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【MLB契約2023】カージナルス、マイルズ・マイコラスと2年/40Mドルで契約延長

2023シーズン開幕前に契約延長

 ラーズ・ヌートバー選手のWBCでの活躍を機にカージナルスの話題が多くなったような気がしますが、本日もそのカージナルスの話題です。

 現地2023年3月24日、セントルイス・カージナルスは、スターター右腕のマイルズ・マイコラス(Miles Mikolas)と2年の契約延長を発表しました。

【YOUTUBE】Press Conference: Mikolas Extension | St. Louis Cardinals

延長契約の中身

 まず、その延長契約の中身ですが、現状の契約のファイナルイヤー分を上書きした上で、2年の契約延長を追加する形を取ります。

  • 3年/$55.75M (2023-25)
    • $5Mサイニング・ボーナス(2023/7に支払われる)
    • $18.75M (2023)、$16M(2024)、$16M(2025)
    • アウォード・ボーナス
      • サイ・ヤング賞受賞で+$0.25M
      • WS MVPで + $0.15M
      • LCS MVPで + $0.1M
      • ASG出場、GG賞受賞で $0.05M

現状の契約

 現契約は、2019年2月にサインした以下の内容。2023シーズンまでの契約となっていました。

  • 4 年/$68M (2020-23)
    • $5M サイニング・ボーナス(サイン時に$1M、残りは2020年から2023年の1月15日に、$1Mずつ支払われる)
    • $15.75M / 年 (2020-2023)
    • フル・ノートレード条項

 つまり、2023年は$15.75Mだったサラリーが$18.75Mになり、$3Mアップ。さらにサイニング・ボーナスの$5Mと、2024-25のサラリー $32M ( @$16M x 2 )を足した合計が$40Mになるという内容です。

WBCアメリカ代表として好投

 マイルズ・マイコラスは、2023 WBCのアメリカ代表にも選出され、1次ラウンドでのカナダ戦の2番手、準決勝のキューバ戦の2番手として登板。2試合で6.0イニングを投げ、被安打9、失点1、自責点1、BB 0、 SO5と安定した結果を残していました。

  • 準決勝:キューバ戦(現地19日) 2番手 4.0 IP/ H 6/ R 1/ ER 1/ BB 0/ SO 3
  • 1次R : カナダ戦 (現地13日) 2番手 2.0 IP/ H 3 / R 0 / ER 0/ BB 0/ SO 2

2022シーズンに200イニング達成

 マイルズ・マイコラスは2022シーズンに202.1イニングに登板。

 これはNPBからMLBにキャリア復帰した2018年に200.2イニングを達成して以来の200イニング超え。この2018年は素晴らしいシーズンで、18勝4敗、ERA 2.83をマークし、オールスターに出場し、サイ・ヤング賞得票6位を実現したというこれまでのキャリアとはガラリと景色が変わったシーズンでもありました。NPBでの3シーズン(2015-2017)の経験が活きたということですね。

 さて2022シーズンですが、33試合に登板し、32先発で、12勝13敗、ERA 3.29。勝利数こそ2018年には及びませんし、ERAも2018年の方が上ですが、仕事量としてはキャリアハイのシーズンだったと言っていいと思います。

 2022年の投球内容としては、SO% 19は MLB平均の21.5%を下回りますが、BB% 4.8と 平均をやや上回るHR% 3.1で相殺した数字。とりわけ剛球でねじ伏せてはいないのですが、これは打たせて取る投球スタイルを貫いていることを証明している数字でもあります。2022年のGB%(ゴロ率)は、45.9%、FB%(フライ率)は25.2 %。

 4シームのベロシティーは2022年は93.5mphとなかなかの数字をマークしており、スライダー、シンカー、カーブ、チェンジアップを活かす上で大いに機能しています。

2020年に屈筋腱の修復手術

 2022シーズンの200イニング達成とWBCでの登板での好成績は、今回の契約延長に大きな後押しになったと言って良いでしょう。

 というのもマイコラスは、大活躍した2018シーズンの翌年の2019年は9勝14敗、ERA 4.16とかなり苦戦。実はこの時点で右前腕部の屈筋腱痛を発症していました。

