Jackie Robinson Rookie of the Year
MLBは現地2024年11月18日から始まる週はAwards Week!BBWAA(全米野球記者協会)による伝統と権威あるAwardsが次々に発表されます。
その先陣を切って行われるのがROY(Rookie of the Year)の発表です。こちらは正式にはジャッキー・ロビンソンに敬意を表して”Jackie Robinson Rookie of the Year”と言います。1947年から始まったROYは最初の2年間は両リーグを通じて1人のみの受賞でその1番目の受賞者がジャッキー・ロビンソンでした。
現時点でMLBで活躍している選手は2015年以降の受賞者が中心となっています。10年前の2014シーズンの受賞者はホセ・アブレイユ(CWS/AL)とジェイコブ・デグロム(NYM/NL)。前年の2023年はガナー・ヘンダーソン(BAL/AL)とコービン・キャロル(AZ/NL)でした。
ちなみに、日本人では野茂投手(1995/NL)、佐々木主浩投手(2000/AL)、イチロー選手(2001/AL)、大谷選手(2018)が受賞しております。
投票のルール
投票方法は全米野球記者協会(BBWA)に所属する会員の中の30人が、3名を1位から3位まで記載。ポイント制となっていて、1位は5点、2位は3点、3位は1点が付与され、合計点が表示されます。
ROY受賞者
2024年は受賞者は下記の通りです。いみじくも両リーグとも先発右腕が受賞しました。
両リーグともに先発投手が受賞したの1981年のフェルナンド・バレンズエラ(LAD)とデイブ・リゲッティ(NYY)以来2度目。また、両リーグとも投手が受賞した例で行くと、1976年のマーク・フィドリッチ(Mark Fidrych/DET/SP)、ブッチ・メッツガー(Butch Metzger/SDP/RP)、1952年のハリー・バード(Harry Byrd/Phi.Athletics/SP)とジョー・ブラック(Joe Black/Brooklyn/RP)以来4度目のこととなります。
NL:ポール・スキーンズ(PIT)RHP
22歳のポール・スキーンズ(Paul Skenes)は、2023年のドラフトでパイレーツから全体1位に指名され、その翌年にMLBの指折りの投手と台頭するまでとなりました。彼のデビューは5月11日と遅めでしたが、23試合に先発し、133.0イニングを投げ、11勝3敗、ERA1.96、奪三振170をマーク。この170 SOはパイレーツのルーキー・レコードです。またシーズンを通じてBB9がたったの2.2、SO 9は11.5をマーク。BB%は6.2%でリーグ平均の8.2%を大きく上回る高品質を誇り、SO%はリーグ平均の22.6%を大きく上回る33.1%をマークしました。
また、オールスターゲームでナ・リーグの先発として登板。これは1995年の野茂投手以来新人投手の先発となりました。
AL:ルイス・ヒル(NYY)RHP
22歳でシーズンを迎え、8月の誕生日で23歳となったヤンキースのルイス・ヒル(Luis Gil)がア・リーグのROYを制しました。
2021年と22年に短期間メジャーのマウンドを踏んだことのあるルイス・ヒルはトミー・ジョンの手術のため、2023シーズンを全休。その結果、ルーキーステータスは2024年まで維持され、今回の受賞に至りました。
5月にヤンキースのローテーションの柱としての地位を確立。5月は無双状態で6試合に登板して6連勝。その前後を入れると4月21日に今季の初勝利をマークして以来、6月14日まで計11試合に先発して、9勝0敗、ERA1.64、相手打線の打率が.144と圧巻の投球でした。
シーズンの最終成績は29先発で151.2イニングを投げ、15勝7敗、ERA 3.50。奪三振は171を記録しました。
ヤンキースの選手がROYを受賞したのはこれで10度目。2017年のアーロン・ジャッジ以来の受賞となりました。
投票結果
投票の状況を見てみます。
NL
ナ・リーグのROYのファイナリストは、スキーンズの他に、パドレスのジャクソン・メリルとブルワーズのジャクソン・チューリオが選出されていました。
筆者は.292/.326/.500、OPS .826で、HR 24、RBI 90のジャクソン・メリルか受賞するかと思っていたのですが、開票を見るとポール・スキーンズが圧勝しました。スキーンズはシーズン・デビューがやや遅れたのでどうか?と思っていたのですが、上述の通り成績は圧巻でした。
Name | 1st | 2nd | 3rd | Points |
---|---|---|---|---|
ポール・スキーンズ Paul Skenes(PIT) | 23 | 7 | 136 | |
ジャクソン・メリル Jackson Merrill(SDP) | 7 | 23 | 104 | |
ジャクソン・チューリオ Jackson Chourio(MIL) | 26 | 26 | ||
今永昇太 Shota Imanaga(CHC) | 4 | 4 |
ちなみに今永投手を3位に選んだのはシカゴの記者の方2名とLAの時事通信の方1名、そしてサンディエゴのサンディエゴ・ユニオン・トリビューン の記者の方1名の計4名です。
AL
ALの投票結果はこちら。大接戦となりました。ファイナリストはルイス・ヒルの他に、コルトン・カウザーとオースティン・ウェルズ。
コルトン・カウザーは153試合に出場し、.242/ .321/ .447、OPS .768、HR 24、RBI 69をマーク。プレーヤーズ・チョイスではコルトン・カウザーが選ばれました。
Name | 1st | 2nd | 3rd | Points |
---|---|---|---|---|
ルイス・ヒル Luis Gil (NYY) | 15 | 10 | 1 | 106 |
コルトン・カウザー Colton Cowser(BAL) | 13 | 11 | 3 | 101 |
オースティン・ウェルズ Austin Wells(NYY) | 3 | 8 | 17 | |
メイソン・ミラー Mason Miller(OAK) | 1 | 2 | 5 | 16 |
ケイド・スミス Cade Smith(CLE) | 1 | 1 | 4 | 12 |
ウィリャー・アブレイユ Wilyer Abreu(BOS) | 2 | 5 | 11 | |
ワイアット・ラングフォード Wyatt Langford(TEX) | 1 | 4 | 7 |
評価の分かれるところですが、投手としての評価でルイス・ヒルが上回ったというところでしょうか。GG賞受賞のウィリャー・アブレイユ(BOS)を2位で入れた記者もいましたね。
1位に票が入ったメイソン・ミラーはご承知の通り、100mph超えの右腕です。
ガーディアンズのケイド・スミスにも1票が入りました。25歳のリリーバー右腕でカナダ生まれのハワイ育ち。開幕3戦でデビューし、フルで働きました。74試合で75.1 IPを投げ、ERA 1.91。評価したい気持ちもよくわかる活躍ぶりだったと思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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