2023年のPSで活躍
現地2025年2月21日、シカゴ・カブスはOFの新たな選択肢としてレンジャーズからFAとなっていたOFの守備の名手、トラビス・ジャンコウスキー(Travis Jankowski)とマイナー契約で合意した模様です。
ジャンコウスキーはNRI(Non Roster Invitee)として大リーグキャンプへ参加する予定です。
メジャー契約へ移行ならロスター調整
カブスは現時点でロスターがフルなので、この契約がもしメジャー契約であるなら、また契約自体はマイナー契約でも今後、スプリング・トレーニングの出来如何でジャンコウスキーをメジャー・ロスターに加えるなら、その枠を空ける必要が出てきます。
トラビス・ジャンコウスキーにとってもかなりハードルの高い状況ではありますが、ここは踏ん張りどころです。
トラビス・ジャンコウスキーとは
トラビス・ジャンコウスキーは1991年6月15日生まれで、2025年の誕生日で34歳になるベテラン。
もともとは2012年のパドレスの1巡目指名で、全体順位は44位。NCAAでは打率.414(2012年)を記録したこともあり、また30盗塁以上を2シーズン連続で決めるなどかなり期待されてプロ入りした選手です。
2012年、2013年とロー・マイナーでは打率.280台をマークし、プロとしえまずまずのスタートを切りましたが、2014年にダブルAレベルに上がったものの、打率は.230-.240の辺りで低迷。ちょっと心配な時期もありましたが、翌2015年はダブルAで73試合で.316/.395/.401、SB 23をマーク。その後、トリプルAに昇格しても24試合ながら.392/.464/.495の好成績を維持。これが評価されて2015年に24歳でメジャー・デビューすることになりました。この年は34試合に出場して打率.211。
2016年は131試合に出場。.245/.332/.313をマークし、SBは30。輝きを見せたシーズンでした。
2017年はメジャーでわずか27試合の出場にとどまり、打率.187、SLG.213と壊滅的なシーズンでした。しかし、2018年にはレギュラーに近い存在となり、OFの3ポジションすべてで出場機会を得るなど計117試合に出場し、打率.259、HR 4、RBI 17、RUN 45、SB 24をマーク。これから盛り返して行くのか!?と思われたのですが、翌2019年はわずか25試合の出場にとどまり、22打数4安打で打率.182でシーズンを終了。
レッズへ
2019年オフにはパドレスがインターナショナル・ボーナス・スロットを獲得したトレードでレッズにに移籍。 短縮シーズンとなった2020年は、16試合に出場したものの、1安打を放ったのみで打率は.067。この年はトレバー・バウアーがレッズでサイ・ヤング賞を獲得したシーズンでしたが、レッズはポストシーズンに進出したものの、ワイルドカード・シリーズでブレーブスに敗退。ジャンコウスキーは1盗塁を決めております。
2024年のレンジャーズまで
2021年にはFAとしてフィリーズとサイン。76試合に出場して打率.252。2022年にはメッツとマリナーズの2クラブに在籍し、合計44試合に出場し、打率はやはり.164と低迷。
アマ時代に打ちに打ちまくっていた選手ですが、打撃が不安定なまま2023年、32歳でレンジャーズに移籍することに。
2023年はレンジャーズのOFの4番手として計107試合に出場。打率.263、HR 1、RBI 30、OPS+ 94とキャリアの中では非常に良い成績を残しました。主に守備力と走力を買われて起用されたわけですが、2度目となったポストシーズンではレンジャーズのワールドシリーズ制覇に貢献。
ALCSでレンジャーズがアストロズを破った4試合で2打数1安打をマーク。Dバックスとのワールドシリーズでは7打数2安打、2打点と活躍。アドリス・ガルシアが負傷欠場したため、最後の2試合はRFとして先発出場するなど、非常に良い役割を果たしました。この穴埋めは大きかったです。
2024年にはスーパー・プレーを披露
上述のように多くのHRを打つタイプではなく(10シーズンでわずか11本)、打撃も非常に不安定。MLB通算で681試合で、.236/.319/.305、wRC+77、SB 102。
ただ、守備と走塁には定評があり、HRを打つことはめったにないものの、HRの強奪は出来ます。
2024年8月28日、ギャランティード・レート・フィールドでのホワイトソックス戦で、レンジャーズはシーソー・ゲームの中で9回に1点を勝ち越し、4-3と1点をリードして迎えた9回裏、アンドリュー・チェイフィンをマウンドに送り、逃げ切りを図ります。そしてLFには守備固めとしてワイアット・ラングフォードに代わって、トラビス・ジャンコウスキーが入りました。
しかし、チェイフィンは先頭のニッキー・ロペスに出塁を許すなど、1アウト1、2塁で一発のあるアンドリュー・ボーンを打席に迎えます。この状況でチェイフィンは丁寧な投球で2ストライクを早めに奪います。あとはフィニッシュというところだったのですが、5球目のスライダーが真ん中低めに入り、これをボーンに捉えられます。打球は完全にHR軌道。これでホワイトソックスがサヨナラ勝ちすると思った瞬間、トラビス・ジャンコウスキーが右手でフェンスを掴み、ウォール上部から上半身を大きくせり出し、HRをキャッチ!
このプレーは状況といい、うまさといい痺れるような素晴らしいプレーでした。2024年の好プレーのトップランクと言っていいでしょう。
PCAを脅かすか?
そんな守備と走塁に定評のあるトラビス・ジャンコウスキーですが、カブスではCF、もしくはLFのバックアップ・ロールを目指すことになります。
特にCFのPCAことピート・クロウ=アームストロング、LFのイアン・ハップ、鈴木誠也選手がいるなかこの競争に食い込めるかが注目です。
特に、PCAはジャンコウスキーと似たタイプでメジャーではこれまで打者としては良い結果を出していません。このPCAを脅かす存在となれば、カブスにはさらに選択肢が拡がり、面白いことになるのですが、どうでしょうか?
トラビス・ジャンコウスキーのスプリング・トレーニングでの動向に注目したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント