レッドソックス、注目左腕を獲得
現地2024年12月11日、ウィンター・ミーティング最終日、ボストン・レッドソックスとシカゴ・ホワイトソックス間で大型トレードが成立。今オフにトレード・ターゲットと噂のあった左腕のギャレット・クロシェ(Garrett Crochet)を獲得しました。
今回のハードスロー・レフティーのギャレット・クロシェの獲得は2016年12月に成立したクリス・セールのトレードに似ていると思った方も多いのではないでしょうか。
BOSTON GET | CHICAGO GET |
クリス・セール | マイケル・コペック ヨアン・モンカダ ビクター・ディアス ルイス・A・バセベ |
トレード概要
今回もクリス・セールの時と同様に1:4のトレードとなりました。
レッドソックスGet
- ギャレット・クロシェ(Garrett Crochet/シーズン途中で26歳)LHP
ホワイトソックスGet
- カイル・ティール(Kyle Teel/23歳)C or OF/B:L、T:R/ 2023年1巡目
- ブレーデン・モンゴメリー(Braden Montgomery) OF/B: Both、T: R/ 2024年1巡目
- チェイス・マイドロース(Chase Meidroth/23) INF/B:R、T:R/ 2022年4巡目
- ウィキルミン・ゴンザレス(Wikelman Gonzalez/23 ) RHP / アマチュアFA
選手紹介
【BOS】ギャレット・クロシェ
ギャレット・クロシェは2020年のアマチュア・ドラフト全体11位で指名されてプロ入り。指名されてわずか2ヶ月ほどの現地2020年9月18日に衝撃のメジャー・デビューを果たしました!パンツの裾をロールアップしているのも注目ポイントでしたね。
このシーズンはご承知の通り、コロナパンデミックでMLBの開幕が7月23-24日となり、60試合のみの短縮シーズン。しかもマイナー・リーグがキャンセルされた中、いきなりのメジャー・デビューにかなりの衝撃が走ったのを覚えております。
レギュラーシーズンでは5試合、6.0 イニングを投げ、奪三振8のERA 0.00。ポストシーズンではALWCシリーズでアスレチックス相手に0.2イニングに登板。2奪三振でした。
翌2021年にもブルペンで起用されたギャレット・クロシェは54.1イニングを投げてERA 2.82、FIP 2.80をマーク。ホワイトソックスのブルペンの要となりました。しかし、翌年の2022年は開幕前の4月1日にGMのリック・ハーンからトミージョン手術の必要性を発表され、そのまま手術となり、2022年のシーズン全体と2023年の大半を欠場することに。
復帰したのは2023年5月18日でやはりブルペンでの登板でしたが、トミー・ジョンからの復帰1ヶ月後に今度は左肩の炎症を抱えることとなり、またしてもIL入り。再復帰はシーズン終了間際の9月22日で、2023年は結局13試合、12.2イニングで0勝2敗、ERA 3.55、BB 13、SO 12で終了。三振か?四球か?というような投球に終始。
先発へ抜擢され大躍進!(2024)
2024年3月、チームのリビルドでどうなるか?と思われたホワイトソックスはギャレット・クロシェを先発ローテーションに入れるだけでなく、オープニング投手にも起用。
2023年は手術の影響を鑑みたとしても、伸び悩みか?とさえ思われ出したギャレット・クロシェ。しかし、この配置転換により大きく羽ばたくことに。心配は肘、肩を傷めたこの既往症で果たしてどこまでやっていけるのか?というところでしたが、そんな心配は杞憂とばかりギャレット・クロシェはエンジン全開でした。
ギャレット・クロシェはチームが121敗を喫した壮絶なシーズンを過ごす中、ただ一つの輝きとなり、ほぼ皆勤賞とも言える32試合に先発し、146.0イニングを投げ、ERA3.58(ERA+115)、FIP 2.69という驚異的な成績をマーク。もしも121敗のチームでなければどれほどの勝ち星を積んでいただろうか?という圧巻の投球を披露しました。
2024年に少なくとも100イニングを投げた先発投手の中で、クロシェは奪三振率(35.1%:リーグ平均は22.9%)とSIERA(2.53)でリーグをリードし、同時に前年に20.3%を記録したBB%は5.5%に改善。リーグ平均が8.6%ですから、いかに高品質投球を繰り広げてきたかというシーズンになりました。
まさにホワイトソックス時代のクリス・セールのような道を辿っているのでした。
