驚きのトレード
現地2023年7月19日、案外これがトレードデッドラインの動きへの狼煙となるのでしょうか?
ボルチモア・オリオールズとオークランド・アスレチックスの間でトレードが成立。なんと藤浪晋太郎投手が動くこととなりました。
「買い」のオリオールズと「売り」のアスレチックスは今後1週間はさらなる複数回の動きがあると見て良さそうです。
トレード概要
まずはトレードの概要です。今回のトレードは1:1。
オリオールズGet
- 藤浪晋太郎投手(29) RHP
オリオールズは藤浪投手の枠を空けるため、INFのジョシュ・レスター(Josh Lester)をDFAとしています。
アスレチックスGet
- イーストン・ルーカス(Easton Lucas/26)LHP
藤浪投手の今季の成績
藤浪投手のシーズン成績は34試合で49.1イニングを投げ5勝8敗、ERA 8.57(現地2023年7月19日時点)。
この数字は開幕後の先発での悲惨な成績が反映されているため、現時点の評価とはギャップが出ます。ちなみに、40イニング以上を投げた投手で、9回あたり8失点以上を許した投手は他にいません。
藤浪投手は当初は先発ローテーションに入り、7試合に登板してERAは14.26。良いイニングと悪いイニングとのギャップがあまりにもありすぎ、非常に不安定な投球が続きました。
先発は実質4度と考えた方が良さそうです。4月1日、8日、15日、22日の4回。残り3回はオープナーによる先発です。
4月後半にリリーフに転向してからは、31.2イニングを投げ、ERAは5.40。
月別 | G | W | L | ERA | IP | R | ER | HR | BB |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
4月 | 6 | 0 | 4 | 13.00 | 18.0 | 27 | 26 | 3 | 16 |
5月 | 11 | 2 | 1 | 10.50 | 12.0 | 14 | 14 | 1 | 8 |
6月 | 10 | 1 | 2 | 3.97 | 11.1 | 5 | 5 | 1 | 6 |
7月 | 7 | 2 | 1 | 2.25 | 8.0 | 2 | 2 | 1 | 0 |
歪んだ成績は月別で見るとその要素がはっきりしていて、やはり4月のスターター時、5月のリリーフ転向後に悪かった数字が現時点でも影響しているという内訳になります。
6月からはかなり落ち着いた投球内容となっており、7月はERAも2点台を記録。
そして5月27日以降、20登板のうち15登板で無失点をマーク。藤浪は21.2イニングを投げてERAは3.32。この間、BB%は7、SO%は25.6となっています。
短いイニングを投げることで、4シームのアベレージベロシティーは97mphから99~100mphにアップ。また、93-94mphの高速スプリット多くし、mid-80mphのカッターを減らしています。
オリオールズが獲得した背景は?
オリオールズのブルペンは後ろに強力な2枚がおります。フェリックス・バティスタとイェニエル・カノー。さらに、先日のマイアミ戦の絶対絶命のピンチを救ったベテランのダニー・クーロムはサウスポーとしてゲームの要所で良い働きを見せています。
ブライアン・ベイカー、マイク・ボーマンは概して効果的なものの、いずれもBB9が5.0を上回ることからBBが多すぎるのは気になるところです。
オリオールズのリリーバーのERAは3.74で、MLBで8位。SO9の10.13はMLB3位。名前を上げた5名のうち、バティスタとカノーはERAがともに1点台前半、ダニー・クーロムは2.78、残り2名も3点台。
藤浪投手が入る余地は?
上述のようにオリオールズのブルペンはかなり優秀で、藤浪投手が入る余地はあまりないように思います。
ただ、オリオールズは上述の5名以外のブルペンのERAがいずれも4点台、あるいは5点台となるので直近に2点台のERAを出している藤浪投手が入ることでブランドン・ハイド監督にオプションを増やすことにはつながりそうです。数も増えれば楽になりますし。
サラリーの残りはBALが引き継ぎ
藤浪投手でなくても良いのでは?とは正直思いますが、直近の成績の良さとサラリーのバランスも獲得の大きな要素だと思います。
藤浪投手の契約は1年/$3.25M。残り期間の支払いはオリオールズが行うことになっています。約$1.3Mが残っています。
藤浪投手はこの契約が終了すればFA。オリオールズとしては期間限定での補強ということになりそうです。もっとも、残り期間で素晴らしい成績を出せば、ハロー効果で複数年契約もということになるかもわかりません。
【OAK】イーストン・ルーカスとは
アスレチックスは$1.3Mほどのコストを削減し、左腕リリーバーのイーストン・ルーカスを獲得しました。
イーストン・ルーカスは2019年のドラフト14巡目でマーリンズに指名された193cmのサウスポー。この時、22才。現在は26才でここまでメジャーの経験はありません。
ドラフト・イヤーの2019年12月にジョナサン・ビヤーがマイアミに動いたトレードの交換要員としてオリオールズへ移籍。
2023年はダブルAで開幕を迎え、現在はトリプルAに在籍。両レベルを併せて30.2イニングを投げ、ERAは3.23。SO9は11.2、BB9は3.8。左打者の打率は.200。
なお、ルーカスはシーズン終了時に40manロスターに入らなれば、ルール5ドラフトの対象となります。おそらくそれは杞憂となり、今後数週間のうちにアスレチックスは彼をビッグリーグで起用すると思われます。
現地2023年7月20日から、オリオールズはレイズとの首位攻防の4連戦。藤浪投手が出てきますでしょうか?
リードしている展開よりも、ビハインドの状況で出るケースが多いのではないか?と思っておりますが、どうでしょうかね?
【追記】初登板は1失点
現地2023年7月21日、藤浪投手がレイズとの首位攻防Game2に登板しました。やはり登板はビハインドの状況でしたね。
0-2とリードされた7回裏、藤浪投手が登場。その代わりばな、初球のアウトコースへの99.4mphの4シームをホセ・シリにLFにソロHRを打たれ1失点。0-3とリードを拡げられてしまいます。
しかし、その後は後続を3人で打ち取り、しかもワンダー・フランコには6球粘られましたが、空振り三振に。もうアドレー・ラッチマンも4球連続でスプリッターを要求するなど、1イニングに特化したリードをしました。
ゲームは3-0でレイズが勝利。ザック・エフリンが11勝目を上げています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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