ライター、良いボールを投げるも7失点
現地2024年4月18日、レンジャーズのというよりはMLB業界全体が待ち望んだと言っても過言ではない、期待のプロスペクト右腕ジャック・ライター(Jack Leiter)がついにメジャー・デビューを果たしました。
ジャック・ライターは名門ヴァンダービルト大学の出身。そもそも高卒時の2019年にヤンキースから20巡目指名を受けたものの、大学へ進学。ドラフト・イヤーの2021年にNCAAで11勝4敗、ERA ERA 2.13をマーク。ドラフト3ヶ月前の2021年3月20日のサウス・カロライナ大戦ではノーヒッターを記録しました。金属バットの打線を相手にノーヒッターです。
2021年のドラフトでは全体1位での指名が予測される中、NO.1ピックだったパイレーツが選んだのはヘンリー・デービス。ジャック・ライターはNO.2ピックだったレンジャーズが獲得するに至りました。
Pre-2024ランクに入らず
レンジャーズが投手力で来るしんでいる中、早期デビューも期待されましたが、プロ入り後はやや苦戦。2023年の大半はダブルAで過ごし、19先発、81.2 IPで2勝6敗、ERA 5.29。9月後半にトリプルAに上がったものの、1先発、3.2 IPで3失点と結果が出ていませんでした。
プロスペクトを特集しているMLBパイプラインのPre-2022のランクでは22位に入っていたものの、Pre-2023年では78位にダウン。ついにはPre-2024のランクではトップ100のランクから消えていました。
デビュー戦!
そんなジャック・ライターですが、大きな怪我のニュースもなく、ただ単にプロの投手としてのチューンナップに時間がかかっただけで、モノがモノだけに必ず上に上がってくると見られていましたが、ついに18日にメジャー・デビューを果たしました。
2024年のマイナーでの成績
デビュー前のマイナーでの成績はトリプルAで3試合に登板し、そのうち2試合に先発。14.1 IPで被安打11、失点7、ER 6、SO 25をマークし、SO9は15.7!2023年に課題となっていたコントールもBB 3と改善し、BB9は1.9に下がりました。ただし、被本塁打は4本。完璧な状態ではありませんでしたが、ついにメジャー・デビューと相成ったのでした。
98mph!
対戦相手はタイガースで相手先発は前田投手という興味深い舞台となったライターのデビュー戦は、1回表にマーカス・セミエンのリードオフHRで先取点をプレゼントしてもらった中でのマウンドでした。
ライターは先頭打者のライリー・グリーンを三球三振に仕留める上々の滑り出し。左打者のグリーンのアウトローに決まった3球目は97.7mph を記録し、やはりモノが違うと思わせるボールを投じていました。2番のマーク・カナにはインハイの97.1mphの4シームをLFに運ばれ初安打を許したものの、初回は無失点に抑える立ち上がりでした。
2回表にジョナ・ハイムの2ランHRなどで3点の追加点をもらった直後、ライターは乱れます。2回裏、先頭のコルト・キースにストライクとボールのはっきりわかる四球を出した後、ジオ・ウルシェラとハビアー・バイエスに連続長短打を浴びてまず1失点。つづくカーソン・ケリーの内野ゴロの間にジオ・ウルシェラがホームインして2失点目。
また、ライリー・グリーンにはフルカウント後の4シームをうまくCFへ運ばれ、これが3塁打に。CFは守備のいいレオディー・タベラスでしたが、目測を誤り、ボールの下に潜り込むことが出来ず、エラーに近い3塁打。ライターはがっかり来たのでしょうが、この時のリアクションはあまり褒めたものではなかったですが、正直な反応だったのでしょう。さらに、マーク・カナにはハンギング・スライダーを投じてタイムリーを打たれて4失点目。4-4のタイスコアに持ち込まれました。
3回表にはアドリス・ガルシアのソロHRなどで2点の追加点をもらったライターは、3回裏を打者3人で抑え、これで落ち着くか?と思われました。
4回表にも1点の追加点をもらったライターはその裏のタイガースの攻撃を2者連続で抑えて2アウト。しかし、ここからがよくありませんでした。まず、ライリー・グリーンには96.4mphの4シームをLFへ運ばれ2塁打に。マーク・カナには四球を出し、ピンチを拡げた後、ケリー・カーペンターにはトリプル、スペンサー・トーケルソンにはダブルを打たれてついに7-7の同点に。ライターのメジャー初登板はここで終了。
3.2イニングで85球を投じ、ストライクは52球。被安打8、失点7、自責点7、BB 3、SO 3という成績でした。
名投手も初戦は散々
1イニング目は非常に良かったジャック・ライター。ボールも強く、チェンジアップ、スライダーも見事に決まっていました。しかし、2イニング目、MLB tonightが指摘したのはミス・ロケーション、つまり失投とか逆球です。
後は素人目から見れば厳しいコースでカウントを取りつつも、最後は甘いコースに投げたケースが多かったかなとは思います。
MLB tonightは以下の名投手も初登板は散々だったことも挙げていました。
J・バーランダー | M・リベラ | T・グラビン | R・クレメンス | |
Season | 2005 | 1995 | 1987 | 1984 |
innings | 5.1 | 3.1 | 3.2 | 5.2 |
Hits | 7 | 8 | 10 | 11 |
ER | 4 | 5 | 6 | 4 |
トリプルAへ
ジャック・ライターが味方の大量リードを吹き飛ばしたこのゲームは、9-7のスコアでレンジャーズが勝利。2番手以降のホセ・ウリーナ、ホセ・レクラク、カービー・イェーツが無失点リレーを披露しました。
登板翌日の現地2024年4月19日、レンジャーズはジャック・ライターを再度、トリプルA・ラウンドロック・エクスプレスにオプションしました(降格させました)。
ライターの枠には右腕のオーウェン・ホワイトが招集されています。
相関関係
ジャック・ライターのお父さんは、アル・ライター(Al Leiter: 1987-2005)。メッツ、ブルージェイズなどで活躍した左腕で通算162勝132敗、2SV、ERA 3.80。現地2024年4月19日時点で58才。
そのアル・ライターのお兄さんがマーク・ライター(Mark Leiter)で、右腕でタイガースなどで活躍(1990-2001)。通算65勝73敗、26 SV、ERA 4.57。現地2024年4月19日時点で61才。
そのマーク・ライターの息子が現カブスのマーク・ライター・Jr.( Mark Leiter Jr.)。33才です。ジャック・ライターとはいとこということになります。
兄弟メジャー・リーガーのそれぞれの息子が揃ってMLBレベルに上がるのはメジャーリーグ史上初ということになります。
ジャック・ライターはチューンナップ後はかなりたくましい状態になっていそうですね!
なお、レンジャーズはマックス・シャーザーが予想より早く5月初旬にはシーズン・デビューを果たし、ジェイコブ・デグロムは順調に行けば8月にシーズン・デビューを迎えます。シーズン途中で強さがグンと増してきそうです。なお、手首骨折のジョシュ・ヤングは5月終盤に復帰予定です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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