ゴールドグラブ賞決定
現地2018年11月4日、ローリングス ゴールド・グラブ賞の受賞者が発表されました。この賞、公式などでは今年から”RGGA”と略しはじめました。
ゴールドグラブ賞(RGGA)とは
【RGGAとは】
- 1957年から始まる
- 監督及びコーチによる投票、セイバーメトリクスの要素で決定。
- ローリングスは昔ながらの現場の声ーウィルソンはデータONLYという対比。
この賞の創設は1957年。とても伝統がある。アメリカを代表するグラブメーカー、ローリングス社がア・リーグ、ナ・リーグの各ポジションの守備に卓越した選手を表彰する賞である。選出にあたっては各チームの監督、コーチの投票に加え、SABR(the Society for American Baseball Research)が提供するセイバーメトリックスのインデックス(指標)も考慮される。選手にとってはとても名誉のある賞で、ファンからの注目度も非常に高く、オフに欠かせない風物詩の一つとなっている。時代の流れで、MLB内だけでなくファンに対してもデータ指標が提供されていくにつれ、この賞にはさらなる選出の厳格さが求められようになった。例えば1シーズンに数試合しか対戦のないチームが選出に当たるのは全てを見てない点で、印象などの「主観」の要素が強くなり、公平性に欠けるのではないかとの声が上がってきた。他にも論点はあるが、そうした声を踏まえて昨今ではサイバーメトリックスの要素も導入されることとなった。
守備の賞としては後日(現地7日)発表されるウィルソン・ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーというのもある。ローリングスのライバルメーカーが提供する賞である。こちらは徹底的なセイバーメトリックスを使って選出される。ローリングスが現場の声が大きいオールドスタイル型の決定軸なのに対し、ウィルソンはデータオンリーの最新の決定軸を使う。その意味でも両賞の位置づけは面白い。ただし、選出される選手は当然のことながら似てくる。
また、グラブメーカーが賞を創設して表彰することは、ブランディングと販促目的なのは誰もがわかっていることである。後追いのウィルソンの場合は特にブランディングの目的が強い。しかし、それにかける手間や大きなコストを誰もが察知し、無意識に受け入れてしまう。実際にどれだけのコストがかかったのか、関係者以外は誰も正確には把握していないが、「気の毒に」と思わせるところがポイントである。そしてローリングスの場合は何よりあのきらびやかな金箔のグラブの美しさがファンのこころを捉える。魅惑のマーケティング手法とも言える。
では今季の選出メンバーを見てみます。
ア・リーグ
C: サルバドール・ペレス(Salvador Perez) ロイヤルズ (5)
1B: マット・オルソン(Matt Olson)アスレチックス(1)
2B: イアン・キンスラー(Ian Kinsler) エンゼルス→レッドソックス(2)
3B: マット・チャップマン(Matt Chapman) アスレチックス(1)
SS: アンドレルトン・シモンズ(Andrelton Simmons)エンゼルス (4 AL:2/NL:2)
LF: アレックス・ゴードン( Alex Gordon)ロイヤルズ(6)
CF: ジャッキー・ブラッドリー・Jr.(Jackie Bradley Jr.)レッドソックス(1)
RF: ムーキー・ベッツ(Mookie Betts) レッドソックス(3)
P: ダラス・カイケル(Dallas Keuchel) アストロズ (4)
捕手はサルビーが昨年のマーティン・マルドナードから奪い返した形です。同じくロイヤルズからはアレックス・ゴードンが2年連続で受賞。ゴードンは15年はセスペデスに、16年はガードナーに奪われておりましたが、復活しました。レッドソックスからは3名。
SSはリンドーアかと思っていたのですが、シモンズがとりました。キンスラーも来ましたね。カノー同様に余裕をぶっこいた感じの守備はかっこいいですからね。アルトゥーベは怪我の期間が1ヶ月ほどあったのでそれが響きました。
3Bにマット・チャップマンが選ばれたのは嬉しい感じがします。
CFはトラウトかと思いましたが、JBJが獲りました。キアマイアーは今季は怪我が多く、ファイナルにも入らず。田中投手はファイナリストには入っていたものの、常連カイケルに奪われております。
ナ・リーグ
C: ヤディアー・モリーナ(Yadier Molina) カージナルス(9)
1B: フレディー・フリーマン(Freddie Freeman)ブレーブス(1)、アンソニー・リッゾ(Anthony Rizzo) カブス (2) ※2人選出
2B: DJ ルメイユ(DJ LeMahieu) ロッキーズ(3/2年連続)
3B: ノーラン・アレナド(Nolan Arenado) ロッキーズ(6年連続)
SS: ニック・アーメッド(Nick Ahmed) ダイヤモンドバックス(1)
LF: コーリー・ディッカーソン(Corey Dickerson)パイレーツ(1)
CF: エンダー・インシアーテ(Ender Inciarte) ブレーブス(3年連続)
RF:ニック・マーケイキス(Nick Markakis) ブレーブス (3 AL:2/AN:1)
P: ザック・グレインキ(Zack Greinke)ダイヤモンドバックス (5年連続)
モリーナも復活しました。16年にはポージーに、17年にはレッズのタッカー・バーンハートに奪われておりましたが、見事に返り咲きました。ザックは常連ですね。アレナドも常連と化しております。SSにはDバックスのアーメッドが選ばれました。コーリー・ディッカーソンは初。
ブレーブスから3名選ばれております。あれだけ盛り上げたブルワーズからはゼロ選出という結果に。ドジャースからも選ばれておりません。
1塁に2人が選出されております。スコア的にタイかと思って調べると、そうではなかったです。
SABR Defensive Index(SDI)
セイバーメトリクスの結果も公表されております。例えばデータ上はア・リーグの2Bだとキンスラーよりもオドールの方が高く、SSはシモンズよりもセミエンの方が高いです。
2人が選出されたナ・リーグの1Bは、並んでいるのかと思いきや、当該2人よりもブランドン・ベルトとジョーイ・ボットの方が高いです。
- Belt / SFG / 9.6
- Votto / CIN / 8.7
- Freeman/ ATL / 7.2
- Rizzo / CHC / 5.8
ナ・リーグのSSはSDIのインデックスを見ると、もうアーメッドがダントツでした。
- Ahmed /ARI / 13.1
- Russel / CHC / 7.3
- Delong/ STL / 6.4
フルのデータはこちらです↓。
かいつまんだデータはこれ↓。
過去の受賞者です↓
結論として、やはりローリングスのゴールドグラブ賞は現場のアツい視線を重視していると言える。
セイバーメトリックスは「あくまで補助的な資料」。そんな印象がますます強くなった今年の選出だったと思います。
日本時間8日のウィルソンの賞の発表も楽しみになってきました。
プラチナ・グラブ賞決定
(追記です)2018年11月10日
現地2018年11月9日、プラチナ・グラブ賞が発表されました。
プラチナ・グラブ賞とはすでに発表となったGG賞受賞者の中から各リーグ1人、最優秀選手を選ぶ賞です。これはファンの投票によって決まります。2011年から始まりました。
今年はア・リーグがマット・チャップマン、ナ・リーグがノーラン・アレナドが選ばれております。
お読みいただき、ありがとうございました。
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