2024年は全休の可能性あり
現地2023年10月13日のこととになりますが、ミルウォーキー・ブルワーズはローテーション右腕のブランドン・ウッドラフ(Brandon Woodruff )が同日、右肩前部の関節包の修復手術を受けたと発表しました。
ブランドン・ウッドラフは現地2023年10月3日の記者会見の時点で、Dバックスとのワイルドカード・シリーズは投げず、治療に時間を使うということを言っていました。
今回の手術によりブランドン・ウッドラフは2024シーズンのほとんど、あるいは全てを欠場する見込みです。
今季は右肩痛に悩まされる
今季、30才のシーズンであったブランドン・ウッドラフは4月1日の開幕2戦目のカブス戦に先発。6.0イニングで被安打3、失点1、BB1、SO 8、HR 1でチームの勝利に貢献。1点を争う展開で、ウッドラフが降板後にブルワーズが逆転したので、ウッドラフに勝利はつかず。
2戦目のカージナルス戦では5.1 IPでスコアレス投球をし、今季初勝利がつきました。
ところが、この後、右肩を傷めて4月12日にIL入り(4月8日に遡って)。そして4月16日にMRIの検診の結果が出て右肩の肩甲骨下部の張りとされました。
5月半ばには60Day ILに移管。その後、スローイング・セッションをこなすようになりましたが、ペースを上げることが出来ず、マイナーでのリハビリ投球を開始したのは7月に入ってから。
そしてメジャーに復帰したのは8月6日のパイレーツ戦から。この後、9月終盤まで中5日ペースで投げ続けたブランドン・ウッドラフは復帰後、9試合に先発し、55.2 IPで4勝1敗、ERA2.59をマーク。レッズに追い上げを食らっていたブルワーズのシーズン後半のラッシュに一役買いました。
しかしやはり肩の状態は良くなく、9月最終週の登板は取りやめとなることに。そして上述の通り、ポストシーズンのワイルドカード・シリーズのロスターから外れました。
シーズンを通してショルダー・イシューに悩まされたブランドン・ウッドラフの今季の成績は、11先発で67.0IPを投げ、5勝1敗、ERA2.28。BB 15、SO 74。
こういった経緯があったので、この機会に修復してしまおうというのが今回の手術です。
2024年は調停のファイナルイヤー
2023年1月時点でのブランドン・ウッドラフのMLSは4.161。今季はILに入ることが多かったものの、40manには入っていたので、MLSはこのままカウントされ、2024年1月時点でMLSは+1年となり、5.161。
ということは2024年が調停のファイナルイヤーで、FAの1年前。このタイミングで2024年が最悪で全休となった場合、ブルワーズがどう対処するのかが気になるところです。
ジョシュ・ヘイダーのケース
ブルワーズと言えば、とにかくコストをかなり意識するクラブです。2023シーズンの40manロスターの贅沢税上のサラリー総額は約$150M。これはMLB全30クラブ中19位の数字。ファイナルの数字が出れば若干の上下はあるかもしれませんが、いずれにせよ真ん中より下に位置するのは間違いないところ。
そんなブルワーズは翌シーズンのサラリー上昇が予想される選手をトレードする傾向があるのです。それが例え、看板選手であっても。
ちょっと嫌なケースになりますが、その悪しきサンプルがジョシュ・ヘイダーの2022年のTDLでのトレード。ジョシュ・ヘイダーはその時点で調停の2年目で、2023年が調停のファイナル・イヤー。そして2023年終了後にFAとなる予定でした。
ヘイダーの2022年のサラリーは$11Mで、2023年は$15M+アルファ$1-$2Mという相場が考えられていました。ブルワーズはこれを嫌って、トレードに出したのでした。その後、ブルワーズはポストシーズンの機会を失ったのは記憶に新しいところです。GMロールとして最高の評価を得ていたデービッド・スターンズですが、「彼にも失敗がある」と言わしめた事件でした。
今回のブランドン・ウッドラフも同じステータスです。2024年が調停のファイナル・イヤーで、2024シーズン終了後にFA。今季のブランドン・ウッドラフのサラリーは1年/$10.8M (2023)。今のところ、ウッドラフの2024年の相場は$11M〜$12M。ヘイダーほど上昇せず、さらに来季が欠場の見込みありということですから、これも影響してきそうです。
どういう決断をするのか?
