上原投手と同じBALで挑戦
現地2024年12月16日、巨人からMLB挑戦を表明していた菅野智之投手の契約が成立。ALイーストのボルチモア・オリオールズへの入団が決まりました。
巨人からMLBへの挑戦と言えば上原浩治投手がおりますが、菅野投手の今回のMLB挑戦はその上原投手とかなり似ております。
MLB最初の着地点はオリオールズであり、上原投手はNPB 11シーズンを経て2009年に34歳でMLBデビュー。菅野投手はNPBで12シーズンを経て、2025年は35歳でのデビューとなります。上原投手はNPB 112勝67敗33セーブ、ERA 3.02。菅野投手は136勝74敗、ERA 2.43。菅野投手の武器はスライダーですが、フォークを操る点でも似ており、ともにコントロールがよいですね。
海外FAでの契約
NPBのFA権の要件は2つ
- 国内FA権:8シーズン
- 海外FA権:9シーズン
NPB通算12シーズンの菅野投手は2021年終了時点で海外FA権を取得済み。よって、今回の契約は海外FA権を行使しての契約となり、それ未満のポスティング・プロセスではありません。
海外FA権の行使による契約は直近では現メッツの千賀投手、元レッズの秋山翔吾選手のケースと同じになり、受け入れ側のオリオールズはリリース・フィーを支払う必要もありませんし、インターナショナル・ボーナス・プールの金額枠を減額されることもありません。
契約内容
オリオールズと菅野投手の契約は大筋ではご覧の通り。
- 1年/$13M (2025)
オリオールズで3番目に高額
このディール価格はオリオールズではザック・エフリン、タイラー・オニールに次ぎ3番目に高いされラリーとなります。ザック・エフリンは3年/$40M (2023-25)のうちの2025年のサラリーが$18M、タイラー・オニールは3年/$49.5M (2025-27)で$16.5M/年の均等払いです。
アドレー・ラッチマンやガナー・ヘンダーソンはドラフト組なので、まだメジャー最低年俸の規定どおりです(現地2024年12月17日時点)。ただ、ラッチマンはMLSが3.000で調停イヤー。ガナー・ヘンダーソンはMLS2.036なのでスーパー2の適用により、調停ステータスになりますので、これから1月半ばにかけて2025年のサラリーが決まります。その際にオーナーが代わったオリオールズですから、延長契約に変えるかもしれませんね。
2020年オフの挑戦は一旦取りやめ
菅野投手は2020年オフにもポスティングシステムを利用して移籍を目指したものの、契約合意に至らず巨人に残留。
選手としての年齢は2021シーズンは31歳でしたので、フィジカル的にはここがベターだったのですが、この時は一言で言えばタイミングが悪かったです。コロナパンデミックのシーズンを終えた後の各クラブはゲート収入が途絶えたことで財政が悪化。カブスでさえ難儀していたような状況でした。ゆえにレベニュー・シェアリングを受けているようなスモールマーケットのクラブの参戦は難しく、選択肢も限られました。
これで菅野投手のMLB参戦はもうないと多くの人が思ったと思います。筆者もそう思いましたが、きっちりと調整して今回は見事ディール成立となりました。しかもサラリーも前年よりはアップでさらに為替差益もありますから、現時点でのレートなら19.9億円でほぼ20億円ですね。
なお、菅野投手は国際大会では2015年にWBCプレミア12、2017年にWBCに出場。特に2017年のWBCではセミファイナルでアメリカ戦に先発。6イニングを被安打3,失点1、BB 1、SO 6と素晴らしい投球を見せました。下記はゲームのフル動画です。
オリオールズのローテーション
さて、オリオールズのローテーションですが、非常に強力です。
ザック・エフリンを軸にグレイソン・ロドリゲス、ディーン・クレマー、トレバー・ロジャース、アルバート・スアレス、ケイド・ポビッチ、チェイス・マクダーモット(Chayce McDermott)ら。タイラー・ウェイルズは2024年6月にトミー・ジョン手術なので2025年はおそらく全休。なかなかの顔ぶれで、ここに菅野投手が入ることで、この中でブルペンに回る人も出てきて、イェニエル・カノー、セランソニー・ドミンゲスらにつなぐのですから、層が厚いです。
クローザーのフェリックス・バティースタは2023年10月にトミー・ジョン手術を実施。2024年は全休しましたが、2025年は回復が順調なら開幕からOKとなりそうです。
オリオールズ、2025年も強そうですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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