残留濃厚もトレードの可能性は排除しない
現地2023年9月25日、メディア・セッションに応じたエンゼルスのスーパー・スターのマイク・トラウトが今季の振り返りとともに、将来について語りました。少しだけではありましたが。
マイク・トラウトが取材に応じたのは、現地9月24日のターゲット・フィールドでのツインズ戦(3-9で敗戦)を前に60 Days ILへ移され、シーズン・エンドが正式に決まったからでした。
エンゼルスは右腕のカーソン・フルマーを同日にトリプルAソルトレイクから昇格させ、メジャー契約を選択。40 man ロースターの空きをつくるためにそうしました。なお、フルマーの昇格は左腕のタイラー・アンダーソンが左膝痛でローテーションから外れて15 Day IL入りとなったためです。
どうしようもなかった有鉤骨骨折
マイク・トラウトは現地2023年7月3日のパドレス戦でスイング中に左手有鉤骨を骨折。この怪我は骨が再生する時間、いわゆる時薬が必要で、時期的にこれでシーズン・エンドと考えられました。しかし、予想外に8月22日のレッズ戦に復帰。痛みと不快感が収まらない中、4打席に立ち1安打を放ったという超人ぶりを発揮したのですが、やはり痛みとともに十分なスイングが出来なかったことから再びIL入りとなっていました。
万全の体制で臨んだシーズン
マイク・トラウトは今季を振り返り、「復帰したかったし、タフだよ。つらいよ」と惜しげもなく悔しさを表しました。
マイク・トラウトは、過去2年、怪我に泣かされ続けました。2021年はふくらはぎの筋肉の断裂により5月中旬以降フィールドから遠ざかり、2022年には、背中の故障のためにシーズン中盤に1カ月余り欠場。32歳となる2023シーズンに向けての彼の目標は、「とにかく怪我のないシーズンを送ること」で、”I hired a ton of people to work on my body,” と語ったのですが、自分の体のコンディションを整えるためにたくさんの人を雇ったそうです。強大な資金力を勝つための体作りに投資してきたというのがよくわかる表現でした。
その成果もあり、今季はコンディションは非常に良かったと。ところが、前半戦終了間際に有鉤骨を骨折。本人の悔しさが伝わる怪我でした。彼の2023シーズンは.263/.367/.490、18 HR、44 RBI 。
将来について
今月初め、エンゼルスはマイク・トラウトが退団を希望した場合、トレードに応じると報じられました。
トラウトは近日中にフロント・オフィスと会談し、チームの方向性について話をすることになっています。ただ、この日のセッションではこのことについては、特別なものは何もないと言いました。
「このような会話は今年だけでなく、毎年あるんだ。ジョン(球団社長のジョン・カーピノ)もペリー(GMのペリー・ミナシアン)も(参加している)。(私がやることは)いつものように、オフシーズンに2、3週間休んで、気持ちを整理して体調を整え、プレーする準備をして、そこから出発するつもりだ」と。
なお、別の記者から「エンゼルスでやり遂げたいか?」という(我々ファンにとって一番聞きたい)質問にも同じようなコメントで返しました。「毎年このようなことを繰り返している。アルテ(オーナーであるアルテ・モレノ)とジョンとはプライベートな会話をしているし、13年前と同じことをやっている。オフシーズンに入り、気持ちを整理し、春に備え、春にエンゼルスのユニフォームを着るんだ」と。
さすがにこの簡単なメディア・セッションでは本音を吐露してくれるわけがなく、しかもシーズン中ですから、今公表出来ることを淡々と答えたという回答でもありました。
マイク・トラウトの契約
マイク・トラウトは2019年3月に当時の契約の残り2年を刷新し、12 年/$426.5M (2019-30)でサイン。$20Mのサイニング・ボーナスは2019年に受け取り済み。2019年のサラリーは$16Mで、2020年は$36M(パンデミックによりフルではありません)。2021年からは$35.45M/年です。まだ残り7年がありますから、$248.15Mが残額があります。またフル・ノートレード条項もあります。
トレードでの交渉の争点
この契約があるので、トラウトが動くにはトレードしかないわけで、残額をどうするかはトレード先との交渉次第です。
エンゼルスは今オフとトレードデッドラインでの補強でプロスペクトをかなり出したので、マイナーリーグレベルでも人材が不足している状態です。プロスペクトを補いたいのなら、トップ・プロスペクト複数人を条件にその代わりにトラウトの残額のかなりの割合を支払うという設定にするか、あるいはお金を優先するなら、トレード相手に契約を引き継いでもらうか、このどちらかの手段になると思われます。
残額をすべて引き継いでくれるところはないでしょうから、残額の割合とプロスペクトの凌ぎあいという交渉になりそうです。
限られる移籍先
トラウトのディールがあまりにもメガなので、交渉に応じられるクラブはごく限られています。
支払えるクラブも限られている上に、差し出すプロスペクトとのバランスを考えると、トレード先が見当たらないくらいに少ないチャンスかと思います。
かつての噂
余談ですが、2019年3月のエンゼルスとの契約更新前、ひょっとしたら、フィラデルフィアでハーパー&トラウトという世代最強のコンビが誕生するかも!という噂が一瞬だけ出ました。これが実現すれば、以前のプロレスで例えれば、馬場と猪木がコンビを組むような状況でしたので、まさに夢のコラボレーションで強くなりすぎて嫌になるレベルのお話でしたが、さすがに実現せず。フィリーズも二人だけで$70M/年を占めてしまう状況でした。ただ、エンゼルスは今、レンドン、トラウト、大谷選手で$100M超えです。
エンゼルスの強化は?
エンゼルスは現状のMLB30クラブの中で唯一、8年連続で勝率.500未満のクラブとなりました。
今季は捕手のローガン・オホッピー、SSのザック・ネトー、1Bのノーラン・シャニュアル、OFのミッキー・モニアックといった若手選手が頭角を表したという良い面があるものの、守備、走塁、投手力、 投手との駆け引きを含めた打撃へのアプローチなどテコ入れするべき課題が山積み。
それこそ、セオ・エプスタイン級の人物が哲学をもって数年かけて編成していくという大きなテコ入れが必要なレベルです。
マイク・トラウトが今後の野球人生を全うする環境をどれだけ整えられるのかかなり疑問なところが多いです。
大谷選手の再契約は?
セッションでは、大谷選手のこともよく聞かれると述べていました。
「翔平はどこに行くんだ?(と聞かれても)彼次第だ(と答えるしかない)。本人に聞いてみないと。最終的には彼が決めることだ。彼は僕には何も言ってこない。彼は黙っていて、自分のことを(淡々と)している。他のチームメイトとしては、彼のプライバシーを守ってあげればいいと思う。彼の決断だ。彼は彼にとって正しいことをするつもりだ。それがどうなるか見てみよう」と。
来季もトラウト&大谷選手が見られるのか?はちょっと可能性は少ないように思いますが、どうなるでしょうね??
マイク・トラウトは最初の8シーズンでアメリカン・リーグMVPを3度受賞し、それ以外でもMVP 2位が4度。オールスターに11度出場し、シルバー・スラッガー賞も9度受賞。
文字通り、スーパー・スターですが、直近3シーズンは様々な怪我により、レギュラーシーズン486試合中出場したのは237試合。これは49%の出場率です。
トラウトの去就についても注目したいところですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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