コストに厳しいブルワーズが来季投げない投手に対して、果たして$10M以上のサラリーを出すのか?
眼前の支払いだけに目を向けていれば、ひょっとしたら、11月半ばのノンテンダー・リストにウッドラフの名前が出かねません。コスト削減は調停ステータスがターゲットになりますからね。
しかし、2017年にデビューし、2019年から本格的なローテーション右腕になったブランドン・ウッドラフを手放すことは、あまりにも損失が大きすぎます。彼は2019年から2023シーズンまでの5シーズンで、103試合に登板し、595.0 IPで41勝23敗、ERA 2.93をマーク。ヘルシーであれば年間30試合前後のローテーションをこなす右腕で、非常に高品質。
確かに2024年は大半を失うも、その後のことを考えればここで手放すことはあまりに惜しすぎます。
他の選手との兼ね合い
ブルワーズがMLBの真ん中以下のサラリーで2018年からの2023年までの6シーズンのうち、5シーズンもポストシーズンに進出することが出来たのは、プロスペクト達の活躍があったからです。
そのプロスペクト達も、ここに来てFAが見えてくるMLSとなってきました。
Player | POS. | MLS※ | 2023 $ |
---|---|---|---|
ブランドン・ウッドラフ | RHP | 4.161 | $10.8M |
コービン・バーンズ | RHP | 4.049 | $10.01M |
ウィリー・アダムス | SS | 4.105 | $8.7M |
エイドリアン・ハウザー | RHP | 4.010 | $3.6M |
ロウディー・テレーズ | 1B/DH | 4.004 | $4.95M |
デビン・ウィリアムズ | RHP | 3.056 | $3.35M |
ブランドン・ウッドラフ、コービン・バーンズ、ウィリー・アダムスがいわば同期(MLS上)。2024年が調停のファイナル・イヤーで、2024シーズン終了後にFA。
とにかくこの3名がサラリーの上でもトップ・プライオリティーで残留するかどうかを考えないといけないメンバーです。他にエイドリアン・ハウザー、ロウディーテレーズもMLSは同じ。彼らは金額が低めなのでこのまま調停を避けてサインするでしょう。
デビン・ウィリアムズは2024年は調停の2年目。フレディー・ペラルタは、5年/$15.5M (2020-24)+2025-26 クラブオプションなのでまだコントロール下。
コービン・バーンズは2023年の調停でもめましたので、来季のサラリーは覚悟した方が良さそうです。場合によっては彼をトレードの対象にするでしょうか?サイ・ヤング賞投手にその仕打ちをしかねないのがブルワーズです。
このように、コービン・バーンズ、ブランドン・ウッドラフ、ウィリー・アダムスの3人を揃ってキープするかどうか、ブルワーズは後1ヶ月ほど熟慮する見込みです。
レッズ、パイレーツ、カージナルスが追い上げ
ブルワーズは彼らをキープしないことには、2024年、2025年は相当厳しい戦いを強いられます。
レッズの追い上げは肌で感じたと思います。来季はパイレーツもオニール・クルーズが帰ってきますから強くなります。また、今季は世代交代で最下位に甘んじたカージナルスも来季は期するものがあるでしょう。カブスは今季、ポストシーズン争いを演じたライバルで当然、来季もいい戦いをしてくるでしょう。
2023年で契約の切れたクレイグ・カウンセル監督の去就もありますし、ブルワーズはオフシーズンはなかなか忙しいです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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