開幕まであと1週間で起こった悲劇
2022シーズン、監督交代以降本来の力を発揮し、ワールシリーズまで進出したフィラデルフィア・フィリーズ。もうファンの熱がとてつもなくすごかったですが、そのフィリーズにかなり残念な事態が起こりました。
右のホームラン・バッターのリース・ホスキンス(Rhys Hoskins)が左膝ACLを断裂したことが判明。現時点ではフィリーズからそのアナウンスは出ているものの、復帰のタイムテーブルは出ておりません。
打球処理で傷める
リース・ホスキンスが左膝を傷めたのは現地2023年3月23日のグレーブフルーツ・リーグでのタイガース戦。
2回表、イニング先頭のオースティン・メドウズが放った1Bゴロは叩きつけた打球ゆえに大きく弾み、下がりながら対応しようとして左足を着地させた時に大きな負荷がかかった模様。体を支えきれないホスキンスはそのまま倒れ込み、しばらく起き上がれない状態でした。トレーナーも出てきて、カートで運ばれるという事態に。
監督のロブ・トムソンに依ると、その後ホスキンスはロッカールームで自力で歩いたことを明かしたものもの、とてもプレーできる状態ではないことは明らかで、そのまま病院へ直行することになりました。
左膝ACLを断裂
病院でのMRIの結果、左膝のACL断裂が判明。ベースボール・オペレーションズ社長のデーブ・ドンブロウスキーは、現地24日に状況を説明する予定です。
ただ、この怪我を負った場合、ほとんどは手術が必要で復帰まで1年近くはかかるので、シーズン・エンディングとなるのは間違いないところです。
追記:開幕日に手術
現地2023年3月28日、リース・ホスキンスは開幕日の2023年3月30日に左膝修復手術を受けることが決まりました。フィリーズからは正式な復帰のタイムテーブルはまだ出ていませんが、2023年全休は避けられないところかと。
フィリーズ、30HR & 70 RBIのマイナス・・・それ以上
これはフィリーズにとって大きな痛手となります。
リース・ホスキンスは、2022シーズンに30 HR、79 RBIをマーク。MLB通算6年のアベレージは36HR。それを2023年の見込みに入れるのはやや多いとしても、年間30-35 HR、RBI 80前後は見込める打者でもあります。
ホームラン%はリーグ平均が3.2%に対し、ホスキンスは5.1%。彼のHRバッターぶりがよくわかる数字です。
センセーショナルだったのは2017年のルーキー・イヤーで、50試合で18HRを放ち、8.5%のHR%をマークしたことがあります。それ以降も30 HR前後はマーク。
ホスキンスは三振も多い打者で、リーグ・アベレージが8.5%なのに対して、キャリア通算のそれは、13.5%です。直近2年は、2021年が10.6 %、2022年が10.7%。
その三振リスクを差し置いても、30 HR / 80 RBIほどの数字がごっそり抜けるのですから、これはたまったものではありません。
ハーパー不在期間中と相まってさらに深刻な状況に
フィリーズはブライス・ハーパーがトミー・ジョン手術を受けており、復帰はおそらくオールスター前後になる見込み。
ゆえに前半戦はハーパー不在だけでもかなりの痛手なのに、今回のホスキンスの怪我はさらに打撃陣を追い込む事態に。
フィリーズにはカイル・シュワーバー、ニック・カステヤーノス、JT.リアルミュートというスラッガーがおり、さらに今オフにはWBCでも大活躍したトレイ・ターナーを補強。一見、問題なく見えるかもしれませんが、ハーパーとホスキンスの2枚が不在になれば、相手投手への圧力はやはり落ちてしまいます。
投手陣にも影響が
打撃陣がうまく機能しなれば、投手陣にも大きな影響出ます。先制点を許さない、あるいはクオリティー・スタート(6イニング/3失点)を意識するあまり、かえって数字が悪くなるパターンです。
1Bをどうするか?
フィリーズはホスキンスの抜けた1Bをカバーしなければなりません。正直、ホスキンスの守備はあまりうまくありませんが。
シンプルな選択肢は27才のダリック・ホールをここに当てるということ。左打席のホールは、2022年にデビューし、41試合に出場し、136-34、打率.250、OBP .282、SLG .522、HR 9、RBI 16をマーク。長打力はあります。
すでにポジションが決まっている選手をシフトさせるという手もあります。例えば、3Bのアレク・ボームを1Bにして、3Bには今オフ獲得したジョシュ・ハリソンを起用するパターン。あるいは3Bにワールドシリーズにも出場したエドムンド・ソーサというパターンもあり得ます。
FA選手の獲得?
もしも外部から獲得とれば、FAで残っている1Bとしてはミゲル・サノがいますが、果たしてどうすのか?
ここは動きを静観するしかありませんね。
調停ステータスのファイナルイヤーだった
この怪我はチームにとって大きな損失であると同時にホスキンス自身にも痛手です。
ホスキンスは2023終了後にFA資格を取得することになっていたからです。皆、調停のファイナル・イヤーでかなり頑張り、FAでマルチイヤー・ディールの高額契約を得ようとします。
ホスキンスはこの怪我でそれが出来なくなるのです。
これをカバーするには、ノア・シンダーガードやカルロス・コレアのように一旦はショート・タームで契約しておいて、長期を狙うというやり方になるのではないか?と思われます。
まずはフィリーズからの公式の復帰スケジュールを待ちたいとは思います。
お読みいただき、ありがとうございました。
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