ようやく決まった編成トップのポジション
現地2023年10月25日、ボストン・レッドソックスは編成トップである新CBO( Chief Baseball Officer)にクレイグ・ブレスロー(Craig Breslow)を採用したことを正式に発表しました。就任会見は現地11月2日に行われる予定です。
クレイグ・ブレスローは元MLBの投手で、かつてレッドソックスでブルペンを担ったこともあるOBでもあります。今回の採用は最近のトレンドである元選手のフロント・オフィス入りと同じ流れとなり、クレイグ・ブレスローもレンジャーズのクリス・ヤングGM、ホワイトソックスのクリス・ゲッツGM、マリナーズのジェリー・ディポトPOBOらのような仕事ぶりを期待されています。
難航した新CBO探し
下記の記事にも書かせていただきましたが、レッドソックスはシーズン途中の9月15日にハイム・ブルーム前CBOを事実上解任。この空席はすぐに埋められると思われていたものの、想像以上の大苦戦となりました。
まず、かなりの有力候補と見られていたマイク・ヘイゼン(現DバックスGM)がDバックスによって早々に契約延長によってブロックされ、そこに端を発して、サム・ファルド(現フィリーズGM)やブランドン・ゴームズ(現ドジャースGM)、キム・アングといった花形GMにも次々と面接を断られる事態に。
そして面接にたどり着いたのが、ツインズのGMのサド・レバイン、元パイレーツGMのニール・ハンティントン(Neal Huntington)、元ジャイアンツ監督のゲイブ・キャプラー、そして内部からエディ・ロメロ、マイケル・グルップマン、ポール・トボーニら。
そこから最終的にクレイグ・ブレスローに絞るまでの選考過程は非常に早かったです。
クレイグ・ブレスローとは?
クレイグ・ブレスローは1980年8月8日生まれの43歳。名門エール大学の出身で、2002年にブルワーズから22巡目で指名されプロ入りしました。デビューはその3年後の2005年7月23日でパドレスで果たしたのですが、どうしてパドレスでのデビューになったかというと、2004年7月にブルワーズからリリースされ、翌2005年3月にFAとしてパドレスとサインしたからでした。パドレスが拾わなければ今のポジションはないわけですから、パドレスにはファンとしても感謝ですね。
そして2005年オフに再びFAとなったブレスローは2006年にレッドソックスとサイン。これは1度目でこのシーズンは13試合での登板でした。2007年は主にトリプルAで過ごし、2008年シーズン途中にウェーバーでインディアンスにクレームオフされました。ブレスローが本領を発揮するのはこのシーズンからで2008年は49試合に登板。ERAは1.91。
2009年からはリリーバーとして確固たる地位を築き、60試合以上の登板が続きました。登板数のキャリアハイはアスレチックス時代の2010年で75試合。これだけ投げてもERAは3.01をキープしました。
そして2012年のトレードデッドラインで当時所属していたDバックスからレッドソックスへ移籍。ここから2015シーズン終了までレッドソックスに在籍。レッドソックスでは1度目の在籍も含めて計5シーズン在籍。202試合、211.0 IPでERAは3.80。
リリーバーとして需要のあったブレスローは2016年はマイアミ、2017年はツインズ、インディアンスに在籍し、このシーズンがMLBでのファイナルイヤーとなりました。
メジャー12シーズンで登板試合数は576。162試合平均で毎シーズン68試合に登板したことになります。キャリア通算でBB%は9.3% (MLB平均 8.3%)、SO%は18.2%(MLB平均18.9%)。
2013年のレッドソックスのWS制覇にも貢献。ALDS、ALCSで計7試合に登板し、ERAは0.00。カージナルスとのWSでは厳しい場面の1ポイントでの登板ゆえ、アウトが奪えなかったゲームもありましたが、貴重な左腕リリーバーとして力を発揮しました。
現役引退後
2018年に現役生活を終えたブレスローはカブスのBOの戦略ダイレクターとして契約。その翌年にはdirector of pitching(投手部門の部長クラス)に任命されると、2020年にはジェド・ホイヤーの体制のアシスタントGM昇進し、現在に至ります。
BOSに課題が多い中、手腕に期待
ALイーストという非常に厳しい地区で優勝争いと同時に新陳代謝もヘルシーに行って常勝クラブに仕立て上げることを期待されているクレイグ・ブレスローはなかなか大変な仕事を担うことになりました。
打撃では2023シーズンにコアとなるラファエル・デバースと長期契約。彼を中心に得点力を上げて行くことになりますが、トリストン・カサスとジャレン・デュランがが成長したものの得点ランキングは11位。
要所で活躍したジャスティン・ターナーはプレーヤーオプションを辞退する可能性が高いと言われており、RBIを稼げるバッターの一人が減る見込みです。アレックス・ベルドゥーゴは調停資格のファイナル・シーズンを迎え、噂ではトレード候補としても考えられています。2024年は肘も癒えたトレバー・ストーリーがどこまで機能するのかも注目ですし、日替わりとなった2Bの固定も急がれます。吉田選手は重要な得点源として考えられており、メジャー2年目のシーズンはかなり期待されるでしょう。捕手はコナー・ウォンとリース・マグワイヤがライバル関係で凌ぎ合っており、ここもこのままにしておくのかも注目です。
そしてブレスローの得意分野の投手部門は課題が大きいです。タナー・ハウク、ニック・ピベッタ、ギャレット・ウィットロック、クリス・セールそしてブライアン・ベイヨーと数は揃ってはいるものの、2023年のローテーションのERAは22位に終わったことからこの巻き返しが期待されます。
そして投手力に影響を与えているという点で守備力アップも大きな課題です。
課題の多かったレッドソックスの現場はブレスローの指揮の下、本来の強さを発揮できるかどうか。選手として当事者であった彼なら、多少の時間は要しても確実に内容のある野球を見せてくれそうな気がします。
OBお墨付き
選考のファイナル・ラウンドから時間を要さず、ブレスローに決まった内幕として、レッドソックスはクレイグ・ブレスローとプレーしたことのあるデービッド・オルティズ、ダスティン・ペドロイアら有力なOBの推しがあったことも伝えました。「彼なら良い!」と大きなお墨付きを与えたようです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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