2024年はSTLのブルペンでフル稼働
現地2025年1月9日、オリオールズがブルペンを補強しております。アンドリュー・キットリッジ(Andrew Kittredge)と1年契約で合意しています。2025シーズンはクローザーのフェリックス・バティスタがトミー・ジョン手術から復帰するシーズンですが、今回のキットリッジの獲得はゲーム終盤により柔軟な選択肢をもたらせます。
アンドリュー・キットリッジは2024年はカージナルスで74試合に登板し、フル稼働したリリーバーです。
契約内容
オリオールズとアンドリュー・キットリッジの合意内容は大筋では以下の通り。
- 1年/$10M保証(2025)+クラブオプション
- 2025: $9M
- 2026: $9M クラブオプション($1Mバイアウト)
2026年のバイアウト分を含めると計$10Mという契約。実績のあるリリーバーなのでさすがに単価が高いです。マルチ・イヤー・ディールになるかと思ったのですが、2年目はクラブ・オプションとなりました。
背景:J・ホフマンを獲れず!
オリオールズは2023年に101勝を上げ、ALイーストを制覇。その守り方の原動力となったのはなんと言っても後ろの良さ。8回のイエニエル・カノー、9回のフェリックス・バティスタが圧倒的な強さを発揮しました。フェリックス・バティスタは同年は33セーブをマークし、AL最優秀救援賞に当たるマリナーノ・リベラ・アウォード (2023)を受賞。ちなみに2023年のALのセーブ数のトップはガーディアンズのエマニュエル・クラセの44セーブでした。
フェリックス・バティスタのTJからの復帰
ただ、2023年は最後はイエニエル・カノー、フェリックス・バティスタともに息切れし、フェリックス・バティスタはトミージョン手術を余儀なくなされ、2024シーズンは全休しました。
そのフェリックス・バティスタの復帰時期ですが、トミー・ジョン手術を受けたのが2023年10月初旬ですから、18ヶ月で計算すれば2025年4月初旬となり、若干開幕からずれ込みます。ただ、リハビリが順調なら術後14ヶ月目となるスプリング・トレーニングのワークアウトからは復帰でき、現地3月27日のオープニングからフル稼働できる見込みがあり、オリオールズもそのつもりでいるようです。
J・ホフマンを獲れず!
ただ、フェリックス・バティスタが万全な状態になるためには無理な復帰スケジュールは不要で、今回のアンドリュー・キットリッジの獲得は万が一の復帰のずれ込みのリスクも想定しての獲得です。
実はオリオールズはアンドリュー・キットリッジとのディールが成立する前に、フィリーズからFAとなっていたジェフ・ホフマンの獲得に乗り出していました。実現すればフェリックス・バティスタとのダブルストッパーとなり、フェリックス・バティスタに余裕を与えます。
しかし、ジェフ・ホフマンはブルージェイズと3年/$33Mという好条件で合意。オリオールズは競り負けたということですね。このディールが今回のアンドリュー・キットリッジ獲得に影響を与えたと言えそうです。
また、オリオールズはジェフ・ホフマンの身体検査にクレームをつけたとも言われており、オリオールズのメディカルの目線が正しいかどうかはジェフ・ホフマンの2025年以降のパフォーマンスで証明されることとなります。
オリオールズのブルペン
そんなオリオールズの現時点のブルペンはご覧の面々。
- フェリックス・バティスタ (RHP)= クローザー
- セランソニー・ドミンゲス(RHP)
- アンドリュー・キットリッジ(RHP)
- イエニエル・カノー(RHP)
- シオネル・ペレス(LHP) ←超ハードスローレフティー
- グレゴリー・ソト(LHP)
- コリン・セルビー(RHP)
キーガン・エイキンはおそらく先発として見込まれおり、先発枠に入れない場合はブルペンとなります。ちょっと左が少ないか?という編成です。FAとなっているダニー・クーロムはそのまま流しそうですね。
アンドリュー・キットリッジとは?
アンドリュー・キットリッジと言えば、レイズ時代にリリーバーとして名を上げた右腕ですね。1990年3月17日生まれで2025年は開幕前に35歳となるベテラン。
高卒時の2008年にマリナーズから45巡目で指名を受けるも、サインを拒否。その後、ケイプ・コッド・リーグ(独立リーグ)でプレーし、2011年8月にアマチュアFAとしてやはりマリナーズとサインするに至りました。マリナーズでは2016年までマイナーでプレー。2016年11月にレイズに移籍しました。メジャー・デビューは2017年で27歳の時。15試合でERAは1.76。
2018、2019とそれぞれ30試合ずつ登板するも、この頃は品質が定まっておらず、ERAは7.75、4.17と高いままでした。良い兆候が見えたのは2020年。60試合中、8試合に登板し、ERA 2.25をマーク。
2021年に輝く→2022年にTJ
そして2021年は輝きました。57試合、71.2 IPでERAは1.88。この年、けが人の代わりでしたがオールスターにも出場。強いボールを投げましたね。
ところが、2022年は6月に肘痛を発症。結果、トミー・ジョン手術を行うこととなり、2022年の残りを全休。さらに2023シーズンは、8月18日まで復帰出来ませんでした。2023年は14試合でERAは3.09。
2024: カージナルスへ
現地2024年1月5日、カージナルスとレイズの間でトレードが成立し、リッチー・パラシオス(OF)とのトレードでカージナルスへ。
2024年、アンドリュー・キットリッジはクローザーのライアン・ヘルスリーへのセットアップ・マンとしてフル稼働。なんと74試合に登板し、70.2イニングを投げ、5勝5敗、ERA 2.80の好成績をマーク。トミー・ジョン手術明け初のフルシーズンとは思えない活躍。このイニング数でBBが20だけという堅実な仕事をする右腕です。2024年のBB%は7%でリーグ平均以下の高品質です。
特徴
レイト・イニングを任されるリリーバーですが、ファイヤー・アームではありません。シンカーとフォーシームが94-95mphのレンジ。得意のスライダーを含め、左右にボールを動かして打ち取るのが心情です。
左に弱い!
ちょっと悪い数字も出ております。スライダーとシンカーのミックスで勝負する投手の傾向に多いのですが、左打者に苦戦しています。
2024年は右打者を.188/.247/.291に抑えたにも関わらず、左打者は.296/.337/.571で、PA 104でHR 6。ここが問題です。
キャリア全般で行けば、右打者は.248/.286/.378で左打者は244/.320/.455と、打率にさほど差はありませんが、左打者に長打を喫している傾向があるとも言えそうです。2024年は差が顕著に出てしまいました。その点を2025年はどう改善するのか、見ものです。
ただ、キットリッジ自身は元レイズで勝手知ったALイーストですから、なんとかするでしょうね。
オリオールズの補強
今オフ、オリオールズはチャーリー・モートン($15M)、菅野智之投手($13M)、ゲーリー・サンチェス($8.5MM)に加え、タイラー・オニールと3年/$49.5Mでサイン。
アンドリュー・キトレッジはFAとして5人目の契約であり、FA投手としては3人目。
新オーナーはそれほど大盤振る舞いとはなっておりませんが、前オーナーよりも補強には熱心ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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