ドジャース、補強へ邁進
現地2023年12月14日、ドジャー・スタジアムでは大谷選手の入団会見が開かれました。ドジャースとのディール決定後初の公の場に姿を表した大谷選手。会見にはオーナーのマーク・ウォルター、POBOのアンドリュー・フリードマンも出席。ドジャースのロゴとともに「グッゲンハイム」のロゴも並んで表示されておりましたね。
そんなハッピーな雰囲気の中、ドジャースは大谷選手との約束を果たすべく、アグレッシブに大きなトレードを決めました!レイズからタイラー・グラスノーを獲得しております。さらにOFのマニュエル・マーゴットも!こちらは現段階では合意にとどまっていますが、まもなくオフィシャルとなる見込みです。
【YOUTUBE】Dodgers reportedly land NASTY pitcher Tyler Glasnow from Rays! (Career Highlights)
トレード概要
このトレードで動くのは計4名。
ドジャースGet
- タイラー・グラスノー(Tyler Glasnow/30)RHP
- マニュエル・マーゴット(Manuel Margot/29)OF/ 右投げ右打ち
レイズGet
- ライアン・ペピオ(Ryan Pepiot/ 26)RHP
- ジョニー・デルーカ(Jonny Deluca/ 25) OF/右投げ右打ち
先発ローテ補強が課題のドジャース
見事に大谷選手を獲得したドジャースですが、投手としてはトミー・ジョン手術(簡易版)のリハビリの為、2024年の登板はありません。
ドジャースは今オフ、ランス・リン、フリオ・ウリアス、クレイトン・カーショウの3名がFAとして流出。
カーショウはこれまで何度も再契約を結んでいますが、肩の手術から回復中で、少なくともシーズン中盤までは離脱が続く見込みで、このオフはドジャースからのコンタクトがないと明かしています。ヘルシーであれば非常に頼もしいダスティン・メイも屈筋腱の手術とトミー・ジョン再手術を受け、同じような状態で、さらに、トニー・ゴンソリンはトミー・ジョン手術で2024年は全休。
ドジャースの2024年のローテーション候補
したがって現時点でのドジャースの2024年のローテーション候補はボビー・ミラー、マイケル・グローブ、エメット・シーハン、ギャビン・ストーンらの若手右腕が中心。ここに、元レイズでオープナーの2番手としてよく投げていた左腕のライアン・ヤーブローが入り、TJからの復帰が待望されていたウォーカー・ビューラーが入ることに。
したがってゲームメイクの確度を増す上でもローテーション補強が急務の状況でありました。このリストにはライアン・ペピオも入る予定でしたが、今回のトレードでレイズに移籍することになりました。
レイズにとっては普通の動き
レイズのローテーションですが、2023年にサイ・ヤング賞の勢いで勝利を積み重ねた左のエースのシェーン・マクラナハンはトミー・ジョン手術で2024年は離脱。加えて、2023年の前半に際立った活躍を見せた右腕のドリュー・ラスムッセン、左腕のジェフリー・スプリングスも2023年に肘に手術を行い、2024年の復帰は見えない状況。
それなのに右のエースのタイラー・グラスノーを放出したレイズは大丈夫か?と懸念が生じるところですが、むしろこれはレイズの普通の動きでもあります。レイズは、FA近くになり、サラリーが高騰すれば手放す傾向にあり、タイラー・グラスノーもそうなりました。
タイラー・グラスノーのサラリー
このトレードが決まった時点のタイラー・グラスノーの契約はご覧の内容でした。
- 2 年/$30.35M (2023-24) :2022年8月に調停を避けてレイズが契約
- $5.35M(2023)、$25M(2024)
- その他、アウォード・ボーナスもあり
レイズは2024年は$25Mものサラリーを支払う予定でもありました。
【LAD】タイラー・グラスノー
ドジャースが獲得したタイラー・グラスノーは、1993年8月23日生まれの30才。もう30才になるかの!と驚いてしまいますが、2024年の8月で31才になります。
100mphを超えるシンカーと4シームを扱うグラスノーですが、筋力が強すぎるのか、故障は多い方。
2023年に120.0イニングを投げましたが、実はこれがキャリアハイです。
もともとは2011年のパイレーツの5巡目指名で、デビューはパイレーツ時代の2016年7月7日。2018年の7月のトレードデッドラインでクリス・アーチャーがパイレーツへ移ったトレードでレイズに移籍。なお、このトレードは、MLB史上に残る残念なトレードとして名高いです。クリス・アーチャーが沈み、タイラー・グラスノーとシェーン・バズがレイズにとって大きな価値を生み出したからです。シェーン・バスは東京五輪でもUSの代表として登板。2024年はTJからの復帰となります。
