荒れたシーズン後半後の好契約
レッドソックスがようやく動きました!レッドソックスはここまで大谷選手(の争奪戦に参戦していたとも言われています)と山本由伸投手の争奪戦に参戦。特に山本投手にはかなり前からコミットしていたこともあり、ファイナルまで残り、意地の高額オファーも行いましたが、獲得することが出来ず。
山本投手獲得に動いた他のクラブと同様、山本投手の結果が出るまではほとんど動いてはおりませんでした。
その山本投手の結果が出て以降、先発ローテーションをどう編成していくのか、非常に興味深かったのですが、前年に荒れた成績となったルーカス・ジオリトとのディールが合意に至りました。この噂が出たときに、「やめとけ」と思ったものですが、果たしてどういう結果になるのか??まずは合意となったディールを見て行きたいと思います。
契約内容
レッドソックスとルーカス・ジオリトは大筋で下記の内容で合意。プレーヤー・オプションがついております。ちなみにエージェントはCAA sportsで大谷選手と同じところです。
- 2 年/$38.5M (2024-25) + コンディショナル・オプション
- $18M(2024)
- 2025 : $19M プレーヤー・オプション ($1M バイアウト)
- 2026 : 2025年にプレーヤーOptを行使した場合は2026年は下記のいずれか。
- $14M クラブオプション
- 2025年にジオリトが140.0 IP未満だった場合
- $19M ミューチュアル・オプション ($1.5M バイアウト)
- 2025年にジオリトが140.0 IPに達した場合
- $14M クラブオプション
- パフォーマンス・ボーナスあり:$1M/年($0.25M/150、160、170、180 IPごとに)
$38.5Mというのは、2024年の$18Mに加え、2025年が選手に更新の選択権のあるプレーヤー・オプションですから、$19.5Mが加算されます。あとはバイアウトが入っているので$1M分が加算。
仮にジオリトが2025年の更新拒否を選択した場合は、2024年の$18Mにバイアウトの$1Mを加えた1年/$19M + パフォーマンス・ボーナスということになります。
現時点でのAAVは$19.25M。高いですね。
2023年のジオリト
夏までのルーカス・ジオリトはホワイトソックスのチーム事情が悪い中、それでも6勝6敗と負け越さず、ERAも3.79でほぼ例年通りの数字を残しました。
この調子なら、2023年終了後のオフにかなりの高額契約も期待出来るはずだったのですが、ホワイトソックスがコンテンダーから脱落して以降、トレード・デッドラインでエンゼルスに移籍して以降は悲惨な成績となってしまいました。
問題は期待されたエンゼルスでの投球ですね。完全にそれを裏切り、1勝5敗で、ERA 6.89。残念ながら切り札とはなりませんでした。エンゼルスがコンテンダーから漏れ、贅沢税対策で複数の戦力をウェーバー公示し、その中にジオリトも入り、ガーディアンズにクレームオフされた後も、その不調は続きました。
Club | W | L | ERA | G | GS | IP | HR | BB | HBP | HR9 | BB9 | SO9 |
CHW | 6 | 6 | 3.79 | 21 | 21 | 121.0 | 20 | 42 | 6 | 1.5 | 3.1 | 9.7 |
LAA | 1 | 5 | 6.89 | 6 | 6 | 32.2 | 10 | 15 | 3 | 2.8 | 4.1 | 9.4 |
CLE | 1 | 4 | 7.04 | 6 | 6 | 30.2 | 11 | 16 | 0 | 3.2 | 4.7 | 11.4 |
Total | 8 | 15 | 4.88 | 33 | 33 | 184.1 | 41 | 73 | 9 | 2 | 3.6 | 10 |
エンゼルス移籍後の12登板の成績は、63.1 IPてERAが6.96。この間、21HRを浴び、嘘のようなSLGをマークされました。エンゼルスで.563、ガーディアンズで.595。さらにBB%も急上昇。ホワイトソックスでは8.3%だったBB%が、エンゼルスで10.1%、ガーディアンズで11.6%。
この後半の大苦戦があったゆえにジオリトは今オフ、マルチイヤーで$100M以上の契約をオファーされることはなかったのですが、このシーズン後半の悲惨な成績にも関わらず、レッドソックスはかなり良いオファーをしたことになります。
ちなみに筆者は前年に良い成績を出した選手に対して良い条件の契約でサインしたクラブに対してはハロー効果に左右されすぎという論調で書くこともあるのですが、そういう筆者自身もジオリトの前年後半の悪い成績につられている自覚はあります。
もしもルーカス・ジオリトが2022年以前の成績で活躍すればCBO(Chief Baseball Operations)のクレイグ・ブレスローの慧眼にひれ伏すしかありませんね。
イニング・イートはしてくれる
では良い面はどうかというと、2023年のジオリトの投球で良かったところは184.1 IPをマークしているところ。これはジオリトのキャリアハイのIPでもあります。
さらに、これまでのキャリアから行くと、ローテーション投手として輝く実績も多いです。ジオリトは2019年から21年にかけて、打者有利と言われるギャランティード・レート・フィールドで、ERA 3.47、SO% 30.7という素晴らしい成績を収めています。この辺りが再生する可能性のある部分です。
ただ、過去2シーズンはいずれもERA 5.00に近い数字を喫しており、2022年は4.90。これはこの年のBABIP .340が示す通り、かなりの頻度で安打にされたことが起因しているようです。BABIPはHRを除く、インプレーの打球のうち、安打にされた割合です。2022年の.340はキャリアワーストでした。その後、2023年は.275に収めたので修正は出来ています。しかし、2023年はあまりにもHR%が高かったということですね。今度は狭いフェンウェイでの投球です。ここを修正してもらわないとレッドソックスとしは困りますが、5回までに2失点程度で抑えてくれれば・・・というところではあります。
BOSのローテーション
不安定なレッドソックスのローテーションにとって、ジオリトがイニング・イートしてくれれば、それなりの効果はもたらしてくれそうです。
クリス・セール、ニック・ピベッタ、ブラヤン・ベイヨー、タナー・ハウク、ギャレット・ウィットロック、そしてカッター・クロフォードという面々の中にジオリトが入ることに。
BOSのCB TAX
レッドソックスの現時点での2024年のペイロールはジオリトの$19.25Mを加えれば、$199M弱というところ。2024年の基準値は$237Mですから、まだ$37Mほどスペースがあります。すでに2023年で基準値以下になっており、2022年に超えたことはリセットされております。
クレイグ・ブレスローの今後の編成に注目したいところです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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