後、エマニュエル・クラセはジャンカルロ・スタントンを迎え、インコースの厳しいコースを攻め続けたのですが、7球目のスライダーがハンギング・スライダーとなり、致命的な逆転ソロHRを打たれてしまいます。スコアは3-4。
ガーディアンズは避けたかったことを実現されてしまいました。
J・ノエルが9回裏2アウトから同点HR
ガーディアンズは8回裏に2アウト1、2塁のチャンスを作るも、デービッド・フライがルーク・ウィーバーに三振を奪われて無得点。
その直後の9回表、ガーディアンズはイーライ・モーガンがマウンドに上がり、1アウト2、3塁でグレイバー・トーレスに犠牲フライを打たれて追加点を許し、スコアは3-5に。
9回裏、ヤンキースのマウンドは引き続きルーク・ウィーバー。後がなくなったガーディアンズは先頭のホセ・ラミレスが1Bアンソニー・リッゾのエラーでなんとか出塁。先頭打者が出たのですが、つづくジョシュ・ネイラーがなんと1-6-3のダブルプレーに倒れて2アウト。これでもう完全にヤンキースが勝ったと思いました。
しかし、ガーディアンズはレーン・トーマスがフルカウントからインコースの難しい4シームをあわやHRかという左中間ウォール直撃の大飛球を放ち、これが2塁打となり、粘りを発揮。
ここでベンチはダニエル・シュニーマンに代わり、ルーキーのジョンケンシー・ノエルを代打に起用。ジョンケンシー・ノエルはALDSでは13打数0安打。ALCS Gm1でようやくポストシーズン初ヒットを放ったところ。もうかなりやけっぱちの采配(失礼!)だったと思うのですが、一発の可能性のある打者を打席に送り、これが当たりました。
Big Christmas' game-tying homer via NTT #BallparkCam 👀@CleGuardians | #GuardsBall pic.twitter.com/l0MotnxDmP
— MLB Network (@MLBNetwork) October 18, 2024
そのノエルはルーク・ウィーバーの好調の代名詞であるチェンジアップ(2球目)が甘く入ったところをきれいな打撃フォームで一撃でLFスタンドに放り込み、これが値千金の同点2ランHRに。スコアは5-5。
上述のように土壇場からの同点劇に地元スタンドは大盛り。こんなことが起こるのがポストシーズンの怖いところであり、面白いところでもありますね。
CLE、10回表を凌ぐ
クラセ投入が誤算となり、「BIG4」を使い切ったガーディアンズですが、10回表のマウンドはペドロ・アビーラを起用。なお、ポストシーズンは延長戦ではオートマティック・ランナーはつきません。レギュラーシーズンのみの運用となります。
そのアビーラは先頭のアーロン・ジャッジをシンカーとスウィーパーのミックスで三振に打ち取り、まずは1アウト。つづくジャンカルロ・スタントンは慎重に全てアウトコースへの配球で勝負しますが四球で歩かせます。ヤンキースは代走にジャッソン・ドミンゲスを起用。
この後、チザムの打球をアンドレ・ヒメネスの好プレーでアウトにして2アウトを奪ったアビーラは、アンソニー・リッゾを申告敬遠で歩かせ、2アウト1、2塁のピンチを背負いましたが、つづく墓ルピーを三振に斬って取り、無失点に抑えます。
デービッド・フライがサヨナラ2ランHR
10回裏、ヤンキースのマウンドはクレイ・ホームズ。アビーラの好投でイケイケとなったガーディアンズはまずは先頭のボー・ネイラーがシングルで出塁。この出塁は大きかったですね。つづくブライアン・ロッキオはバントでランナーを進め、スティーブン・クワンの打席に。期待されたクワンでしたが、Pゴロに倒れて2アウト。
そしてバッターはデービッド・フライ。フライはクレイ・ホームズのシンカーで2ストライクと追い込まれてしまいますが、4球目、ややインコース高めに来た甘いボールを一撃で仕留めました。打球は左中間スタンドに入る、2ランHR。
ガーディアンズが7-5のスコアでサヨナラ勝利を納めたのでした。
互いに守護神を打ち砕く
この日は両チームともに守護神を打ち砕いての激しい戦いを繰り広げました。
エマニュエル・クラセもボール自体は悪くなく、逆転劇を引きずらなければ良いなと思います。一方、ルーク・ウィーバーもこのポストシーズンで初めてリリーフに失敗。連投でしたから、さすがにその辺りが影響したのかもしれません。
これでガーディアンズは1勝2敗。
Gm4はガーディアンズがギャビン・ウィリアムス。ヤンキースがルイス・ヒルです。
お読みいただき、ありがとうございました
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