グラスノーの成績は2016年は0勝2敗、2017年は2勝7敗、2018年も2勝7敗。
大ブレークしたのが2019年。3月/4月のPitcher of the Monthに輝くほどの活躍。
ところが、その後に右肘を傷めて離脱。
結局、2019年は12スタートで6勝1敗、ERA 1.78。ポストシーズンには投げることが出来ましたが、投球時の癖を見破られ、アストロズとのALDSを落としました。
2020年にパンデミックのシーズンに復帰し、11試合の登板で5勝1敗、ERA 4.08。ポストシーズンではキーマンとして活躍しました。
2021年は14試合に登板し、5勝2敗、ERA2.66。しかし、8月にはUCLを傷め、トミー・ジョン手術を実施することに。MLBはこのシーズンから投手の強粘着物質の検査が実行。グラスノーはグリップ不足が怪我を招いたとこの政策を批判しました。2019年からの怪我がずっと尾を引いていた要素もあったと思います。
復帰したのは2022年9月28日。このシーズンは2試合のみの登板で、ポストシーズン用の復帰となりました。2023年はTJ手術の影響もあり、腹斜筋のハリで開幕2ヶ月をほぼ休み、復帰したのは5月後半から。その後は上述のようにキャリアハイの120.0 IPで10勝7敗、ERA 3.53。
キャリアを通じて高い奪三振率を誇り、SO%は30.9%。2022年には38.5%を記録しております(2試合だけですけど)。MLB平均は22.4%。グラスノーの素晴らしいところは四球が少ないところでもあります。直近3シーズンのBB%は7.8%。MLB平均は8.5%です。
このようにドジャースは怪我と付き合うことを承知で獲得しております。彼のある程度の離脱は覚悟しているとも言えます。
【LAD】マニュエル・マーゴット
さらにドジャースはOFを補強。右打者のマニュエル・マーゴットを獲得しました。これには、ムーキーの2024年の2Bでの起用が関係しており、さらに守備のいいジェイソン・ヘイワードと再契約したことで、左投手に滅法弱い彼をカバーする目的も込めてマーゴットを獲得に至っています。
マニュエル・マーゴットは2024年9月28日の誕生日で30才に。もともとはアマチュアFAでレッドソックスとサイン。2015年11月にレッドソックスがクレイグ・キンブレルを獲得したトレードで、ローガン・アレン、ハビー・ゲラらとともにパドレスに移籍。
パドレスのエブリデーOFと活躍。2020年2月にパドレスがエミリオ・パガンを獲得したトレードでレイズに移籍していました。
直近2年は100試合以下の出場にとどまっていますが、打率は.260-270を期待出来るゲームで強さを発揮するOFです。守備もいいです。
ドジャースのOFは、ジェームズ・アウトマンがCF、クリス・テイラーとジェイソン・ヘイワードがコーナーでしたが、ヘイワードとの併用になりそうです。マーゴットはキャリア通算で左投手に対して.281/.341/.420、右投手に対しては.244/.294/.370をマーク。
なお、マーゴットの2024年のサラリーは$10M(バイアウトなら+$2M)。これもレイズが放出可とした理由でもあります。
ドジャースはこの2人を獲得したことでまた贅沢税にインパクトを残しております。
【TB】ライアン・ペピオ
レイズが獲得した右腕のライアン・ペピオは26歳。2019年のドジャースのドラフト3巡目指名。その後トップ100プロスペクトとなっていました。2022年にはトリプルAで91.1 IPで、ERA 2.56、SO%は30.9%をマーク。同年にMLBデビューを果たし、36.1 IPでERA 3.47。2023年はトニー・ゴンソリンが開幕に間に合わず、ライアン・ペピオはローテーションNO.5に指名されていましたが、その後腹斜筋を傷め8月までIL入りに。復帰後は8試合に登板し、うち3試合は先発。2勝1敗で、ERA 2.14。
レイズはいい投手を獲りましたね!!いわゆる即戦力です!!
レイズの2024年のローテーション候補
- ザック・エフリン
- アーロン・シバーリ
- ザック・リテル
- シェーン・バズ(トミー・ジョンからの復帰)
- タジ・ブラッドリー
- ライアン・ペピオト
【TB】ジョニー・デルーカ/OF
25歳のデルーカは、2019年のドジャースの25巡目指名。2023年にMLB
デビューを果たし、ここまでMLBで24試合で、42-11、.262/.311/.429で HR2、RBI 6。BB%は6.7で、SO%は17.8%。マーゴットの穴を埋めるオプションとして機能しそうです。
両クラブとも、今後まだ大きな動きがありそうです。ドジャースはまだ先発投手を必要としています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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