 当初は、PRP療法でなんとかシーズン離脱を考えていましたが、屈筋腱が断裂していたことと2020シーズンがなかなか始まらないことを考え、2020年3月にその修復手術を実施しました。これはトミー・ジョン手術とは違いますが、内容的にはそれと似た重たい手術でもあります。そして60試合の短縮シーズンとなった2020年を全休。

 復帰は2021年5月22日で、1年2ヶ月ほどかかりました。

 その2021年ですが、手術した前腕・屈筋部分の違和感により、5月に復帰して1試合に登板して違和感で離脱、3ヶ月ほど調整に時間がかかり再復帰は2021年8月20日となりました。

 結果、2021シーズンは9試合、44.2イニングでERA 4.23に終わっています。

 よって、2022年はその状態から200イニングを達成したこと、そして春先の早い時期にWBCにも参加し、しかも良い結果を残したことが非常に重要なことだったのです。

アダム・ウェインライトに代わり開幕投手

 カージナルスの2023シーズンのオープニング投手は、マイルズ・マイコラスとなりました。

 そもそもはアダム・ウェインライトに決定していたのですが、WBC出場後に鼠径部を傷め、出遅れることが決定。マイコラスがオープニング・ピッチャーに指名されました。なお、アダム・ウェインライトの鼠径部痛はWBC後のトレーニング中にジムで痛めたということですから、WBC出場の影響は多少はあったかもしれませんが、薄いのでははないかと思われます。

カージナルスにとっても重要な右腕

 今回のマイルズ・マイコラスの契約延長はカージナルスにとっても重要な延長契約となりました。

 というのも、上述のアダム・ウェインライトは、2023シーズンで引退する意向を示しており、さらに、左腕のジョーダン・モンゴメリーと右腕のジャック・フラハーティーは2023年が調停のファイナル・イヤーで、2023シーズン終了後にFA資格を満たす予定だったのです。ということは、もしもマイコラスと延長契約していなければ、カージナルスは2023シーズン終了後に計4名のローテーションを失う可能性があったのです。残っているのは、左腕のスティーブン・マッツだけです。

マッツとともにソフトランディングな世代交代を担う

 2023年、カージナルスはマイルズ・マイコラス、アダム・ウェインライト、ジョーダン・モンゴメリー、ジャック・フラハーティー、スティーブン・マッツの5名でローテーションを回す予定です。最初の数週間はアダム・ウェインライトがILとなるため、あと1人を追加する必要があります。

 23才左腕のマシュー・リベラトーレ(2022年に70.0 IP)、26才右腕のジェイク・ウッドフォード(2022年は先発、ブルペン双方に登板)らがその候補。28才右腕のダコタ・ハドソンは、このスプリング・トレーニングは3試合 8.2イニングを投げ、ERA 6.28と乱調。ローテーション・レースから脱落し、3月21日にトリプルAにオプションされました。

 次の世代として、プロスペクトで2020年ドラフト全体63位の右腕のティンク・ヘンス(Tink Hence)は、2024年にデビュー見込み。

 2021年ドラフト5巡目のゴードン・グレースフォ(Gordon Graceffo)は、2023年にデビュー見込み。すでにデビュー済みのマシュー・リベラトーレもこの世代の選手です。

 2024シーズンにいきなり彼らにローテーションを渡すのは、クラブ側としてもリスクがありますし、本人たちのプレッシャーもかなりきついです。ブルペンが良いだけに、「先発が・・・」という批判を一身に受ける状態は避けたいところ。皆、褒められてこそ伸びますから。

 今回の契約はそうならないように4年/$44M (2022-25)で契約しているスティーブン・マッツとともに、ソフトランディングな世代交代を担う意味もあります。

 新契約は、マイコラスの35才と36才のシーズンまで延長されました。マイコラスの前腕部がヘルシーであれば、良い契約になる可能性は十二分にあります。マイコラスがチャーリー・モートンやザック・グレインキのような存在になることを祈りつつ。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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