2023-24のホット・ストーブは次のターゲットへ
大谷翔平選手と山本由伸投手の2人の日本人プレーヤーの所属先が大いに注目された2023-24のストーブ・リーグですが、揃ってドジャース入りが決定したのはご承知の通りです。ともに他のFA選手を気遣うように年内に決着させましたね。
山本投手の結論が出た今
大谷選手に対しては財政面で最初から諦めていたクラブが多かったものの、山本由伸投手に対しては初挑戦ということもあり、交渉初日から申し込みが殺到。
ウィンドウは1月4日まででしたが、ドジャース、メッツ、ヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズなどベスト4-5となってからは、参戦していたクラブがヒートアップ。
さながら、オークションで競り落とかのごとく価格が釣り上がって行き、もう残っているところから決めてくれという雰囲気になり、最終的に大谷選手の繰り延べ払いの協力もあり、ドジャースが12年/$325Mで射止めました。
そのヒートアップの影で各クラブは色々な選択肢も準備。次へのアクションは山本由伸投手のディールの結論が出てからというクラブが大半でした。
ブレイク・スネルがヒートアップしそう
そんな今オフのストーブ・リーグで現時点での注目は、サイ・ヤング賞左腕のブレイク・スネルに。現地2023年12月25日はクリスマスで、ホリデー・ムードゆえ大きな動きは表出しませんでしたが、こんなときは裏で動いているのがMLBのホット・ストーブ・リーグです。ブレイク・スネルを巡って、色々な駆け引きがが行われていることでしょう。
さらに、他のターゲットとしてWS制覇に貢献した左腕のジョーダン・モンゴメリー、さらにホワイトソックスのディラン・シーズもブロック・バスター・トレードで動くのではないか?とも言われています。
ジャリエル・ロドリゲスに熱視線
しかし、ポスト山本への動きが加速する中、実は静かに注目を集めているのが元中日の右腕のジャリエル・ロドリゲス(Yariel Rodríguez)です。NPBにとっては迷惑千万な投手ではありますが、キューバ出身の選手との契約は反故にされがちです。
表記
NPBではヤリエル・ロドリゲスからジャリエル・ロドリゲスへ表記変更となりましたが、彼に最も近い記者のフランシス・ロメロ氏はインタビューでヤリエル・ロドリゲスと発音しております。仮にMLBに上がったときに実況がどう読むのかというところですが、ここではNPBでの表記通り、一旦はジャリエルと記載しておきます。
2023年はWBCでの登板のみ
ジャリエル・ロドリゲスの2023シーズンはWBCでの登板が最後。中日とのマルチイヤー・ディールを反故にして亡命。ドミニカ共和国でショーケースで登板したりと、MLBでの契約を模索中です。中日との契約が決まっていたがゆえに、2023年の所属先が決まらなかったのは当然です。
そんなジャリエル・ロドリゲスに、アストロズ、ブルージェイズ、パイレーツ、ヤンキースが獲得に動いているとの噂も。特にヤンキースとブルージェイズがさながら熱心なようです。ちなみにロメロ記者は11月初旬には10クラブが候補と伝えており、ドジャース、ジャイアンツ、メッツ、フィリーズ、レンジャーズ、ホワイトソックス、さらにレイズ、レッドソックス、パドレスにまで増えているも伝えています。
トレード・ルーモアでも、4年/$32Mと予想したほど需要は急上昇です。
中日が制限選手とせず
MLBでは個人事情でプレー出来ない選手をRestricted Listに入れたりします。同じ制度はNPBにもあり、それが制限選手。制限選手に登録されれば、球団に保留権があり、復帰時には同じ球団に戻らなければなりません。さらに球団は1日につき参稼報酬(年俸)の300分の1に相当する金額を減額することができるとされています。
内容もMLBのRestricted Listとほぼ同じですが、ポイントは制限選手となった場合、契約期間中は他のクラブと契約が出来ないことにあります。中日とは2年契約だったようですから、2年間は他のクラブとの契約が出来ないというリスクがありました。
しかし、中日は彼を制限選手とせず、契約解除とし自由契約としました。これにより、上述のように関心のあるクラブの獲得意欲がグンと上がっている状態です。
ただし、キューバ野球連盟は激昂しており、中日に復帰しなければ中日及びキューバ連盟(=代理人)に対する重大な違反となり、契約放棄ならば損害賠償$10Mを請求するとしていました。
上乗せして契約するか?
MLBで彼の獲得に関心のあるクラブは、このどろどろな経緯をきれいにする必要に迫られそうです。交渉では間違いなくその分を建て替えてくれという依頼はあるでしょうから、仮に応じたとしても、たとえばサイニング・ボーナスは$10Mだとしたら、それを中日とキューバに払うために減額するなどの処置をすればきれいですが、果たしてどうするでしょうか?ここは注目したいところです。
カラスコの全盛期を彷彿とさせる
ジャリエル・ロドリゲスはご覧の経緯があり、たとえキューバの国内事情が起因だったとしても、契約違反をした選手でもあります。
そんなマイナス・イメージのあるジャリエル・ロドリゲスですが、NPBでの投球をご覧になった方はご承知の通り、いい投手には違いありません。
カルロス・カラスコの全盛期を彷彿とさせるキレの良いリリースが印象的で、完成度の高い投手です。BBも少なくなりましたね。
2023年は投げていないがゆえに考えようによっては肩と肘はフレッシュかもしれません。
おそらく契約は進んでいくことになるでしょう。NPBではリリーフを担いましたが、先発ローテ候補として契約するかもしれません。
追記:ブルージェイズと合意
現地2024年1月17日、ジャリエル・ロドリゲスの契約が決まりました。トロント・ブルージェイズとサインです。現時点ではまだオフィシャルではありませんが、まもなくオフィシャルになりそうです。契約はご覧の数字が出ております。
(追記:ファイナルです。)
- 5 年/$32M (2024-28)
- 2028: $6M プレーヤー・オプション or $10M クラブ・オプション
AAVで$8Mというところです。
ただ、ブルージェイズは、先発かリリーバーか起用に関しては今ひとつはっきりしておりません。
先発は、クリス・バシット、ケビン・ゴーズマン、ホセ・ベリオス、菊池投手と4名は決まっていますが、姿勢そのものが問われているアレク・マノアが上で投げるのかどうか。さらにFAで左腕のリュが出ますから先発も空いていると言えば空いています。また、リリーバーはクローザーのジョーダン・ロマーノが果たして2023年のオールスター前のような投球が出来るのか不安なところもあることから、リリーバーとしての起用も十分にあり得ます。ここの起用は注目ですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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