エンゼルス、「バイヤー」へ
現地2023年7月26日、ロサンゼルス・エンゼルスがトレードでホワイソックスからルーカス・ジオリトを獲得したと発表しました。
大谷選手はTDLで動かず
大谷選手がどうなるのか?このトレード・デッドラインでの大きな注目の的となっていましたが、エンゼルスは大谷選手をこのトレード・デッドラインで動かさないことを選択。
これにより、ポストシーズンに向けて全力で体制を整え、コンテンダー(この場合、ポストシーズン争い)へ参加する決意を内外に示したということになりました。そしてこのTDLではバイヤーのポジションで動くということに。
もっとも、これは大谷選手への強烈なメッセージでしょう。
噂に登っていたクラブはありました。Dバックス、オリオールズなど。いずれも大谷選手の勝ちへの意欲をくすぶるコンテンダーではありましたが、大谷選手自身も移籍の決断までメーターが上がらなかったのかもしれません(憶測です。すみません)。
契約の観点から言えば、やはり超巨額が動くことになるので、オフシーズンまで各クラブともに考えを整理する猶予が生まれました。このオフはどうなるでしょうかね??
トレード概要
動くのは計4人。簡単な表現でいうと、エンゼルスは即戦力を求め、プロスペクトを差し出したという図式になります。
エンゼルスGet
- ルーカス・ジオリト( Lucas Giolito /29) RHP
- レイナルド・ロペス(Reynaldo López/29) RHP
ホワイソックスGet
- エドガー・ケアロ(Edgar Quero/20)C/ 右投げスイッチ/ キューバ出身
- カイ・ブッシュ(Ky Bus/24)LHP/ 2021年2巡目
選手紹介
【LAA】ルーカス・ジオリト
言わずとしれた大エースですね。1994年7月14日生まれで29才になったばかり。カリフォルニア州サンタモニカの高校を出て、2012年のナショナルズ1巡目指名で全体16位でプロ入り。
デビューは2016年で、6試合中4試合に先発。0勝1敗で、ERAは6.75。
2016年12月、ナショナルズがアダム・イートンを獲得したトレードで、今回一緒に移籍することとなったレイナルド・ロペスと現在レンジャーズのローテーションとして頑張っているデイン・ダニングとともにホワイソックスへ移籍。
プロ初勝利はホワイソックスへ移籍した2017年で、この年は7試合に先発して、3勝3敗でERAは2.38。
本格稼働は2018年で32試合に先発で、ほぼ皆勤というくらいに登板。173.1イニングで10勝13敗、ERA 6.13。BBが多く、BB%は11.6を記録しました。ただER 118、BB 90はALでワーストとなってしまいました。
トランスフォームで大ブレイク
1巡目でプロに入ったものの、今ひとつ結果が出ないルーカス・ジオリトに転機が訪れたのは2019シーズン。この年からジオリトはテイクバックを小さくするフォームに変更。これがはまりました。
【YOUTUBE】All 27 Outs from Lucas Giolito’s epic no-hitter! (White Sox pitcher with 13 Ks too!)
この2019シーズンはとにかく安定感抜群で、29試合、176.2イニングを投げ、14勝9敗、ERA 3.41、SO9は11.6で、BB 9は2.9。オールスターにも選ばれ、サイ・ヤング賞投票でも6位に入る素晴らしい年となりました。完投3、うちシャットアウト2はALでトップでした。
短縮シーズンとなった2020年は4勝3敗、ERA 3.48。
コロナ明けの2021年は31試合、178.2イニングを投げ、11勝9敗でERAは3.53。2022年は30試合に先発して、11勝9敗でERAは4.90。やや悪化しました。
2023シーズンはここまで、21試合に先発し、6勝6敗でERAは3.79。チーム状態が悪い中、奮闘しているという状況でした。
エンゼルスではもちろん、ローテーションとして稼働。大谷選手(8勝5敗)、グリフィン・カニング(6勝4敗)、タイラー・アンダーソン(5勝2敗)、パトリック・サンドバル(5勝7敗)、リード・デトマーズ(2勝7敗)の中に入ることになりますが、ルーカス・ジオリトの加入はローテーションの谷間のオープナー日の回避につながり、ブルペンにもゆとりが生まれることが期待されます。
今ひとつ結果の出ていないリード・デトマーズをリリーフに持っていくかどうかは本人の適正とローテーション事情に依るというところになりそうです。
【LAA】レイナルド・ロペス
レイナルド・ロペスは1994年1月4日生まれの29才。ドミニカ共和国出身で、2012年6月にアマチュアFAとしてサイン。ルーカス・ジオリトとはトレードのパッケージに入ったり、何かと縁がありそうです。
デビューもジオリトと同じで2016年。
当初は先発として稼働しており、2018年は32試合に先発し、7勝10敗、ERA 3.91。2019年は33先発で、10勝15敗、ERAは5.38。
先発は2021シーズンまでつづきました。
2022年からブルペンに回り、61試合に登板してERAは4.76。
2023年はすでに43試合に登板。ERAは4.29。
今季はSO%が29.2を誇るものの、BB%が悪化。12.4と苦戦しています。これは調整の難しかった2020年の12.4%と同じ。移籍することでこういうのが改善される場合があるものの、果たしてどこまで改善するのか、見ものです。
【CWS】エドガー・ケアロ
ホワイソックスが獲得したプロスペクトは、キューバ出身の20才のスイッチヒッティングの捕手。2023年は、ダブルAのトラッシュパンダでプレーし、70試合で打率.246、OBP .386、SLG .332、HR 3、RBI 35。ちなみに2022年はクラスAでHR 17を記録しています。今季はほとんどの出場試合でマスクをかぶっており、守備を重視した取り組みをしているのかもしれません。なお、2023年のフューチャーズ・ゲームに出ています。
ローガン・オホッピーは23才ですから、彼が当分機能すれば良いという判断でのトレードかもしれません。
【CWS】カイ・ブッシュ
こちらは23才の左腕。2021年の2巡目指名。2022年にダブルAで投げ、103.0イニングで7勝4敗、ERA 3.67。2022年はフューチャーズ・ゲームにも出場。
2023年は主にダブルAで投げ、1勝3敗でERAは5.88。今季のSO9は11.4と奪三振は多いものの、BB9が4.8とこちらが高め。
期待値の高い左腕が完成していくのか?というところです。
エンゼルスはこれでポストシーズンに進めなければ、オフに大谷選手が出ていく可能性が高まるため、なんとしてでも10月にプレーできるよう体制を整えているところです。まだ、動くことになりそうです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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