贅沢税の記事のUPDATE版です
贅沢税に関しては過去に以下のような解説記事を書かせていただきました。
ただ、この時の記事は前の規定である2017-21 CBA(Collective Bargaining Agreement)をもとにして作成したものでした。CBAとは労使協定でMLBと選手会双方の取り決め事項になります。
2021年12月から2022年3月にロックダウンが発生しましたが、それはこのCBAの更新に関して、オーナー側と選手会双方で取り決め事項の更新に関して争ったものですが、その結果、取り決めが更新されております。それが2022-26 CBAです。贅沢税に関しても争われましたが、内容がほぼ同じだったので記事の更新はしておりませんでした。
オーナー変更で巨額マネーを動かしたメッツ
ところがその想定を遥かに上回るクラブが誕生しました。スティーブ・コーエン・オーナーに代わったメッツです。そのマネーの使いっぷりは相当話題になり、2023年は$376.4Mというとんでもないサラリーとなりましたが、いかんせん結果が出ませんでした。ちなみに2023年のMLB最低額はアスレチックスの$79.8Mですから、4倍以上の開きがあります。
大谷選手獲得にも影響
メッツの想定以上の振る舞いに対するペナルティーの規定を知るのと同時に、大注目の大谷選手を獲得するクラブはどのような状況になるのか?というのを含めて贅沢税の記事を更新したいと思います。
定義
なお、定義は上述のリンク通りで、そちらをご参照ください。また税率の設定もほぼ変わっておりません。
基準額(閾値=Threshold)
こちらは更新事項です。すでに終了しているシーズンの分は参考程度にご覧ください。
- 2022: $230 million
- 2023: $233 million
- 2024: $237 million
- 2025: $241 million
- 2026: $244 million
ペナルティー
(超過金額20Mドル未満)
贅沢税の基準額を超えたクラブは、何年連続で超えたかによって税率が変わってきます。超過額が課税価格となります。こちらは後述しますが、超過金額が$20M未満であると想定してください。
- 初年度 : すべての超過額に対して20%の課税
- 2年連続超過: 30 %の課税
- 3年連続以上超過: 50 %の課税
リセット!
クラブが1シーズンでも贅沢税の基準額を下回ると、ペナルティのレベルはリセットされます。例えば2シーズン連続で基準額を上回ったクラブがあったとして、3シーズン目に基準額を下回れば、その年はもちろん贅沢税はかかりませんし、それでリセットとなります。仮にその次シーズンで基準額を上回ったとしても初年度の設定の20%に戻ることになります。
ここ、ポイントです。サラリーを削って、リセットに持って行き、悲惨なシーズンになることもよくあります。
(超過金額20Mドル以上)
また、ペナルティーは基準額をどれくらい上回ったかで税率が変わってきます。$20M以上を上回った場合は以下の税率に。
- $20 million – $40 million:
- 初年度以降:12 %課税
- 税率は$20M未満部分+ 12%で計算
- $40 million – $60 million:
- 初年度:42.5 %課税
- 2年連続以降: 45%課税
- 税率は、$20M未満部分+ 42.5% or 45%で計算
- $60 million 以上: 60 %課税
- 税率は$20M未満部分+60%で計算
そして超過した額と超過年数、そして税率をまもめたのが下記の表です。
段階 Tier | 基準値 超過額 | 超過 1年目 | 超過 2年連続 | 超過 3年連続+ |
1 | $20M未満 | 20% | 30% | 50% |
2 | $20M-$40M + Tier 1 | 32% | 42% | 62% |
3 | $40M-$60M + Tier 1 | 62.5% | 75% | 95% |
4 | +$60M + Tier 1 | 80% | 90% | 110% |
(例)メッツ
メッツのケースで見てみます。サラリーの額は贅沢税計算上のサラリーで目安程度に考えてください。2023年はほぼ判明しているのですが、こちらも目安程度にご覧ください。
Season | 基準額 | サラリー | 超過年数 | 超過額 |
2021 | $210M | $207.72M | 0 | 0 |
2022 | $230M | $299.84M | 1年目 | $69.84M |
2023 | $233M | $376.42M | 2年目 | $143.42M |
メッツは2021年は贅沢税の基準額以下でセーフ。2022年以降、2年連続で超過しております。残債の関係で2024年も超えてくるのはほぼ間違いないところです。
2023年は、超過2年めで超過額$143.2 M に対して、4つの段階でレートがっけられ、それが加算されます。
$20 M x 30% = $6M
$20 M x 42% = $8.4M
$20 M x 75% = $15M
$83.2M x 90%= $74.9M
ざっと $104M
ペナルティー(ドラフト)
基準額を$40M以上超えた場合
- アマチュア・ドラフトの指名権がクラブの一番高い指名順が10個下がる
- もしそのクラブが上位6番目までに指名できる場合は2番めに高い指名順が10個下がる 。
以上です。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント