LAA、怪我つづきのトップ・プロスペクトを手放す
DバックスのGM、マイク・ヘイゼン(Mike Hazen)は、さすがというかもう将来に向けて動いています。
現地2023年10月30日、Dバックスはエンゼルスからクリス・ロドリゲス(Chris Rodriguez)をウェーバーでクレームオフ(獲得)しました。
クリス・ロドリゲスとは?
【YOUTUBE】Under the Halo: Chris Rodriguez
クリス・ロドリゲスは、1998年7月20日生まれの25才の右腕。ドラフトは2016年のエンゼルスの4巡目指名。2021年4月にメジャー・デビューを果たしております。
こちらの記事は2020年11月にしたためた記事で、2021年にデビューが期待されるエンゼルスのトップ・プロスペクトとして現フィリーズのブランドン・マーシュとともに紹介させていただきました。
非常に投げ方が格好良く、剛腕投手です。4シームだけでなく、カーブも大きくて、縦振りの腕のスイングに合わせた縦の変化が素晴らしい投手でもあります。ただ欠点はBBが多いという点。しかし、伸びしろだらけの投手でもありました。
2021年4月2日にリリーフとしてデビュー。リリーフとしては13試合に登板し、19.2イニングで被安打9、失点9、自責点8、BB 11、SO 20、HR 0でERAは3.66。
2021年8月にはようやく先発として登板。2試合、10.0 IPで被安打10、失点5、自責点4、BB 4、SO 9、HR 0、ERA 3.60をマーク。このシーズンは、計15試合で、29.2 IP、被安打28、失点14、自責点12、BB 15、SO 29、HBP 4。SO%は21.6% (MLB平均23.2%)、BB%が11.2 % (MLB平均 8.7%)。
しかし、この後クリス・ロドリゲスは右肩を傷め、右肩関節包の手術を受けました。
クリス・ロドリゲスのもう1つの大きな欠点でもあるのですが、とにかく怪我が多いのです。この右肩関節包の手術の前も2018年シーズンと2019年のほとんどを背中の故障で欠場していたのです。
2023年にマイナーで復帰したクリス・ロドリゲスでしたが、クラスAで1試合、トリプルAで2試合に登板したのみで、今季のIPは2.2。ほとんど投げられていないのです。
Dバックスが獲得した理由
怪我が多いにもかかわらず、Dバックスがクリス・ロドリゲスを獲得するに至った理由は明確で、まだ25歳である点です。
NPBでは25才で芽が出なければ次の人生に向けて歩き出すことが多いのですが、MLBではこのくらいの年齢でまだ40manロスターの当落線上にいる選手はざらにいます。例えば、2015年のサイ・ヤング賞を獲得したジェイク・エアリエッタ(Jake Arrieta)もデビューが24才で、本格稼働は25才から。サイ・ヤング賞を獲得したのは29才のシーズンです。
もちろん、Dバックスが信じているのはクリス・ロドリゲスにまだ火力が残っているというのが前提です。そのポテンシャルに対する投資でもあります。
Dバックスまたも再生させるか?!
現時点でDバックスはワールドシリーズで善戦していますが、その原動力となっている投手陣はスーパー・エリートからほど遠い投手がほとんどです。
ザック・ギャレン
NO.1ローテーションで今季のNLサイ・ヤング賞の候補の1人、ザック・ギャレン(Zac Gallen)も元々はカージナルスの2016年の3巡目指名の投手。2017年12月にカージナルスがマイアミからマーセル・オズーナを獲得したトレードでサンディー・アルカンタラらとともにマイアミに移籍。そして2019年のトレードデッドラインで、マイアミがジャズ・チザム・Jr.を獲得したディールでDバックスに移籍しました。
大化けしたのは2022シーズンにDバックスで12勝4敗、ERA 2.54をマークしてからです。決して最初からエリートではありませんでした。
ケビン・ギンケル
勝ちゲームの8回を任せられているケビン・ギンケルは、Dバックスの22巡目指名(2016)です。
その他、ブランドン・ファート(Pfaadt)は今まさに25才で、2020年のDバックスの5巡目指名。今やポストシーズンのヒーローです。
名コーチ、ブレント・ストローム
そんな投手陣をしっかりと育て上げたのは投手コーチのブレント・ストロームでしょう。ブレント・ストロームはポストシーズンでもベンチでその姿をよくカメラに抜かれている程の有名人。投手育成の達人の一人として広く知られています。クリス・ロドリゲスの場合、怪我という大きな問題がありますが、名コーチの下、花が開くと良いなと思っております。
LAAはなぜ手放した?
一つ、よく理由がわからないのはエンゼルスがどうしてこの才能豊かなクリス・ロドリゲスを手放したのか?という点です。
今季、トレードデッドラインで「買い」に回り、優勝もしていないのにプロスペクトが枯渇しているエンゼルスはこれから投手層がさらに薄くなります。良いプロスペクトは確保するべきなのに、手放しました。
理由はわからなくもないです。クリス・ロドリゲスを40manロースターに入れておくことで1枠が潰れてしまうからです。シーズン中はILは40man の中にいてもカウントせずに済みますが、ワールドシリーズ終了後には一旦は40manの1人としてカウントせねばならず、それによってスペースが潰れてしまいます。
これでクリス・ロドリゲスがDバックスで活躍すれば、目も当てられないです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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