噂通り、フィリーズがウィーラーの契約を延長
フィラデルフィア・フィリーズのニュースです。現地2024年3月4日、フィリーズはエースのザック・ウィーラー(Zack Wheeler)との延長契約にサイン。現状の2024年までの契約にさらに3年を追加する内容でサインしました。これでフィリーズは今オフにFAとしてサインしたアーロン・ノラとともに非常に強い右腕2人を少なくとも向こう4年は確保したことになります。
そしてこの契約は非常に高額な内容となりました。景気の良い話の詳細は以下です。
契約内容
両者がサインした延長内容です。細かい点はまだ記載出来ておりませんが、大筋は下記の通りです。2025年からの内容になります。
- 3 年/$126M (2025-27)
- AAV:$42M/年
ちなみに、現状の2024年分が入った契約内容はどうだったかというと以下の通りです。
現在の契約内容
- 5 年/$118M (2020-24)
- 2019年12月にサイン
- サラリー
- 2020: $21.5M、 2021:$22.5M、 2022: $26M、2023: $24.5M、 2024: $23.5M
2024年は$23.5Mのサラリーですから、来季の契約は増額$18.5Mという強烈な数字になっております。
AAVは史上4番目のハイバリュー
ウィーラーの契約ではサラリーはAAV(Annual Average Value)通りの支払いの予定。スーパー・スターと呼ばれる選手達のサラリーはAAV $30Mが一つの目安でしたが、最近では最上位の選手たちのAAVはそれをはるかに超えてきています。
最も顕著なのがやはり大谷選手ですね。以下、上位8位までのランクです。もはや$30Mはずっと下。
- 大谷翔平選手(LAD):
- 契約でのAAV:$70M
- 贅沢税上のAAV:$46M
大谷選手の場合は、契約総額を契約年数で割った場合の通常の計算によるAAV($70M)と贅沢税上のAAV($46M)の2つを考慮する必要がありますが、たとえ贅沢税上のAAVで考慮したとしても堂々のトップ。
贅沢税上のAAVは繰延払いによる現在価値への換算に置き換えたものです。詳細は下記をご覧ください。
https://www.mlb4journal.com/mlb-why-otanis-luxury-tax-salary-will-go-from-70-million-to-46-million/
- マックス・シャーザー(当時NYM):$43,333,333.33
- ジャスティン・バーランダー(当時NYM):$43.33M
- ザック・ウィーラー(PHI): $42M
- アーロン・ジャッジ(NYY):$40M
- ジェイコブ・デグロム(TEX):$37M
- マイク・トラウト(LAA): $36Mゲリット・コール(NYY):$36M
とんでもないAAVだなと初めて思ったのがやはりマックス・シャーザーとメッツの3年/$130Mですね。これは衝撃でした。
そして元タイガースの同僚、ジャスティン・バーランダーもほぼ同額でサインし、そのAAVを見たときにはシャーザーのおかげで若干の免疫が出来た状態でした。
大谷選手のAAVは本当に考えられない額です。
ザック・ウィーラーの契約はこういった高額契約の中でも4位に入るという素晴らしいラグジュアリー契約となりました。さすが、DDことデイブ・ドンブロウスキーですね。太っ腹です。
37才までの契約
生年月日が1990年5月30日のザック・ウィーラーは2024シーズン夏前にで34才となります。この契約は35才となる2025年からの3年契約ですから、37才までの契約になります。ひょっとしたら、キャリア最後の契約になるかもしれません。
ザック・ウィーラーとは
ザック・ウィーラーは2009年のジャイアンツの1巡目指名(全体6位)でプロ入り。デビュー前の2011年7月のトレード・デッドラインでメッツへ移籍。ジャイアンツがカルロス・ベルトランを獲得したトレードで動きました。
よって、メジャー・デビューはメッツに移籍してからで、2013年のことです。
ルーキー・イヤーの2013年に17試合に先発し、100.0 IPで7勝5敗、ERA 3.42、SO 84をマーク。2年目の2014年には32試合に先発し、185.1 IPで11勝11敗、ERA 3.54、SO187をマーク。
この2年目のフル回転が響いたのか、2015年春にトミー・ジョン手術を受けることになり、2015年は全休。さらに2016年はリハビリが上手くいかず、結局このシーズンも全休。丸2年もメジャーで登板することが出来い、厳しい時期がありました。
復帰したのは2017年で、この年は17試合に登板して、86.1 IPでERA 5.71、SO 81と不本意な成績に終わりました。
復活したのは2018年からで、この年に29試合、182.1イニングに登板し、12勝7敗、ERA 3.31。さらに2019年は31試合に登板し、195.1イニングを投げ、11勝8敗で、ERA 3.96、SO195。この2年でかなり自信がついたようです。
2019年終了後にFAとなったザック・ウィーラーはフィリーズと5年契約でサイン。これが上述の現行の契約内容です。
フィリーズでの1stイヤーがコロナ禍となったウィーラーでしたが、しっかりと調整し、60試合中11試合に先発して4勝2敗、ERA 2.92をマーク。品質がさらによくなりました。
そして2021年、フィリーズのローテーションの柱として機能したウィーラーは32試合に登板し、213.1イニングの熱投で14勝10敗、ERA 2.78という素晴らしい数字をマーク。奪三振は247を數えました。この年は惜しくもサイ・ヤング賞投票で2位に。
そして2022年。前年よりも登板数は落ちたものの、26試合で153.0 イニングを投げ、12勝7敗、ERA 2.82をマーク。この年、フィリーズはジョー・ジラルディの采配が空振りに終わり、6月1日を終えて22勝29敗と最悪のスタートを切っていました。ジラルディはここで解任。
その後を継いでインテリム・マネージャー(暫定監督)に就任したのが、現監督のロブ・トムソンで、そのロブ・トムソンはジラルディとは逆に名采配ぶりを次々に発揮。選手の心を鷲掴みにし、前半の不調を吹き飛ばす快進撃を見せてフィリーズをポストシーズンに送り込んだのでした。
ポストシーズンに進出したフィリーズはALDSで前年のワールドシリーズ覇者のブレーブスを撃破。パドレスとのALCSにも勝利し、ワールドシリーズまで進出。
シーズン後半の追い込み、そしてポストシーズンの快進撃を支えたのがザック・ウィーラーで、レギュラー・シーズンを上回る球威で相手打線をねじ伏せたのでした。ただ、ワールドシリーズにたどり着いたときにはやや息切れした面もあり、球威が落ちました。そしてアストロズに覇者を譲ることに。
【YOUTUBE】Zack Wheeler is AN ACE! Has another big year for the Phillies! | 2022 Season Highlights
2023年、ザック・ウィーラーはさらにその存在感を高め、32試合に先発して、192.0イニングに登板。13勝6敗をマークし、ERA は3.61、奪三振は212をマーク。オフにはサイ・ヤング賞投票で6位に入り、ゴールドグラブ賞も受賞しました。
キャリアを通じてMLB9シーズンで87勝63敗、ERAERA 3.61、奪三振1401を數えます。
フィリーズ3年連続で贅沢税の閾値をオーバー
今回のザック・ウィーラーの契約延長は来季以降のお話なので、今季のザック・ウィーラーの贅沢税のサラリー計算には影響を与えません。
ただし、フィリーズは現時点で40manの予想サラリーが$260Mを超えており、今季の閾値は$237Mですから、ペナルティーは必至。さらにフィリーズは2022年から連続して超過していることから、3年連続超過も決定的です。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント