地元を優先したクリス・マーティン
現地2025年1月7日、テキサス・レンジャーズがボストン・レッドソックスからFAとなっていたクリス・マーティン(Chris Martin)と1年契約で合意しました。
このディールによりレンジャーズは40manロスターを空けるため、31歳の右腕のマット・フェスタをDFAにしています。
契約内容
レンジャーズとクリス・マーティンのディールですが、現時点では大筋で以下の内容で合意。これがまた格安だったのです!
- 1年/$5.5M保証 (2025)
前の契約
これがどれくらい格安だったかというと前の契約を見ればわかります。
- 2 年/$17.5M (2023-24)
- 2022年12月にレッドソックスとサイン
- サイニング・ボーナス:$4M
- $1M (2022/12支払い)、 $1.5M(2023/6支払い)、 $1.5M (2024/6支払い)
- $6M(2023)、$7.5M(2024)
- 1%をクラブ・チャリティーへ寄付
前のレッドソックスとの契約はAAVで$8.75Mでした。
レッドソックスはより高額オファーを提示
すでにXなどでも話題になっていましたが、直近2年でブルペンを安定させたクリス・マーティンに対して再契約を望んでいたレッドソックスはより高額なオファーを出したと言われています。ファンとしてもクリス・マーティンの再契約は望むところで、そう動いてくれたクレイグ・ブレスローもありがたかったです。また、レッドソックスの他にも良い条件を出したところもあったと言われています。
それでもクリス・マーティンは良い条件を蹴ってでもレンジャーズを選んだということに。
引退?そして地元を優先
現地2024年9月18日にクリス・マーティンは近い将来、引退を考えているという報道が出ました。
”To be 100% honest, I think next year will be my last year”
「2025年がファイナル・イヤーになるであろう」と。
額面どおり捉えていいかどうかはちょっと疑問です。こう発言した意図がよくわからないのです。というのも、直近2年の成績が一番輝いていたからです(NPBでの2シーズンも素晴らしかったですが)。1986年6月2日生まれのクリス・マーティンは上記の報道時点で38歳であり、2025年6月に39歳となります。確かに近い将来に引退を予定してもおかしくはないです。
仮に2025年がキャリア最終年と考えた時にクリス・マーティンが優先したのは地元でプレーすることとでした。クリス・マーティンはテキサス州のアーリントン・ハイスクールの出身でレンジャーズは地元中の地元。同校の卒業生にはジャイアンツで活躍したハンター・ペンスがおります。
クリス・マーティンとは
クリス・マーティンは高校卒業後、2004年のアマチュアドラフト18巡目でタイガースから指名されましたが拒否し。地元の短大に進み、2005年のアマチュアドラフトで今度は21巡目でロッキーズから指名されましたがこの時も拒否。
地元でバイト
その後、肩を痛めてプロ野球選手としての希望は絶たれたような日々が続きました。有名な話ですが、クリス・マーティンはホームセンター的な位置づけの小売店のロウズ(Lowe’s)、宅配のUPSなどで働き、さらには家電などを扱うテキサス・アプライアンス(Texas Appliance)では3年近く棚の整理の仕事をしていました。そのうち肩が治り始め、地元のリーグでプレーを再開します。
ロッキーズが彼をドラフト指名してから5年後の2010年、彼は独立リーグのチームでテキサス州にあるグランドプレーリー・エアホッグス(Grand Prairie AirHogs)に入団。そこで13試合に登板して4勝0敗、ERA 1.96、36.2 IPで36K/9BBを記録。これがレッドソックスの興味を引き、2011年3月にアマチュアFAとしてレッドソックスとマイナー契約を結びました。
2011年はクラスAのグリーンビル・ドライブで7試合で4勝0敗、ERA 2.17、WHIP.76。クラスA+のセーラム・レッドソックスで13試合で2勝1敗、4セーブ、ERA 0.92、WHIP 0.89。さらにダブルAのポートランド・シー・ドッグスで3試合、0勝1敗、ERA 2.55、WHIP.95をマーク。ポートランドでは苦戦しながらもプロとしては上々のデビューを果たしました。
