ALCS Gm5: NYY 5 @ 2 CLE (NYY 4-1)
現地2024年10月19日、この日もヤンキース@ガーディアンズのALCSは面白かったですね。しかし、ガーディアンズはあと1歩のところで敗戦。これでALCSはヤンキースの4勝となり、ア・リーグはヤンキースがワールドシリーズ進出を決めました。MVPはジャンカルロ・スタントンが受賞。ALCSでの打席成績は18-4、3BBで打率は .222でしたが、放った4HRの全てが値千金だった点が評価されました。
ヤンキースのワールドシリーズ進出は松井秀喜選手がMVPを獲得した2009年以来、15シーズンぶりとなります。そしてリーグ・チャンプは今回で実に41回目。
CLEは”Guards Ball(ガーズ・ボール)”の展開に!
崖っぷちのガーディアンズの先発は中3日でタナー・バイビー。ヤンキースはカルロス・ロドン。
”Guars Ball(ガーズ・ボール)”とは
”Guars Ball”とはガーディアンズ式スモール・ベースボールのことでローカルのマスコミが使っている言葉でもあります。まだ若い選手の多いガーディアンズは全てにおいて粗さも目立ち、そのギャップを埋めるために、単打で出塁して、バントや走塁で進塁して得点を上げ、長所である投手力で守り切るというディフェンスをベースとした野球。日本のスタイルと非常に近いものがあります。その”Guars Ball”を機能させるためにはとにかく先制点が必要。過去4戦はいずれもビハインドからのスタートで、厳しい展開が続いていました。
その意味でも前回のGm2で2回持たず、屈辱の早期降板となったタナー・バイビーに期待が寄せられました。
アンドレ・ヒメネスがスーパー・スロー
しかし、タナー・バイビーは初回にまたしてももたつき、先頭のグレイバー・トーレスにシングルで出塁を許します。トーレスに1打席目で安打を許した状況は最後まで変わらなかったですね。
さらにやはり1打席目にヒットを量産しているフアン・ソトには右中間へライナーで間を割られ、長打コースの打球を打たれます。打球の球足は速かったのですが、1塁ランナーのグレイバー・トーレスが生還出来る当たり。
かなりの確率で1点を奪われるという打球コースだったのですが、この日RFで先発出場したジョンケンシー・ノエルがスムーズに処理して、中継に入ったアンドレ・ヒメネスにスロー。ただ、アンドレ・ヒメネスが受けた位置や、走者とホームの距離から考えると間に合わないという距離感。
しかし、ここでアンドレ・ヒメネスのストロング・アームが炸裂。アンドレ・ヒメネスから放たれた送球はあっという間にランナーを追い越し、しかも「ここしかない」というタッチ位置で捕手のボー・ネイラーのグラブに納まりました。これでトーレスはアウトに。スタット・キャストによるアンドレ・ヒメネスの球速は94.4 mph!いきなり、すごいプレーが飛び出しましたね。
これで先取点を免れたタナー・バイビーでしたが、つづくアーロン・ジャッジに死球を与えて1アウト1、2塁でジャンカルロ・スタントンを打席に迎えるというまたしても厳しい場面に直面。
直前のプレーで救われたタナー・バイビーは落ち着いて投球。ジャンカルロ・スタントンを2球で追い込み、インコースへのシンカーをうまく使いながら、最後はバットの届かないところにカットボールを投げて三振に!これで2アウト。つづくジャズ・チザム・Jr.にはカット・ボールがひっかかり死球を与えて満塁となりましたが、アンソニー・リッゾをLFフライに打ち取り、初回は無失点!これでタナー・バイビーは乗りました。
”Guards Ball”実現の第1歩である「先制点を与えない」を具現化しました。
待望の先制点!
2回裏、ガーディアンズはネイラー兄弟の長短打で1点を先制。これがシリーズ初の先制点となり、”Guards Ball”の半分を達成したような形を作ります。
さらに5回裏には、アンドレ・ヒメネスが1アウトから二塁打で出塁。ブライアン・ロッキオが倒れて2アウトとなったものの、1番のスティーブン・クワンがタイムリーを放ち、2点目。
1-0のまま均衡していましたが、ガーディアンズが先に追加点を奪いました。
またしてもジャンカルロ・スタントンにやられる
2回以降、丁寧な投球をしていたタナー・バイビーは、ショート・レストもあったのか、6回表に捕まってしまいます。トーレス、ソトに連続安打を浴びた後、アーロン・ジャッジを6-4-3のダブルプレーに斬って取ったところまでは最高の投球。
しかし、グレイバー・トーレスを3塁に残していたのです。嫌な状況でバッターはジャンカルロ・スタントン。序盤は打たないのに終盤に俄然打ってくるこのスラッガーに対してバイビーは強気に2球で2ストライクを奪います。ただ、最後の1球が決めきれずにフルカウントへ。そして6球目。スライダーが完全に失投となり、ハングカーブ状態に。これを右中間スタンドに放り込まれ、丁寧に進めていたこれまでのイニングがリードが吹き飛んでしまいました。
バイビーはここで降板。5.2 IPで被安打6、失点2、自責点2、BB 0、SO 5、HR 1。粘っていたんですが、悔しい1球となりました。
延長戦でソトにHR
その後、ともにブルペンが踏ん張り決め手のないままゲームは延長戦に。ポストシーズンはオートマティック・ランナーがつかないので、ともに投手のやりくりを計算に入れつつ起用していきました。
ガーディアンズは2連続でメルトダウンしたエマニュエル・クラセが9回に登板し、被安打1、SO 1でスコアレスに抑えました。
10回表、ガーディアンズのマウンドはBIG4の1人であるハンター・ガディス。ちなみにGm1の7回にジャッジに2ランHRを許したのはガディスです。
ロッキオが落球
そのガディスは下位打線と対戦。1アウトを奪うも、オースティン・ウェルズを追い込みながら四球を出してしまいます。
つづくアレックス・ベルドゥーゴは2Bゴロに打ち取り、これで4-6-3のダブルプレー、もしくは打球がやや深かったので2Bのアウトだけは取れるだろうというコースだったのですが、アンドレ・ヒメネスのトスをSSのブライアン・ロッキオが落球。1塁は間に合うかどうかのタイミングでしたので、ダブルプレーを取ろうと送球を焦ったところが、グラブに納められませんでした。
これでオールセーフになったことでガーディアンズは一気に苦境に。この後、ガディスはグレイバー・トーレスを三振に斬って取り2アウト。
フアン・ソトとの勝負になったのですが、ガディスはソトにファウルで粘られ、7球目の4シームが赤目に浮いたところをCFへ弾き返され、これが3ランHRで2-5に。これでゲームが決まってしまいました。捕手の要求はもう少し高いところだったのですが、これはもう致し方ありません。
10回裏、ガーディアンズはカイル・マンザードがシングルを放ち、一発出れば1点差に詰め寄る粘りを見せましたが、最後はレーン・トーマスがRFフライを打ち上げ、ゲームセット。ヤンキースがALCSを制しました。
それでもBIG4がチームを支えた!
惜しくも敗退したヤング・ガーディアンズ。最後にGuards Ballの半分を見せましたが、もう半分のブルペンで逃げ切るということは実現出来ませんでした。
ケイド・スミス、ティム・ヘリン、ハンター・ガディス、エマニュエル・クラセの 「ビッグ4 」はガーディアンズを支えました。
ポストシーズン10試合を通して、このBIG4は4人で29機会に登板し、33.2イニングを投げてSO 42、BB 13という成績。
ガーディアンズはこのALCSで11本のHRを浴びましたが、このうち先発が許したHRは5本、ブルペンが許したHRは6本。ブルペンの6本のうち、BIG4の被弾は5本でした。
Gm | P | HR |
---|---|---|
1 | A・コブ E・サブロウスキー | 1 1 |
2 | T・バイビー H・ガディス | 1 1 |
3 | E・クラセ | 2 |
4 | G・ウィリアムス C・スミス | 2 1 |
5 | T・バイビー H・ガディス | 1 1 |
ALCSのガーディアンズの投手陣のERAは4.60。スターターは5.82で、リリーバーは3.86。
ガーディアンズのALDSとALCSを併せた全体のERAは10試合で3.64。スターターは33.2イニングで3.82だったのに対し、ブルペンは53.2イニングで3.52でした。
試合後、監督としてのキャリア1年目でALCSまで進んだスティーブン・ボート監督はBIG4に対し、こう述べました。
「彼らが一人一人ステップアップし、毎日、このチームのために投げてくれたことが我々をここまで運んでくれた。もしブルペンのあのグループがいなかったら、我々は今シーズンここまで来られなかっただろう。彼らは称賛に値する」
ガーディアンズ、お疲れ様でした。来年はもっと強いですね。ツインズとホワイトソックスはオーナーがチームを売却する意向を示しているので、2025年もCLE、DET、KCで争うことになりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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