直近5シーズンで4度の3割超えが復活なるか
現地2024年2月22日、下手をすればこのままキャリアが終わるのではないかと思われたホワイトソックスからFAのティム・アンダーソン(Tim Anderson)のディールが決定。マイアミ・マーリンズと合意です。現地2024年2月22日時点はフィジカルチェックの結果待ちですが、まもなくオフィシャルになる見込みです。
契約内容
両者の内容は大筋では以下の通り。
- 1年/$5M (2024)
オプションなどの付帯条項は明らかになっていませんが、マイアミとしては、このクラスの選手をこのサラリーで獲得できたのは非常に大きいですね。ただし、選手からはどう思われているのか、たとえ現状でそうであっても、それを払拭できるのかどうかがまさしく今後のキャリアを左右するというところです。
2023年のノックアウト
ティム・アンダーソンの悪い面から見ていきましょう。色々と問題が顕在化した最たるものは、2023年のホセ・ラミレス(ガーディアンズ)とのパンチ応酬。ノックアウトされてしまいました。
このプレーには伏線はあったものの、直接的な要因は、ティム・アンダーソンの2Bベース上での送球の待ち方にありました。ホセ・ラミレスが「彼はゲームをディスリスペクトしている」と何度も強調した点にホセ・ラミレスの怒りが込められています。「そんな待ち方すんな!」と口論になり、先にファイティング・ポーズを取り、仕掛けたのはティム・アンダーソンでした。
この乱闘により、ティム・アンダーソンには6試合、ホセ・ラミレスには3試合のサスペンション+罰金(非公開)が科されましたが、後日、ホセ・ラミレスは2試合に減りました。
なお、処分は両監督、エマニュエル・クラーセ、マイク・サーボー(CLEコーチ)らもそれぞれサスペンション1試合+罰金(非公開)が科され、ホワイトソックスの投手、マイケル・コペックとガーディアンズのINF、ガブリエル・アリアスにも罰金(非公開)が科されました。
ガブリエル・アリアスはティム・アンダーソンと揉めていた経緯があったのですが、コペックに至ってはかなりのトバッチリです。投手なのに乱闘の間に入らされたり、この処分はちょっとかわいそうでした。
クラブハウス内
その他にもティム・アンダーソンはクラブハウス内での評判があまりよろしくなかった経緯があります。ヤズマニ・グランダールに失礼なことを言って平手打ちを食らったとも。ただ、これはヤズマニ・グランダールは否定しています。
Yasmani Grandal denies the report that he was involved in a physical altercation with Tim Anderson before the All-Star break
— Jomboy Media (@JomboyMedia) August 7, 2023
(via @NBCSChicago) pic.twitter.com/M5JjVlpkZO
2020年WCシリーズGm1
ホワイトソックスは2020年のポストシーズンのワイルドカード・シリーズのGame1にアスレチックスに先勝。ホワイトソックスが左投手に対して相性が良い中、アスレチックスが左腕のヘスス・ルザルドを起用。それに対して、「彼らは宿題をやってこなかったようだ」と発言。
増長していると捉われ兼ねない発言で、よくないなと思ったら、コロッとやられてしまいました。
その後、早期敗退にブチギレたホワイトソックスのフロント・オフィスが監督のリック・レンティリアを解雇。
トニー・ラルーサがプロスペクト達を導くべく起用されましたが、もはやラルーサは年齢要素で采配にキレがなく、せっかくの宝の宝庫も結果につなげることが出来ずに2022年シーズンをもって退任。
リビルドに入ったホワイトソックスは、2023年はクリス・ゲットが指揮を執るも、61勝101敗で惨敗したのでした。
ジャッキー騒動
なお、2022年の騒動としては5月21日のヤンキース戦で、ヤンキース3Bのジョシュ・ドナルドソンがバッグに「ジャッキー」という名前を入れてティムを煽りました。これは2019年のスポーツ・イラストレイテッド誌の記事がティム・アンダーソンを偉大なジャッキー・ロビンソンに喩えたという事実に基づいてやったと思われ、讃えたのか、嘲笑したのかドナルドソンの真意はわかりません。ただ、受け取った側の ティム・アンダーソンはこの行為が無礼で人種差別に汚染されていると判断して強く抗議。ベンチクリアーとなっただけでなく、メディアを含めた大騒動にもなりました。
