上沢投手、レッドソックスでMLBデビュー間近
現地2024年4月28日、ボストン・レッドソックスはロスターの変更を発表。3月終わりにレイズからのトレードで獲得していた元日本ハムの右腕、上沢直之投手をメジャー・ロスター(=40manロスター)に加えることを発表。上沢投手はそのままアクティブ・ロスターに登録され、いつでもメジャーのマウンドに立てる状態になりました。
BOSはジョーリー・ロドリゲスをDFAに
上沢投手のロスターのスペースを確保するため、レッドソックスはリリーバー左腕のジョーリー・ロドリゲス(Joely Rodríguez)をDFAとしました。
ジョーリー・ロドリゲスは2022年11月にレッドソックスと1年契約+2024年オプションでサイン。2023年は右腹斜筋筋痛、左肩の炎症、右股関節の故障など次々と怪我に見舞われ、11試合の登板に終わり、ERA 6.55でフィニッシュ。2024年のクラブオプションは拒絶されてFAに。
今オフはレッドソックスとマイナー契約で再契約。スプリング・トレーニングではERA3.38と結果を出し、開幕ロスターに名を連ねました。しかし、今季もピリッとしたところを見せることが出来ず、4月26日のカブス戦では2番手で登板して追い上げムードに水を差す1イニング3失点(ER 3)を記録。この登板が致命的となり、貴重な左腕リリーバーでしたが、レッドソックスはDFAを決断。
今後ですが、7日以内にトレードあるいはウェーバーで受け入れるクラブは出て来るでしょう。DFAあるあるですが、結果が出ずにDFAとなった後、次の受け入れ先で目覚ましい活躍をするようなことはままあります。ジョーリーの場合はどうなるでしょうか??
上沢投手のポスティングからこれまで
上沢投手はNPBで計9シーズンを過ごし、2023年11月終盤にMLBにポスティング申請を実施。NPBでは国内FA権が8シーズン、海外FA権が9シーズンで資格を得ることが出来ますが、上沢投手はNPB版MLS(シーズン在籍日数の計算)では9年未満となることから、ポスティングでのメジャー挑戦ということになりました。
詳しいルールは山本投手の記事をご参照。
レイズとの契約
上沢投手は2024年1月11日にタンパベイ・レイズとマイナー契約でサイン。この時の内容は以下の通り。
- サイニング・ボーナス:$25K (=$0.025M)
- スプリット・コントラクト
- マイナー:$0.225M
- メジャー昇格の場合:$2.5M
- パフォーマンス・ボーナス(メジャーで)
- 80, 90, 100, 110, 120, 130, 140, 150, 160, 170, 180 IPごとに$0.1M(MAX: $1.1M)
リリース・フィー
リリース・フィーの概要は以下になりますが、上沢投手の場合は5に該当。
- $25M未満で合意した場合→20%
- $25,000,001〜$50Mで契約した場合
- 最初の$25Mに対して →20%
- 次の$25Mを超える額に対して→17.5%
- $50,000,001以上の契約
- 最初の$25Mに対して →20%
- 次の$25Mを超える額に対して→17.5%
- $50Mを超える部分に対して→15%
- 契約にSupplemental Fee(余剰の料金)がある場合、サイニング・ボーナス(契約金)あるいは、Vesting Option(〜を達成すれば$〜)がある場合はそれぞれ15%。
- マイナー契約の場合は、契約金の25% + 40manロースターに登録された場合の追加料金が加算されます。
マイナー契約の場合は契約金からまず25%ですから、$25K x 25% = $6,250。2024年1月時点ではJPY145/USDくらいのレートでしたからレイズから日本ハムには91万円弱。日ハムはまずこの金額を受け取ることに。
レッドソックスは金銭トレードで上沢投手を獲得
スプリング・トレーニングでの登板成績が振るわなかった上沢投手は開幕を前にマイナー行きが決定。そして開幕前日の3月27日にレッドソックスとの金銭トレードが成立しました。この額がいくらなのかは確かなソースがわからなかったのですが、おそらく$X0,000.-(数万ドル=数百万円)のはず。
リリース・フィーのサラリー分
リリース・フィーのサラリー分の15%ももちろん日本ハムに入るのですが、これはシーズンが終了しないと確定しません。
もしもの話ですが、仮にレイズで開幕メジャーに入り、シーズン終了まで過ごしてしかもボーナスの要件もフルに達成していたなら、サラリーは計$3.6Mでリリースフィーはその15%で$0.54Mほどが日ハムに支払われる予定でした。
今回はトレードなのでレッドソックスがその内容を引き継ぐことになると思われますが、サラリーは$2.5Mの日割りです。そして確定した2024年のサラリーの15%をレイズが払うのか、レッドソックスが払うのかは現時点では正直なところわかりません。当初の契約がマイナー契約で、移籍後にメジャー契約となったケースは今回が始めてですので、分かり次第追記させていただきます。ただ、レッドソックスはその分も見越しての金銭トレードだったのではないか?と踏んでおります。
レイズでの成績
ラフ・アウティングとなったレイズでのスプリング・トレーニングですが、2月29日の初登板では2.0 IPで被安打8、失点7、ER 7、HR 2、BB 0、HBP 1とかなり荒れてしまいました。2戦目は2.0IPで失点1と落ち着いたのですが、3戦目のレッドソックス戦では1.2 IPで被安打1、失点5、HR 1、BB 4と荒れました。3月15日のオリオールズとの4戦目では4.0 IPで1失点。スプリング・トレーニングでのERAは13.03。
レッドソックスのマイナーでの成績
レッドソックスではトリプルAウースターで3試合に先発して2勝1敗、15.0 IPで被安打15、R 8、ER 8、HR 2、BB 4、SO 17でERA 4.80。直近の登板では、5.0 IPで失点1、BB1、SO 7の好投でメジャーに上がってきました。
リリーバーとして登板
レッドソックスはブライアン・ベイヨー、ニック・ピベッタ、ギャレット・ウィットロックの3人の先発投手をILに入れていますが、アレックス・コーラ監督は、現時点では上沢投手をリリーバーとしてのみ考えていると語りました。「ファストボールは威圧的ではないが、いいスプリットを持っている。いい球だ。彼はストライクゾーンを叩いてくる。」と評価しています。
上沢投手自身もスプリッターと投球術に磨きをかけ続けたと言いますから、見ものですね。おそらく最初はビハインドの展開での登板になると思われます。
お読みいただき、ありがとうございました。
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