2012年はダブルAのシー・ドッグスで過ごし、先発とリリーフでERA 4.48をマーク。2013年にはダブルAから始まり、トリプルAにも昇格。この年はすべてリリーフで42試合に登板し、ERA 2.25をマーク。
2013年12月、レッドソックスがロッキーズからジョナサン・ヘレーラを獲得したトレードでフランキー・モンタスとともにロッキーズへ移籍。
メジャー・デビューはロッキーズ移籍後の2014年で4月26日。この時はすでに28歳でした。この年は夏以降はトリプルAに降格され、メジャーでは16試合でERA 6.89。
2015年1月にロッキーズからDFAとなったクリス・マーティンは、その後すぐに金銭トレードでヤンキースに移籍。2015年のほとんどをトリプルAで過ごし、メジャーでは24試合でERA 5.66。
そしてご承知の通り、2016年と2017年は日本ハムでプレー。2016年は52試合でERA 1.07、2017年は40試合でERA 1.19 (一軍成績)と抜群の数字を残し、見事にアップグレードを完了!
2017年12月にレンジャーズと2年/$4M (2018-19)でサイン。2018年は46試合でERA 4.54。2019年はトレード・デッドラインでブレーブスに移籍。ブレーブスには2021年まで在籍。ワールドシリーズ制覇にも貢献しました。
2022年にはカブスと1年/$2.5M (2022)でサイン。カブスではERA 4.31とあまり締まりませんでしたが、トレードデッドラインでドジャースに移籍後は26試合でERA 1.46をマークしました。
2022年オフにレッドソックスと上記の2年契約でサインし、2023年は55試合でERA 1.05と素晴らしすぎる投球を見せ、2024年も45試合を投げ、ERA 3.45をマーク。引退をほのめかしてはおりますが、直近2年37歳と38歳のシーズン成績がキャリアハイとなっているほど進化しているのでした。
Chris Martin turned down a more lucrative offer from Red Sox so he could pitch closer to home, per @Bradfo.
— Tyler Milliken (@tylermilliken_) January 7, 2025
Red Sox continue to be connected to the reliever market.
pic.twitter.com/4vbG91h712
2023年に23.1%だったSO%は27.8%に改善。2023年に4%を記録したBB%を2024年はキャリア最低の1.7%に減らしています。このあたりの品質が素晴らしすぎるので、本当に2025年に引退するのか?と思うのです。
TEXのブルペン
レンジャーズは2024年のブルペンであったカービー・イェーツ、デービッド・ロバートソン、ホセ・ルクラク、ホセ・ウリーナ、アンドリュー・チェイフィンらがFA。またジョシュ・スボルツが肩の手術で悲観的に見れば前半を失うという可能性もあり、補強は必至。
今のところはショーン・アームストロング、ジェイコブ・ウェブ、ホビー・ミルナーらを獲得。さらにナサニエル・ロウとのトレードでナショナルズからサウスポーのロバート・ガルシアも獲得しています。
クリス・マーティンの加入はレンジャーズにとって大きな力になります。経験豊富ですが、これまではほぼセットアップ・ロール。レンジャーズがクローザーを補強するのか?はたまたクリス・マーティンをクローザーとして起用するのかは今のところわかりません。
今季のレンジャーズは先発が期待大なだけにブルペンを安定させるのにもう1人くらいは欲しいところですね。
TEXの贅沢税
レンジャーズは2023年、2024年と2年連続で贅沢税の閾値を超過。
2025年は現時点では閾値$241Mに対して$233M。このまま行くと、今季も超過となりそうですが、果たして誰かをトレードに出してブルペンを補強するのか?それとも今回も肚をくくって超過を良しとするか?注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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