2020年、デビュー時のクロシェのアベレージ・ベロシティーは4シームが100.1mphをマーク。ショートイニングで球数も少なかったので高い数字が出るのは当然ですが、2024年は1年間、ローテーションを守った中でシンカーは97.9mphを記録。4シームは97.2mphでした。この数字も驚異的なものです。
【CWS】カイル・ティール
ホワイトソックスは2023年のレッドソックスの1巡目、カイル・ティールを獲得しました。
MLBパイプラインのPre-2024のトップ・プロスペクト・ランクでは40位にランクインし、シーズン終了後の現時点の同ランクは25位。トレード成立時点のレッドソックス内のランクは4位でした。
2023年にプロデビューし、ルーキー・レベル、クラスA+、ダブルAの3レベルで26試合で91-33、.363/ .483/ .495、OPS .977をマーク。HR 2,RBI 22。
2024年はダブルAからスタートし、シーズン後半はトリプルAに昇格。両レベルを併せて112試合で.288/ .386/ .433、OPS .819、HR 13、RBI 78をマーク。今季はMLBデビュー間違いなしというところまで来ていた期待の選手でした。2024年は捕手で75試合、DHで75試合に出場しておりました。
【CWS】ブレーデン・モンゴメリー
4月に22歳になるブレーデン・モンゴメリーは2024年のレッドソックスの1巡目指名です。ホワイトソックスはいい選手を2人も持っていきましたね。
打席はスイッチヒッティングで守備はOF。2024年はまだプロデビューしておらず。2024年、NCAAではテキサスA&M大学で295打席に立ち76安打。.322/.454/.733の成績を残しています。HR は27本ですが、金属バットなので参考程度に。しかし、MLB Pipelineの現時点のランクはすでに54位につけており、いかに将来性のある選手かがわかります。
【CWS】チェイス・マイドロース
チェイス・マイドロースは2022年の4巡目指名。23歳の内野手で打席は右。2022年のプロデビュー後は順調に数字も残しており、2024年はトリプルAで1シーズンを過ごしました。成績は.293/.437/ .401、27 HR、85 RBIとデビュー寸前で、ほぼ完成形のような選手で、下手をするとレッドソックスの2B問題が片付いてしまうというくらいの選手でした。
【CWS】ウィキルミン・ゴンザレス
Wikelmanと書いてウィキルミンという音に近い読み方をする彼は、ベネズエラ出身の23歳の右腕。ビッグ・アームには違いないのですが、いかんせんストライクを投げることに苦戦中。
2024年にはダブルAポートランドで83.2イニングを投げてERAが4.73。BB 46、SO 92を記録。40manロースターに登録されていますが、マイナーでの実戦登板で腕を磨きたいところです。
レッドソックスのローテーション
レッドソックスのローテーションは現時点で、ギャレット・クロシェ、タナー・ハウク、ブライアン・ベイヨー、カッター・クロフォード、そしてルーカス・ジオリト。ルーカス・ジオリトは2年契約のうち1年はトミー・ジョン手術のリハビリで潰しました。この2年目に力を発揮して欲しいところです。
ギャレット・ウィットロックはブルペン起用がほぼほぼ決まっています。待望の左のブルペンはすでにアロルディス・チャップマンを獲得。ウィットロックとセットアップロールでゲーム終盤を任されるのではないか?と思われます。またジャスティン・ウィルソンも獲得しているので、左はかなり揃ってきました。
あとはクローザー・ロールでクリス・マーティンと再契約するのか?そして先発はあともう1枚、補強するのか?というところが気になります。コービン・バーンズはどうなるのか?そしてニック・ピベッタとの再契約はどうなるのかも気になりますね。
レッドソックスのプロスペクト
いいプロスペクト野手を3人も手放したレッドソックス。2024年のトレード・デッドラインではニック・ヨークも手放しております。
しかし、まだローマン・アンソニー、マーセロ・メイヤー、クリスチャン・キャンベル、ヨエイリン・セスペデスは残っております。
ホワイトソックスはぜひとも獲得した4人を輝かせて欲しいです。クリス・セールとのトレードで放出したヨアン・モンカダとマイケル・コペックはホワイトソックスでは今ひとつ才能を発揮できずにおりました。モンカダはこんなものか?というくらいに忸怩たるものがあります。マイケル・コペックはホワイトソックスを出てドジャースでその才能を伸ばしつつあります。今回はきっちり育ててもらいたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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