10月に右肩を手術→11月にノンテンダー
現地2024年2月19日、先発ローテーション右腕のブランドン・ウッドラフ(Brandon Woodruff)がミルウォーキー・ブルワーズに復帰することになりました。これはジョン・ヘイマンさんの情報で、まだオフィシャルにはなっていませんが、合意間近という状態のようです。
契約内容
現時点では大筋で以下の内容となっています。
- 2年契約(2024-2025)
金額は明らかになっていませんが、2023年は調停を避けて1 年/$10.8M (2023)でサイン。2024年は右肩の手術の影響でほぼほぼ投げられないことから、2年契約で$10M- $12Mのレンジ+オプションというのが有り得そうな内容です。
復帰を想定したマルチイヤー・ディール
FAとトミー・ジョン手術が重なった時、このような復帰を想定したマルチイヤー・ディールが行われることがあります。選手にとっては無給でリハビリに勤しむよりも、サラリーを得ながらそうする方が精神的にゆとりが出るという大きなメリットがありますし、クラブ側にとっても投げられないシーズンを保証することで、トータルで見ればかなり割引いたサラリーで良い選手をキープすることが出来ます。
ウッドラフの場合、肘ではなく肩の手術ですが、故障の種類に関係なく、よく行われる手法。
直近では肩の手術からの復帰を目指すカーショウとドジャースの契約がそうです。
また、レッドソックスとマイケル・フルマーのケースはマイナー・ディールでの複数年ということで若干違う点もありますが、ロジックは同じ。
他にレッドソックスとリアム・ヘンドリクスとのディールもそうです。
2023年10月に右肩を手術
2023年、30才のシーズンを迎えたブランドン・ウッドラフは4月1日の開幕2戦目のカブス戦に先発し、6.0イニングで被安打3、失点1、BB1、SO 8、HR 1と好投。勝利はつかなかったものの、素晴らしいシーズンインとなりました。そして2戦目にはシーズン初勝利をマーク。
ところがこの直後に右肩を傷めてIL入り(4月8日に付け)。MRIの結果、右肩の肩甲骨下部の張りと診断され、5月半ばには長期離脱の60Day ILに移りました。
ようやくメジャーに復帰したのは8月6日のパイレーツ戦で、復帰後は計9試合に先発し、55.2 IPで4勝1敗、ERA2.59をマーク。2023シーズンの成績の大半はこの最後の2ヶ月の働きに因るものです。
9月最終週にも登板の予定がありましたが、キャンセル。また肩の痛みが再発したようです。そしてポストシーズンではワイルドカード・シリーズのロスターから外れました。
2023年はシーズンを通してショルダー・イシューに悩まされ、11先、67.0IPで、5勝1敗、ERA2.28。BB 15、SO 74という成績に終わりました。
2021年にCY投票5位
ブランドン・ウッドラフは、2019年から先発として本格稼働。22試合、121.2 IPで11勝3敗、ERA 3.62をマーク。この年、オールスターにも初出場。短縮シーズンとなった2020年も13試合に登板し、これはNLでNO.1の先発試合数でした。
質量ともに最も活躍したのが2021年。30試合に先発し、179.1 IPでERA 2.56、SO9 10.6、BB9 2.2でサイ・ヤング賞投票で5位に入りました。ただ、この年は勝ち星には恵まれず、9勝10敗と二桁に乗りませんでした。
そしてキャリアハイの勝利数となったのが2022年で13勝4敗をマーク。ERAも3.05と2点台が見える位置までつけるという好成績。
このようにヘルシーな時のウッドラフは支配的な投手の1人としてその存在感を示していました。キャリアを通じてのERAは3.10。
2023年11月にノンテンダー
ただ、上記の通り、2024シーズンのほとんどの離脱が見込まれる右肩手術を行ったこともあり、サラリーに厳しいブルワーズから2023年11月にノンテンダーFAに。
彼の実績からすれば、上述のような1年目を捨てても復帰後を見込んだ契約も十二分にあり得たものの、残念ながら契約がまとまらず、むしろコービン・バーンズをトレードに出し、サラリーシェッド(削減)に成功したブルワーズとの再契約の話がまとまったという流れです。
他のクラブとまとまらなかった要因としては、支配的な投手ではあるものの、シーズンを通じて180.0イニングを超えたことがなく、怪我がつきまとう点があるかもしれません。それは、今オフ、ドジャースに入ったタイラー・グラスノーもそうなのですが。
MILは2025年のローテの軸として期待
コービン・バーンズをトレードに出したブルワーズは、2024年はフレディ・ペラルタをNO.1ローテーションとして考えています。そのほかにバーンズとのトレードで獲得したDLホール、再契約したウェイド・マイリー、コリン・レイ、FAで獲得したジェイコブ・ジュニス、ジョー・ロスらもローテーションの中に入って来そうです。
また、フレディー・ペラルタは2024年1月時点のMLSが5.09で2024年終了後にFA資格を得るため、おそらくブルワーズはサラリー高騰を避けるためフレディー・ペラルタをこのまま市場に流すことでしょう。そうなると2年でサインしたブランドン・ウッドラフの契約が活きてきて、ウッドラフが2025年のローテーションの中心として機能するという絵を描いた上での契約になりそうです。
(余談)強打の投手でもありました
2022年からナ・リーグにもユニバーサルDHが導入され、投手が打席煮立つ機会がなくなりましたが、それまでブランドン・ウッドラフは打撃の良い投手として有名でした。HR数はレギュラー・シーズン通算で1本なのですが、通算打撃成績は115打数22安打でAVG .191。投手で2割に届こうかという数字。
ただ、これだけだとあまりインパクトがないかもしれませんが、こと2019年に至っては45打数12安打でAVG .267をマークしております。
筆者が好きなシーンは、2018 NLCS Gm1での3回裏にカーショウから放った同点ソロHR。今見ると、ボールの待ち方がただものではないのがわかります。
非常に魅力的なウッドラフ。2024年は終盤に復帰するかもしれませんが、とにかく肩を治して復帰してもらいたいですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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