なぜ捕手?
現地2024年7月27日、ボストン・レッドソックスが前日のジェームス・パクストンに続き、トレードによる選手補強を実施。今回のディールは生産的な捕手陣を抱えるにも関わらず、ライバル・チームの捕手をゲット。なぜ捕手?という疑問をちょっと考えてみたいと思います。
トレード概要
まずはこのディールで動く選手たちです。
レッドソックスGet
- ダニー・ジャンセン(Danny Jansen/29)C/右投げ右打ち
レッドソックスはダニー・ジャンセンの40manロスターのスポットを空けるべく、右腕のアレックス・スピース(Alex Speas)をDFAとしています。26才の豪腕は2023年はレンジャーズで2.0イニングを投げ、被安打2、失点3、BB 5、IBB 1、SO 4、ワイルドピッチ1と大荒れ。ウェーバーで獲得したレッドソックスでしたが、コントロールに改善がなく諦めたようです。
ブルージェイズGet
- カッター・コフィー(Cutter Coffey/20) INF/右投げ右打ち
- エディンソン・ポーリーノ(Eddinson Paulino/22) SS/右投げ左打ち
- ギルバート・バティスタ(Gilberto Batista/19) RHP
レッドソックスは3人のプロスペクトをトロントに送ることに。
捕手が生産的なのに
レッドソックスのこのトレード・デッドラインの補強のポイントは明らかに投手陣でローテーションとブルペン。ローテーションは昨日、ドジャースからジェームス・パクストンを獲得しました。次は順番的にはブルペン、もしくは2Bの右打者か?と思っていたのですが、まさかの捕手。
レッドソックスの捕手は打率でMLB4位の.280、OPSは6位の.754。その殆どは今季ブレイクしたコナー・ウォンの活躍に負うところです。
ライバルとして左打席のリース・マグワイヤもおり、捕手のレベルはかなり高いです。さらに、Pre-2024のトップ・プロスペクト・ランクで40位に入ったカイル・ティールもおります。もちろん、今季は出番はないですが、この2023年全体14位のプロスペクトは来季にもデビューしそうな雰囲気です。
そうなると今季活躍のウォンはどうなるのだ?と心配になるくらいなのですが、要は捕手はかなり整備された状態。それなのにどうして?という疑問がつきまといます。
リースがターゲットか?
捕手の成績をよく見てみるとたしかに穴はあります。
特にリース・マグワイヤは52試合の出場で、.209/.280/.295と打っていないのです。リースの場合、もともとは好打者タイプで長打は少なめなのですが、ひょっとしたら今季はそこをテコ入れしようとしてかえって打率を下げているのかもしれません。
リース・マグワイヤは直近14日で11-1、BA .091と壊滅的です。
なお、コナー・ウォンはシーズン成績は.298/ .363/ .438、OPS .801、HR 9、RBI 34、Run 34と素晴らしい成績。5月まで打線が湿っていた時もウォンだけは一人気を吐いて集中し、チャンスで活躍。チームがポストシーズンに出場しようかという今の立ち位置にいる立役者でもあります。
ただし、そのウォンも最近では凡打の内容がよくなく、直近28日の成績は.200/.200/ .240と低迷。
これがこれまでの疲れが出てきているだけならいいのですが、実は怪我をしていたりしないか?などとも勘ぐってしまいます。
いずれにせよ、捕手を補強するポイントはあった訳です。おそらく捕手を3人で回すということは考えにくく、そうなるとリース・マグワイヤのロスターに何等かの動きが出てくるかもしれません。
ダニー・ジャンセンで補えるか?
29歳となったダニー・ジャンセンは、今季の5月末までは好調で、.287/.371/.535をマーク。しかし、6月以降は112 PA、97 ABで13安打のみ。.134/.232/.196とかなり悪い数字です。
ただ、2021年から2023年の3年間の成績は、.237/ .317/ .487で、OPSは .805。さらにHRは43、RBIは 125を記録。年当たり15本弱のHRを期待できず、捕手としてはかなり良い数字を持っていました。言ってみればコンディションさえ良ければこれが彼への期待値となります。しかも右打席。
怪我が多いことも懸念事項です。過去4シーズンでハムストリング、腹斜筋、鼠径部、手の故障で7回もIL入り。今季もスプリング・トレーニング中に右手首を骨折して開幕はILでした(これは不可抗力ではありますが)。併用も多かったのでここ数年は年当たり80試合ほどの出場となっています。
ジャンセンのサラリー
ダニー・ジャンセンは今季がFA資格を取得する前の調停のファイナル・イヤー。サラリーは1 年/$5.2M (2024)。報道によればレッドソックスの負担分はこの残額の約$1.8M。結構、ありますが、ジャンセンがこの投資額に見合う働きをするかどうかです。
トロントへ移籍する3人
まず、カッター・コフィーは右打ちの内野手で、2022年の2巡目指名。今季はクラスA+で過ごし、.238/.321/.463をマーク。HR 14、二塁打 12。三振率24%に対し、四球率は10.3%。3BあるいはCFとして出場しています。
22歳のエディンソン・ポーリーノは、ドミニカ共和国出身の内野手。今季はダブルAポートランドで69試合に出場し、.263/.349/.391をマーク。HRは3本で、OBPを上げてチャンスメイクするタイプの選手。
ギルバート・バティスタもドミニカ共和国出身で2022-23のインターナショナル・ピリオドの期間に契約した投手で現在は19歳。右腕です。2024年もルーキー・レベルで投げており、BB9の改善に取り組んでいる最中です。
トレード予備軍多数のトロント
ブルージェイズはこのトレード・デッドラインでダニー・ジャンセンのほか、リリーバー右腕のイーミ・ガルシアをマリナーズに、豪腕のネイト・ピアソンをカブスにトレードしています。
そのほかにも菊池雄星の移籍も確実視されており、トレバー・リチャーズ、ジャスティン・ターナー、ケビン・キアメイヤーも候補です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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