BA、OBPに堅実性あり!
現地2025年1月13日、今オフ静かなシアトル・マリナーズは懸念となっていた3B候補にベテラン・内野ユーティリティーのドノバン・ソラーノ(Donovan Solano)を獲得にするに至りました。
一発はほぼありませんが、とにかく守備も打撃も非常にあり。マリナーズは2024シーズンはメジャー・トップクラスのローテーションを擁しながら、貧打過ぎて敗れました。なかでも頭が痛かったのはメジャーワーストの1625三振を喫したこと。
大味になりつつあった野球を堅実に戻すためにもドノバン・ソラーノの獲得はベターな選択になったと言えそうです。
契約内容
マリナーズとドノバン・ソラーノの契約はすでにオフィシャルです。契約内容は大筋では以下の通り。
- 1年/$3.5M (2025)
- パフォーマンス・ボーナス: $1M
ドノバン・ソラーノは37歳(誕生日は1987年12月17日)ですから、シンプルに単年での契約でオプションなどはつかないと見ていいでしょう。
LHP: オースティン・キッチンがDFA
なお、ドノバン・ソラーノの獲得により、マリナーズはロスターを空けるために左腕のオースティン・キッチンをDFAとしました。オースティン・キッチンは2025年2月で28歳。2024年はマイアミでメジャー・デビュー(27歳)を果たし、4試合に登板してERAは14.14。2024年9月初旬にマイアミからDFAとなり、マリナーズがウェーバーでクレームオフしていました。2024年はマイアミのトリプルAで10試合でERA 2.87を記録しています。
ドノバン・ソラーノとは
ドノバン・ソラーノは優秀な内野のユーティリティ・プレーヤーの一人として、まさに堅実に活躍。
特に印象が強かったのは2019年から2021年までのジャイアンツ時代での活躍で、ジャイアンツは2021年に107勝をマークしましたが、ドノバン・ソラーノがとにかくいいつなぎを見せました。
メジャー・デビューはマイアミ時代の2012年。そこから2014年までの3シーズンで計252安打を放ち、打率.264、OBP .315、SLG .336をマーク。
2015-2018はキャリア終焉の危機
まずまずのキャリアの滑り出しだったのですが、マイアミでの最後の年となった2015年から成績が落ち込みはじめ、この年はほぼトリプルA。2015年オフにはマイナーFAとなり、ヤンキースとマイナー契約でサインするも、2016年は9試合にしか出場出来ませんでした。2017年もヤンキース傘下でプレーするも、メジャー出場はなし。さらに2018年はドジャースとマイナー契約を結ぶ、ここでもメジャー出場はなし。27歳から30歳までの4シーズンはまさに地獄を見た時期で、ほぼキャリアが終焉してしまう危機に陥ったのでした。
ジャイアンツで転機
2019年1月、ドノバン・ソラーノはジャイアンツとマイナー契約を交わし、なんとかキャリアをつなぐことが出来ました。2019年、ドノバン・ソラーノはジャイアンツで81試合に出場。限られた機会ながら、打率.330、OBP .360、SLG .456、OPS .815をマーク。ここからキャリアの巻き返しが始まります。
2020年にSS賞!
短縮シーズンとなった2020年、ドノバン・ソラーノはレギュラーシーズン中はナ・リーグの打率部門をずっとリード。最後は落ちてしまいましたが、それでも60試合中54試合に出場し、打率.326、OBP .365、SLG .463、OPS .828をマーク。HRは3本ながら、二塁打 15本を放ち、OPSも上がり、オフにはNLの2Bでシルバー・スラッガー賞を受賞。
そして上述の2021年には101試合に出場し、.280/.344/.404、OPS .748をマークし、ジャイアンツの打線を線にする見事なつなぎを見せ、その後、2022年にはレッズとサインし、80試合で.284/.339/.385をマーク。
2023年はツインズに移籍し、134試合に出場して.282/.369/.391をマーク。そして2024年はパドレスで96試合に出場し、.286/.343/.417をマーク。
6シーズンでOPS+110
つまり、ドノバン・ソラーノは直近6シーズンでコンスタントにヒットを量産しているのです。
6シーズンで546試合に出場したソラーノはPA1838、AB 1667、安打数490を記録。.294/.353/.413、OPS.767、OPS+ 110とかなり優秀な数字を叩き出しております。また同期間のwRC+は112で、リーグ平均は100ですから12%も上回っています。
また同期間のBABIPは.360。BABIPは前に飛んだ打球が安打になる確率と考えて良いのですが(HRは除いている)、四球率も特別高いわけではないので、当てる感覚はヒッターとしてかなり優秀と言っていいと思います。
なお、HR数は平均で年間7本というところです。
マリナーズの三振数
三振数を減らしたいマリナーズにとってはマッチしているとも言えます。
マリナーズは2023年にユーヘニオ・スアレス(214)、テオスカー・エルナンデス(211)、フリオ・ロドリゲス(175)、カル・ラレー(158)、ジャレッド・ケルニック(132)、JP・クロフォード125)とかなりの三振を喫しました。
2024年はカル・ラレー(176)を筆頭に、フリオ・ロドリゲス(156)、ホルヘ・ポランコ(137)、ルーク・レイリー(135)、ミッチ・ガーバー(133)とトップ2が抜けたにも関わらず、上述のようにMLBワーストの1625三振を喫したのでした。ちなみにバット・ヘルプで入ってきたランディー・アロウザリナもマリナーズに来てから68三振を喫し、SO%は28.5とかなり高かったので三振に限って言えばむしろガソリンを追加投入という感じでした。リーグ平均は22.8%。
なお、ドノバン・ソラーノのSO%は2019年から2024年までは20.2%。2024シーズンに限っては21.2%でリーグ平均を超えることはなかったです。
3B・2B候補
マリナーズは2024年1月にトレードでツインズから獲得してきたホルヘ・ポランコの2025年のクラブオプションを拒否。SSはこれまで通り、J.P.クロフォードが残り、ドノバン・ソラーノは3Bもしくは2Bということになりそうです。
今のところは3Bにディラン・ムーア、2Bにドノバン・ソラーノ、1Bにルーク・レイリーというところでしょうか。あとはレオ・リバス、オースティン・シェントン、タイラー・ロックリア、サマド・テイラーらも争いに加わるという様相です。
動くか?
やはり3Bに強いバッターが欲しいマリナーズは、これからまだ動くかもわかりません。ジャスティン・ターナーの噂もありましたが、単価が高くてこのまま見送った結果がこのドノバン・ソラーノのディールなのかもしれません。
そしてオフシーズン当初から噂になっていたルイス・カスティーヨのトレードはあるでしょうか?カスティーヨのトレードがあるなら、やはり3Bの補強ということになるでしょう。見ものですね。
なお、マリナーズはスコット・サービス監督を2024年のシーズン途中に解任し、暫定監督にダン・ウィルソンが就任しましたが、オフシーズンも新監督の動きはなく、どうやらダン・ウィルソンが2025年も指揮を執り続けるようです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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