”エイ・ゴン”がキャリア15年で引退を表明
ちょっと残念なニュースが入ってきました。
現地2022年2月5日、レンジャーズ、パドレス、レッドソックス、ドジャース、メッツで活躍し、単打、長打双方で素晴らしい成績を残してきたレフティーのエイドリアン・ゴンザレス(Adrián González)が引退を表明しました。
キャリア15シーズン、39才での決断です。
Adrian González announced today his retirement from the great game of Baseball, losing him in that trade to the Dodgers was the worst but it had to be done. Thanks for everything Titan! 💪🏻 pic.twitter.com/PbBnaSomN4
— Boston Strong (@BostonStrong_34) February 5, 2022
ファンに感謝、そして新しい一歩を
エイドリアン・ゴンザレスの引退表明は自身のインスタグラム・アカウントで行われました。
そこには家族、エージェント、そしてファンへの感謝の言葉が綴られており、そして最後に次のようで締めくくっています。
Its now time to continue on with my life into new and continued businesses and partnerships.
Arian Gonzalez INSTAGRAM
「これからは、新しいビジネスやパートナーシップのために、自分の人生を歩み続ける時です。」
FA市場が単価の高いベテランの野手を追わない傾向がより顕著になったのが、2018年のオフ。2018年がMLBのファイナル・シーズンとなったエイドリアン・ゴンザレスにとっても、かなりタイミング悪い出来事でもありました。そこからは単価の低い若手を使うようになり、彼らのサラリーをアップするように求めているのが今のロックアウトの状態ですね。
それ以降、再びMLBを目指して2021年終了まで調整してきたエイドリアン・ゴンザレスにすれば、やるべきことはやったと清々しい気分かもしれません。
第2の人生も成功させてもらいたいと思います。
エイドリアン・ゴンザレスのキャリア
エイドリアン・ゴンザレスのキャリアですが、誕生日は1982年5月8日。2022シーズンが始まればすぐに40才となるタイミングでの引退の決断になりました。
2000年ドラフトの全体1位
カリフォルニア州サンディエゴの出身で、ドラフトは2000年の全体1位。フロリダ・マーリンズから指名されました。
同期は誰かというと、全体2位がツインズから指名されたアダム・ジョーンズ、全体6位がレイズから指名されたロッコ・ヴァルデッリ。現在のツインズの監督ですね。そして全体15位がフィリーズから指名されたチェイス・アトリー、全体29位がブレーブスから指名されたアダム・ウェインライト。そうそうたるメンバーですね。
デビュー前にトレード
全体1位でプロ入りしたエイドリアン・ゴンザレスでしたが、マーリンズはなんとレンジャーズにトレード。2003年7月のことです。マーリンズは抑えに2002年にレッドソックスで40セーブを上げ、2003年の前半戦もレンジャーズで26セーブを上げていたウーゲット・ウービナ(Ugueth Urbina)を獲得するためでした。全体1位を差し出してでも勝ちに行ったマーリンズ。この年は、1997年以来、2度めのワールドシリーズ・チャンプを獲りました。デーブ・ドンブロウスキがGMとして2001年まで関与していたので、その当時の編成も効果があったと言っていいでしょう。
2004年にデビュー
その翌年、2004年にレンジャーズでメジャーデビュー。デビュー・イヤーは16試合のみの出場。そして、2005年は43試合での出場にとどまりました。
2006年、パドレスで本格稼働
2006年1月、エイドリアン・ゴンザレスはまたしてもトレード。今度はパドレスへ移籍。この時は長身右腕で、現在、レンジャーズでGMを務めるクリス・ヤングも一緒に動いています。そして、レンジャーズが獲得したのは、アダム・イートンと大塚晶文投手でした。
パドレスでは2006年から2010年まで5シーズンを過ごし、この間はほぼフル出場。2007年にMVP投票20位となったのを皮切りに、2008年から2010年までリーグを代表する外野手として大いに活躍。名を馳せました。
2011年にレッドソックスで213安打
2010年12月、パドレスとレッドソックス間でトレードが成立。エイドリアン・ゴンザレスはアンソニー・リッゾらとともにレッドソックスへ移籍。レッドソックスからパドレスにはエリック・パターソン(Eric Patterson)が移籍しましたが、これはパドレスにとってあまりいいトレードにはなりませんでした。
筆者はエイドリアン・ゴンザレスというと、このレッドソックスでの活躍が最も印象に残っています。この年は、159試合に出場し、打率.338、OBP .410、SLG .548、OPS .957をマーク。しかも高打率だけでなく、HRも27本を放ち、年間安打数は213を数えました。ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞も受賞。
今思えば、この時がキャリアのピークだったかもしれません。
2012年8月にドジャースへ
巻き添えトレードと言っていいのか、驚きのトレードが実施されたのは、2012年8月のこと。レッドソックスとドジャース間で以下の選手が動きました。
