現行のトップ・プロスペクト3位がメジャー・デビュー
現地2024年7月1日、この日のMLBはナ・リーグ2試合、ア・リーグ1試合の計3試合のみの開催。これは7月4日(木)の独立記念日に全クラブのゲームが行われるよう配慮されたスケジュールで、ほとんどのカードは7月2日から4日までの3ゲームシリーズが組まれております。
そんな中、ナ・リーグ東地区で3位争いを繰り広げているメッツ@ナショナルズの4ゲームシリーズがスタート。そのGm1でナショナルズのトップ・プロスペクトのジェームス・ウッド(James Wood)がメジャー・デビューを果たしました。
The @Nationals top prospect, James Wood, makes his Major League debut tonight!
— MLB Stats (@MLBStats) July 1, 2024
He is batting 6th and playing LF. pic.twitter.com/HeVVZJipk6
下記の埋め込みはメジャー昇格を告げた時のシーン。
James Wood finding out he’s going to the big leagues 🥹 pic.twitter.com/8SbP0ZnlLl
— Talkin’ Baseball (@TalkinBaseball_) July 1, 2024
こういう時はだいたいのパターンとしてサプライズ感を演出するため、最初にバッドニュースを告げるものですが、「案外あっさり告げたな」というのが感想でした(笑)。それもそのはずで、マイナーでの成績は文句なしですから、AAAのチームを離れる=降格か?という図式が成立する訳がないのです。それくらい順当な昇格だったということですね。
初打席で初ヒット
そのジェームス・ウッドですが、6番LFで先発出場。メッツの先発は左腕のデービッド・ピターソン。いきなりの左腕との対戦でどういう打撃を見せるか?というところでしたが、2回裏、初打席が回ってきました。期待のプロスペクトに対し、ナショナルズ・パークの観衆は大声援で迎え入れます。
ジェームス・ウッドはコマンド良く投げてくるデービッド・ピーターソンに対し、しっかりと見極めて行きます。ファストボールがシンカーというのが厄介な投手ですが、7球目、そのシンカーがやや甘く入ったところを素直にバットを出し、これがSSの右を破るシングルヒットに。メジャー初打席で見事初ヒットを放ったのでした。
この打球ですが、確かにSSの右を抜いて行ったのですが、打球を捕球したのはCFではなく、LF。こんなLF前シングルもあるんだと驚くような打球コースのヒットとなりました。
ジェームス・ウッドは4回裏の第2打席は三振。7回裏の第3打席は2Bゴロで、9回裏の第4打席はPゴロでしたが、悪送球で出塁。そして10回裏の第5打席は四球を選び、チャンスメイクしました。
メジャー初戦の成績は5打席で4打数1安打、1 BB、1 SO。3度出塁したのは大したものですね。
10回に試合は大荒れ
ゲームの方ですが、9回を終えて3-3となったため、延長戦に突入。延長10回表、ナショナルズが送り込んだハンター・ハービーが大荒れ。先頭のハリソン・ベイダーに死球を与えた直後、J.D.マルチネスに3ランHRを打たれて3失点。その後、2アウトまで奪うも、タイロン・テイラーに二塁打、フランシスコ・アルバレスに三塁打を許し、4失点目。ハンター・ハービーはここで降板。これで流れを切りたかったナショナルズでしたが、代わったジョーダン・ウィームスもメッツの勢いを止められずにさらに2失点。ホセ・イグレシアスにCFへの2ランHRを打たれました。このイニングは6失点。
これで勝負あったかと思ったですが、その裏の攻撃でナショナルズも粘りを見せ、メッツ4番手のタイラー・ジェイに襲いかかり、4得点。2点差まで詰め寄るも、最後は一歩及ばず、9-7でメッツが勝ちました。
ジェームス・ウッドとは
前後しますが、ジェームス・ウッドのプロフィールです。2002年9月17日生まれの21才。出身高校はフロリダ州にあるIMGアカデミーですが、もともとはメリーランド州で育ちました。ほぼDCですね。一旦は地元のセント・ジョンズ・カレッジ高校に入学したものの、この時点では野球とバスケの双方をやっていて、道を絞りきれていませんでした。しかし、野球への専念を決めてフロリダに移住。IMGに転校したのでした。ちなみに父も姉も大学のバスケットボール選手だったという血筋です。
高校卒業時の2021年。ジェームス・ウッドはアマチュア・ドラフトでパドレスから2巡目で指名されます。当時は大学への進学意欲が強かったようですが、パドレスはそれを思いとどまらせるためにサイニング・ボーナスを $2.6Mにして契約を勝ち取りました。 $2.6Mのサイニング・ボーナスは1巡目、全体26位当たりの金額。パドレスはよほど欲しかったのでしょうね。
ドラフト翌年の2022年はクラスAでOPS 1.054をマークするなど、マイナーでもかなり打ちました。
2022年途中でトレードでナショナルズへ移籍。この件は後述します。
2023年はクラスA+とAAで過ごし、両レベルで通算129試合、.262/.353/.520をマーク。二塁打28、三塁打8、HR 26、RBI 91、RUN 80。かなり打ちましたね。同年にはシアトルで開催された2023年のフューチャーズ・ゲームに出場。
2024年シーズンはAAAで開幕を迎え、52試合でAV.353、OBP.463、SLG .595という驚異的な成績をマーク。OPSは1.058でマイナーリーグ最高の数字でした。6月28日にメジャーへコールアップ。この時点でのMLBパイプラインのプロスペクトランキングは3位。ちなみにPre-2024年のランクでは14位でした。
上述の7月1日のニューヨーク・メッツ戦でデビューし、1安打を放ったのでした。
ソト放出のトレードが効いているナショナルズ
さて、ジェームス・ウッドですが、現地2022年8月2日に決まったフアン・ソトのトレードでパドレスからナショナルズへ移籍。この時動いた面々は下記の通り。
パドレスGet
- フアン・ソト(Juan Soto/23)OF/左投げ左打ち
- ジョシュ・ベル(Josh Bell/ 29) 1B/右投げ両打
ナショナルズGet
- C.J.エイブラムス(C.J. Abrams/21)SS/右投げ左打ち/ 2019年全体6位
- マッケンジー・ゴア(MacKenzie Gore/23) LHP/ 2017年全体3位
- ロバート・ハッセル3世(Robert Hassell III /20) OF/左投げ左打ち/ 2020年全体8位
- ジェームス・ウッド(James Wood/ 19 )OF/ 右投げ左打ち/2021年2巡目
- ハーリン・スザーナ(Jarlin Susana/ 18) RHP
- ルーク・ボイト(Luke Voit/ 31)1Bor DH/右投げ右打ち
この時のトレードでパドレスから獲得した選手達が今季のナショナルズを支えております。C.J.エイブラムス、マッケンジー・ゴア。ロバート・ハッセル3世の昇格もそれほど時間がかからないと思われます。
パドレスはジェームス・ウッドを獲得するためにサイニング・ボーナスを増額までしたのに、トレードに出したのでした。これはナショナルズの交渉がかなり頑張ったとも言えますね。
また面白そうな選手が出てきました。ナショナルズ、楽しみですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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