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【MLB2024FA】大谷選手の契約に「オプトアウト」あり!発動条件に記載された2人の幹部とは?

オプトアウトまで前代未聞

 メガ・ディールが決まった大谷選手は、現地2023年12月14日、ドジャー・スタジアムにて入団会見を行う予定です。メガ・ディール決定後初の公の場への登場ということで注目が集まっています。時間はロスのローカルタイムで3時PM、東部時間で6時PM、日本時間では15日(金)朝8時からです。

 そんな大谷選手ですが、現地2023年12月13日、ドジャースとの10年/$700Mの契約にオプトアウトがついていることがわかりました。このオプトアウトもなかなか独特なもので初めて見るものです。

幹部のキーマン退任でオプトアウト発動

 「オプトアウト」とは契約解除という意味。長期契約をする選手によく設定されている項目です。このオフでは、タイガースのエドゥアルド・ロドリゲスが権利を行使してFAとなり、Dバックスとサインすることになりました。

 通常は、所属しているクラブが残り契約期間もコンテンダー(優勝争いをしている)であるかどうかを見極めるために、あるいは自身の活躍度からFA市場に打って出た方がさらなる好条件で契約出来るという目論見のために設定されることが多いです。

 今回の大谷選手の契約のオプトアウトの意図は、現段階でははっきりとわかりません。ただ、設定動機としてはコンテンダーであり続けるかどうかという動機が強いと思われます。

マーク・ウォルター、アンドリュー・フリードマン退任で

 その大谷選手のオプアウトの条件とは、「ドジャースの人事に特定の変更があった場合、その変更があったシーズンの終わりに契約を解除することができる」というもの。そして「人事」について具体的にはオーナーのマーク・ウォルター(Mark Walter)、POBO(President of Baseball Operation)のアンドリュー・フリードマン(Andrew Friedman)ということが明らかになっています。

 2人のうちのどちらかがドジャースと関わらなくなった時にオプトアウトが発動すると。通常であれば、10年契約の3年後に設定されたりしますが、このケースでは、どのシーズンであっても変更があったシーズン終了後にオプトアウト可ということに。

 彼らはドジャースの命運を握る重要なキーマンであり、大谷選手も信頼を寄せているということかもしれません。

(オーナー)マーク・ウォルターとは?

 2011年6月に、連邦破産法(Chapter 11)に基づいて破産申請を行なっていたドジャースを買い取ったのが、グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント。

 グッゲンハイム・パートナーズの中でドジャースの買収からその後のオペレーションまで担当する専任の会社として作られたものです。グッゲンハイム・パートナーズは運用資産$325Bとも言われている非公開のグローバル金融サービス会社。

 マーク・ウォルターはそのグッゲンハイム・パートナーズの最高経営責任者(CEO)です。そしてドジャースのオーナーだけでなく、プレミアリーグのチェルシーF.C.の共同オーナーでもあり、直近では北米の女子プロホッケーにも力を入れております。

 さらには自然保護活動や貧困問題などにも力を入れています。ここでは割愛します。

 大谷選手側とすれば、マーク・ウォルターは組織のキーマン中のキーマンですから、このオーナーが現在の方向性を貫いてくれれば良いということなのでしょう。マーク・ウォルターは1960年1月1日生まれの63才。

(POBO)アンドリュー・フリードマン

 マーク・ウォルターがドジャースのNO.1なら、組織のNO.3に当たるのがアンドリュー・フリーマンで、ベースボール・オペレーション部門のトップです。NO.2は球団社長兼CEOのスタン・カステン。

 各クラブのベースボール・オペレーション・トップには有能な人材が多数おり、なかでも現メッツのデービッド・スターンズ、レイズのエリック・ニーアンダー、フィリーズPOBOのデーブ・ドンブロウスキーなどは有名です。彼らほどの知名度はないものの、輝かしい実績を継続して残してきているのがこのアンドリュー・フリードマンです。POBOとしてはアンダー・レイティッド(過小評価されている)かもしれませんね。

元レイズ

 アンドリュー・フリードマンはかつてタンパベイ・レイズのベースボール・オペレーションのシニア・バイス・プレジデントを務めていた人物。サラリーがリーグ最低水準という制限の中、フリードマンが率いたレイズは2006年から2014年までの9シーズンで2度の地区優勝を果たし(2008年、2010年)、4度のポストシーズン出場を決めました。

 1998年の創設から2007年までの10年間、レイズはいずれも勝率5割以下に低迷。フリードマンは2004年にレイズに入り、2年間ベースボール・ディベロップメント(選手の育成)部長を務めました。成績低迷により解雇となった前GMに代わり、編成のアッパー・ポジションに就いたのが2005年終了後です。この時、フリードマンは28才の若さでベースボール・オペレーションのシニア・バイス・プレジデント兼GMに昇進しました。

 それから2年後。岩村選手が在籍していた2008年、レイズは創立初の地区優勝を果たし、ポストシーズンではホワイトソックスとのALDSに勝利。ALCSではレッドソックスと対戦し、4勝3敗で勝利して見事にワールドシリーズに進出。ワールドシリーズでは惜しくもフィリーズに1勝4敗で敗れたものの、レイズは大きな旋風を巻き起こし、そこからは常勝というくらいに強いクラブに仕上がりました。

 フリードマンはレイズに2013シーズン終了まで在籍。

ドジャースで常勝サイクルを構築

 2014年10月14日にドジャースのPOBOとして迎えられたフリードマンは、

 POBOとして2015年から2023シーズンまで9シーズン連続でポストシーズンに進出。そのうち地区優勝は8度、ワールドシリーズ進出は3度、うちワールドシリーズ制覇1度(2020)を達成。ちなみにドジャースの地区優勝はフリードマン就任以前の2013年から始まり、2013年まで11シーズン中10度の地区優勝です。

 今のドジャースはグッゲンハイム・グループがオーナーになってから明らかに変わったので、どうしてもお金の力で強くなった思われがちですが、確かにMLBではお金の力が必要ですが、フリードマンが仕組みを作ったがゆえに今のドジャースがあるというのも事実です。ドジャースはMLBトップクラスのファームシステムが構築され、次から次へとプロスペクト達が出て来る状況となりました。これは間違いなくフリードマンの業績であり、レイズ時代に培ったノウハウが活きているのでしょう。長期的な視点で常勝クラブのサイクルを作ったのがフリードマンです。

 2020年にはエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤーにも選ばれました。

オプトアウトは引き抜き防止効果も

 以上のことから、大谷選手のオプトアウト設定は、引き抜きが当たり前のMLBにおいてアンドリュー・フリードマンが引き抜かれるのを防ぐ効果も持っていそうです。

大谷選手の契約の付帯事項

 なお、報道によれば大谷選手の契約の付帯事項にはコンテンダーとなるべく、大谷選手が生み出した繰延効果を使って補強実行することを約束するという文言も含まれているとのことです。

 さらに、大谷選手にはフル・ノートレード条項も設定されています。

 以上、大谷選手のオプトアウトに関するお話でした。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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