【レッドソックスからLADへ】
- ジョシュ・ベケット(Josh Beckett)
- カール・クロフォード(Carl Crawford)
- エイドリアン・ゴンザレス(Adrian Gonzalez)
- ニック・プント(Nick Punto)
- + Money
【ドジャースから BOSへ】
- イバン・デヘスス(van De Jesus)
- ジェイムス・ローニー(James Loney)
- アレン・ウェブスター(Allen Webster)
- ルビー・デラロサ(Rubby De La Rosa)
- ジェリー・サンズ(Jerry Sands)
この頃、レッドソックスは解体状態。フランコーナ体制が2011年で終了し、2012年はボビー・バレンタイン体制でした。監督と選手間のコミュニケーションがうまく行かず、選手も色々とボロが出ていました。たとえば、ジョシュ・ベケットは登板回避となった休日にゴルフに行ったほか、クラブハウス内でビデオゲームを行うなど行動が問題視されたことも。
フランコーナの回想録では
前年に監督を努めたテリー・フランコーナの回想録によると、2011シーズンの前に、エイドリアン・ゴンザレスとかぶるようにレッドソックスはカール・クロフォードも獲得しました。2人を獲得した背景について、「レッドソックスのオーナーはNESNでのレッドソックス戦の視聴率低下を懸念。より多くの女性視聴者にアピールするために”よりセクシーな”チームづくりが必要と考え、2人のイケメン選手を多額の費用をかけて獲得することになった」と述べています。
さらに、「これが原因で優勝候補にも挙がっていたチームのケミストリーを狂わせ、ついには最下位、選手の投げ売りに至った」と、興味深い考えを述べています。
エイドリアン・ゴンザレスはドジャースから欲しいと言われたゆえに出て行ったと筆者は見ていたのですが、カール・クロフォードと色々ともめていたわけですね。ライバルだからそうなったのでしょう。そして二人とも追い払われたと。
しかし、わからないもので、この年は最下位に沈んだものの、ご存じの通り、2013年にレッドソックスはワールドシリーズ・チャンプとなりました。
ごたごたしたエイドリアン・ゴンザレスでしたが、2012年は両クラブで打率.299をマークするなどきちんと仕事は果たしました。
2013-15とドジャースでも活躍
そして、ドジャースでのフルイヤーとなった2013年からの3シーズンはこれまた立派に仕事を果たしました。打率は3割を超えなかったものの、2014年には、再び、ゴールドグラブ賞とシルバースラッガー賞をダブル受賞。
ドジャースには2017シーズンまで在籍。
ブレーブス→メッツ
2017年12月16日、エイドリアン・ゴンザレスは、チャーリー・カルバーソン、スコット・カズミア、ブランドン・マッカーシーらとともにブレーブスにトレード。ドジャースが再び、マット・ケンプを獲得したトレードでした。これはドジャースがサラリーの空きを確保するために構成されたトレードでした。
2日後の18日、エイドリアン・ゴンザレスはリリース。ただ、リリース後もブレーブスが彼の2018年のサラリーを負担していました。FAとなった後、2018年1月にメッツとサイン。ただ、これは基本的にプロスペクトのドミニク・スミスが1Bのフルタイムのスターターになれない場合の保険とししての位置づけでした。
よって、メッツでは54試合の出場で、6月10日のヤンキースとのサブウェイシリーズが最後のゲームとなり、2018年6月11日にリリースされました。
2021年はメキシカン・リーグでプレー
その後ですが、2019年は所属先が見つからず。2020年はコロナパンデミックで機会がありませんでした。そして、2021年は、メキシカン・リーグでプレー。2021年5月21日から7月17日までの2ヶ月のみです。
そして今回、引退を決意したという流れです。
Awardなど
エイドリアン・ゴンザレスが達成したアウォードはこちら。
- オールスター出場:5度 (2008-2011 & 2015)
- ゴールドグラブ賞受賞:4度 (2008/NL, 2009/NL, 2011/AL & 2014/NL)
- シルバースラッガー賞受賞:2度 (2011/AL & 2014/NL)
- AL 最多安打:213 (2011)
- NL RBI 1位:116 (2014)
- NL 四球1位:119 (2009)
- 20HR以上のシーズン: 9シーズン (2006-2011 & 2013-2015)
- 30HR以上のシーズン: 4シーズン (2007-2010)
- 40HR以上のシーズン: 1度 (40: 2009)
- 100 RBI以上のシーズン: 7シーズン (2007, 2008 & 2010-2014)
- 100 Runs Scored 以上のシーズン: 3度 (2007, 2008 & 2011)
- 200 安打以上のシーズン: 1度 (213: 2011)
以上、ドジャースを出てからはあまり目立たなかったエイドリアン・ゴンザレス。なんとか復帰を試みていたようですが、難しかったようですね。
しかし、打率とHRがこれだけ高い選手はなかなかいないと思います。
15シーズン、お疲れさまでした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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