Josh Donaldson has issued a statement on his recent incident with Tim Anderson. pic.twitter.com/6zGCYFmV5y
— YES Network (@YESNetwork) May 26, 2022
かつてはリーグを代表するSS
ティム・アンダーソンの良い面を見てみます。何より、ティム・アンダーソンは打撃の良いSSとして一時期はALを代表する選手となりました。
2016年にデビューし、この時キャリア終盤に差し掛かった元フィリーズのジミー・ロリンズに代わってSSのレギュラーとなりました。
2017年から本格稼働となり、2017年と2018年はAVGは.250前後ながら、17HR、20 HRとその才能を開花。
2019年には123試合の出場で、167安打を放ち、打率.335、OBP .357、SLG .508、OPS .865、OPS+ 128をマーク。バッティング・タイトル(AVG)を獲りました。
ここから調子に乗ってしまう訳ですが、2020年はシルバースラッガー賞、MVP投票7位と実績もついてきます。
2021年は123試合で163安打を放ち、.309/.338/.469をマーク。オールスターにも出場。特に、前半戦はエロイ・ヒメネスとルイス・ロバートが不在の中、孤軍奮闘の活躍を見せたことが評価されたシーズンでした。
2022年は5月に鼠径部を傷めたり、8月には左手のUCLを断裂するなど怪我に泣かされたシーズンで79試合の出場にとどまりました。ただ、AVGは.309をマーク。
2023年は上述のフィールド上でのトラブルなどもあり、失速。123試合に出場し、121安打を放つも、AVG .245、HR 1と本来の力を発揮することなく、今オフはFAとなっていましhた。
故障して半分ほどの出場になった2022年シーズンも含めてですが、2019年から2022年までは4年連続で3割超えという偉業を成し遂げていた選手であることは改めて記載しておきます。
Year | Age | G | H | AVG | OBP | SLG |
2016 | 23 | 99 | 116 | .283 | .306 | .432 |
2017 | 24 | 146 | 151 | .257 | .276 | .402 |
2018 | 25 | 153 | 136 | .240 | .281 | .406 |
2019 | 26 | 123 | 167 | .335 | .357 | .508 |
2020 | 27 | 49 | 67 | .322 | .357 | .529 |
2021 | 28 | 123 | 163 | .309 | .338 | .469 |
2022 | 29 | 79 | 100 | .301 | .339 | .395 |
2023 | 30 | 123 | 121 | .245 | .286 | .296 |
前の契約
ティム・アンダーソンの前の契約はホワイトソックスと2017年4月にサインした以下の内容でした。
- 6 年/$25M (2017-22) +2023, 2024 オプション
2023年は$12.5Mクラブオプションをホワイトソックスが行使。2024年は$14M のクラブオプションでしたが、ホワイトソックスはこれを拒否。バイアウトは$1Mで、FA市場に出ていました。
マイアミで輝くか!?
2023年はポストシーズンに進んだマイアミ。SSは主にジョーイ・ウェンドルが入っていましたが、ジョーイ・ウェンドルはFAとなり、すでにメッツと契約済み。
現時点ではジョン・バーティーがSSの候補となっていますが、ティム・アンダーソンはバーティー、ビダル・ブルーハン、ハビアー・エドワーズらとの争いになりそうです。
ルイス・アラエズが2Bに固定されるかどうかにも依りますが、3Bは長打力のあるジェイク・バーガーが前年通りの活躍を維持するかどうか。彼次第でバーティーの3B、アンダーソンのSS、アラエズの2B、ジョシュ・ベルの1Bという布陣にもなりそうです。また、DHはジョシュ・ベル、ジェイク・バーガー、アビサイル・ガルシアで回すと思われ、攻撃力は高いです。
ティム・アンダーソンは2024年6月で31才となります。再び輝けば、マイアミはまたNLイーストで台風の目になりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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