2025年からのプラス6年
現地2024年9月5日、MLBはレギュラーシーズンの最終月に入り、殆どのクラブが残り20試合を残すのみとなり、地区優勝争い、あるいはポストシーズン出場争いがますますヒートアップしております。
皆の関心がレギュラーシーズンの行方に釘付けになっている最中、非コンテンダーとなってしまったジャイアンツから景気の良い話が飛び込んできました。
ジャイアンツは3Bのマット・チャップマンと6年の延長契約でサイン。この延長契約は来季以降のお話となります。つまり、非常に景気の良いお話です。詳しく見てみましょう。
延長契約は2025年から
新契約は以下の内容となりました。
- 6 年/$151M (2025-30)
- サイニング・ボーナス:$1M
- $25M/年 x 6
- フル・ノートレード条項あり
今季の契約
ベースとなった現行の契約を見てみます。延長契約はこの契約の来季以降を上書きする形となっています。
現行の契約は2024年3月1日の内容。2025年と2026年はプレーヤー・オプションがオプションがついていて、マット・チャップマンが翌年の更新を決断すれば実行される内容で、仮にチャップマンが更新しないと決断した場合、途中解除のバイアウトが入ってくるという内容でした。4年目はミューチュアル・オプションで双方合意で更新という形。
もう少し別の観点から見ると、今オフのFA市場で十分に評価されなかったという考えから、成績を上げてオプトアウトしようという考えが反映された短期でのディールだったわけです。
- 3 年/$54M (2024-26) + 2027 $20M ミューチュアル・オプション
- サイニング・ボーナス:$2M
- サラリー:
- 2024: $16M
- 2025: $17M プレーヤー・オプション ($2M バイアウト)
- 2026: $18M プレーヤー・オプション($3M バイアウト)
- 2027: $20M ミューチュアル・オプション ($1M バイアウト)
- クラブ・チャリティーには毎年最大で$0.1M 寄付
現行では2024年を含めた3年が保証された形で2025年以降は2年のみの保証でした。しかし、延長した内容は2025年からオプションなしの6年保証で、しかも単価も$25M/年と大幅アップ。ジャイアンツはずいぶんと思い切った決断をしました。
(余波)ジャイアンツとの契約した際の影響
ジャイアンツは、マット・チャップマンと契約するまでは、3Bは2023年に担当したJ.D.デービスをそのまま起用する予定でした。J.D.デービスは2023年は144試合に出場し、546 PA、480 ABで119 hitsを記録。248/.325/.413、HR 18、RBI 69、Run 61、二塁打23。守備もかなりの好評価でした。ところが、急転直下でプラチナ・グラバーのマット・チャップマンとサイン。これにより、J.D.デービスは寝耳に水状態で開幕前1ヶ月を切る時点からウェーバーにかけられたのでした。
J.D.デービスの今季のサラリーは調停を経て勝ち取った1年/$6.9M (2024)でした。規定により、調停手続きを経て解雇となった場合、解雇手当としてサラリーの該当日割り部分のみを受け取ることになってしまい、J.D.デービスは30日分の解雇予告手当として$1,112,903 ($1.11M)を受け取ったのでした。
契約解除がスプリングトレーニング中で、レギュラー・シーズン開始16日前までに行われた場合、契約第2項に規定された率で30日分の解雇予告手当をクラブから受け取る権利を有する。(詳細は上記リンク記事をご参照)
その後のJ.D.デービス
ジャイアンツからウェーバーにかけられたJ.D.デービスは3月11日にジャイアンツからリリース。FAとなり、3月16日にアスレチックスと1年/$2.5M (2024)でサイン。アスレチックスでは39試合の出場で236/.304/.366と特別悪くはない数字を上げましたが、怪我もあって6月18日にDFA。
このDFA後の手続きでヤンキースとのトレードが成立し、ヤンキース入りへ。ヤンキースでは7試合でBA.105と大苦戦。7月28日にDFAとなり、8月2日にリリース。FAとなりました。
そして8月7日にオリオールズとマイナー契約でサイン。オリオールズではまだメジャーでプレーしておりません。とんでもない余波を食らったJ.D. デービスは気の毒としか言いようがないですね。
2024年はチャップマンにとって最高のシーズン
マット・チャップマンの履歴についてはFAでジャイアンツとサインした際の記事に詳細を書かせていただいております。プラチナ・グラバーで、2019年には36HRを放っている3Bの花形選手でもあります。
今季のマット・チャップマンは現地2024年9月5日時点で137試合に出場。.247/.333/.446でOPSは.778。HR 22、RBI 69、BB 61、SO 143と、打率はそれなりですが、HRとRBIの多さからオフェンス面はかなり良い数字を残していると言えます。
さらに守備でもここ数年で最も印象的なシーズンを送っていると言ってよく、OAAは+7、DRSは+13と、いずれの指標でも2021年以降で最高の成績を残しています。
SO %は24.5%でリーグ平均の22.6%を上回り、相変わらずは高いままなのですが・・・。
しかし、今季の打撃、守備の内容からジャイアンツ側もこの時点で長期での契約の懸念点を払拭。あくまで実質的にですが、オプトアウトして再契約したような形となったのでした。
メジャーの場合はよい実績が伴うとすぐに大型契約を結び、後で痛い目に合うことがおおいのですが、まさにハロー効果ですね。
マット・チャップマンは今季31才のシーズン。この延長契約は37才のシーズンまで有効。果たしてどれくらい稼働するのか、非常に興味深いです。 今後のマット・チャップマンの活躍に期待したいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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