バウアー、NPBへ
日本時間2023年3月14日早朝、驚きのニュースが入ってきました。ドジャースからリリースとなり、FAとなっていた右腕のトレバー・バウアー(Trevor Bauer)の横浜ベイスターズ入りが決まった模様。
こちらはサンケイ・スポーツさんがソースのようです。
トレバー・ #バウアー 投手がDeNAベイスターズと1年4億円で契約に基本合意。
— 山田結軌⚾️サンスポMLB記者🇺🇸野球大好き😍 (@YamadaSANSPO) March 13, 2023
News: Trever #Bauer will sign with the #DeNA #Baystars in Japan professional league. The deal is $4M + incentives / 1 year, pending physical. Sources confirmed it to Sankei Sports.
ジェフ・パッサンさんも日本時間2023年3月14日にディールが正式なものになる見込みであることを伝えています。
Former Cy Young winner Trevor Bauer is finalizing a one-year contract with the Yokohama DeNA BayStars in Japan, sources tell ESPN. Bauer was released by the Dodgers and went unsigned by MLB teams after serving a record domestic-violence suspension. Deal will be official tonight.
— Jeff Passan (@JeffPassan) March 13, 2023
契約内容
サンケイスポーツの情報によれば、1年/$4M + インセンティブということに。
2021年以来のマウンドへ
トレバー・バウアーが最後にメジャーのマウンドに上がったのは、2021年6月28日のジャイアンツ戦。このゲームでは6回、被安打8、失点2、BB 1、SO 8、HR 2で勝ち投手となり、8勝目をあげています。このシーズンは、17試合で107.2イニングを投げ、8勝5敗、ERA 2.59。
登板していない期間に何があったのか?
その後の流れを記載しておきます。リンク記事と併せてお読みいただければと思います。
調査
この最後の登板の後、バウアーは2021年7月2日からリストリクティッド・リストに入り、アドミニストレーティブ・リーブ(有給扱い)で期限が来れば延長を翌シーズン4月まで繰り返していました。
この期間に何をやっていたのかというDV疑惑にまつわる調査です。詳細は下記の記事をご覧ください。
バウアーは、いかなる性行為も合意の上であったと主張し、不正行為を強く否定。ロサンゼルス高等裁判所の判事も接近禁止命令を却下。また、2022年2月にはロサンゼルス地方検事局が、バウアーを刑事事件として追及しないことを発表しています。
不起訴
よってバウアーは法的には刑事事件として起訴されることはなかったものの、目の前に大きく立ちはだかったのが、MLBと選手会が2015年8月に共同で合意したDVポリシーでした。
この中には法的に有罪ではなかったとしても、コミッショナー権限で厳しい処分を下すことが出来るという規定があるのです。
DVポリシー違反で324試合のサスペンション
そして、現地2022年4月29日、MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは、ロサンゼルス・ドジャースの右腕トレバー・バウアー投手に対し、家庭内暴力と性的暴行に関するポリシー(domestic violence and sexual assault policy)に違反したとして、2022年4月29日から2024年4月28日までの期間の324試合(丸2シーズン)のサスペンション(出場停止処分)を科したのでした。
194試合へ処分軽減
現地2022年12月22日、MLBは、トレバー・バウアーの出場停止処分が独立した立場の仲裁人のマーティン・F・シャインマン(Martin F. Scheinman)氏によって324試合から194試合に短縮されることになりました。その日数計算などは下記の記事をご参照。
ドジャースはリリースを決断
バウアーは現地2022年12月22日に即座に復職となった訳ですが、その後はMajor League Rule 2C”に基づき、所属していたドジャースが復職から14日以内にバウアーを40manロースターに入れるかどうかを決めなければなりませんでした。その期限が2023年1月6日。
そして結論はDFA。ドジャーズのクラブハウスは、多くの選手が関係を断つことを希望していたという情報も。
DFA後の手続きでトレードなどの声も待ちましたが、2023年1月12日にリリースとなりました。
ここまでがプレーしていない期間の流れです。
2023年のサラリー
バウアーは3年/$102M(2021-23)でドジャースとサイン。これにより、2023年は$32Mのサラリーの予定でしたが、処分軽減の処置の1つである50試合分の減額があり、それが約9.46M。
ドジャースは契約した関係上、リリースしたとしてもサラリーの支払義務は負いますから、$22.5Mがドジャースからのサラリー。今回、横浜と$4M+インセンティブがプラスになります。
正確かどうかは不明ですが、公開情報からだとそうなります。
通算83勝
トレバー・バウアーは1991年1月17日生まれ。2023年3月14日時点で32才です。UCLA出身。2011年アマチュア・ドラフトのDバックス1巡目指名、全体順位3位。
2012年6月28日にメジャー・デビュー。21才の時です。この頃は科学的なトレーニングを採り入れることで有名で、バウアーのウォームアップは非常に注目されていました。
デビュー後の2012年オフ、Dバックス、レッズ、インディアンス間で決まった3チームトレードでインディアンスに移籍。このトレードではディディ・グレゴリアスもレッズからDバックスに移っています。
よって、MLBのキャリアの大半を過ごしたのがインディアンス(現ガーディアンズ)。
インディアンスでは、ローテーションの柱として活躍。2015年には初の二桁勝利。2016年には35試合、28先発で190.0 IPで12勝8敗、ERA 4.26。
インディアンスがワールドシリーズに進出したこの年、バウアーは趣味のドローンをいじり、右手の小指を大きく切り、ALCSで流血しながら登板したこともありました。この頃から「あれ?」という感じの言動が多くなったような気がします。ドローンいじりは緊張をほぐすためにやっていたのかもしれませんね。しかし、まさかの右手の負傷。
インディアンスには2019年の7月まで在籍。7シーズンで1,044.1イニングを投げ、67勝53敗。
2019年のトレード・デッドラインで、レッズへ移籍。
短縮シーズンとなった2020年、11試合で73.0イニングを投げ、5勝4敗、ERA 1.73でNLサイ・ヤング賞を受賞。ERAのタイトルも獲りました。ちょうどカブスに在籍していたダルビッシュ投手とサイヤング賞を争ったのですね。ちなみに、この年はALサイヤング賞で前田投手が2位に入っていることもお忘れなく。1位はシェーン・ビーバーでした。
【YOUTUBE】Trevor Bauer DOMINATES (8 IP, 1 R, 12 Ks) on 3 days rest to keep Reds alive! NL Cy Young?
2020シーズンオフにFAとなり、ドジャースとサイン。2021年以降は上述の通りです。
メジャー通算、83勝69敗、ERA 3.79。
バウアー・エピソード集
- 2016年のALCSでの右手流血は上述の通り。
- 物理学などを駆使し、独自のチェンジアップを開発。
- ツイッターにツッコミを入れてきた女子大生を論理的に追い込んでぎゃふんと言わせる。
- 2017年にアストロズ投手陣の変化球の曲がりが不自然とツイート。そのやりとりの中でアレックス・ブレグマンがバウアーの名前をチームメイトのテイラーと間違えたことで、そこからは品のある感じのお笑いの応酬に発展。
- 2018年は69日間どこかに寄付をするキャンペーンを実施。
- 2019年、バックスクリーンへ大遠投。
その他、サイン・スティーリング問題、強粘着物質の問題なども遠慮なく持論を展開したりしました。ロジカル過ぎて誰も反論できないほど。
過酷な日本の夏をどう乗り越えるか?
バウアーを待ち受けるのは日本の過酷な夏。DeNAホームはしかも人工芝。アメリカにはない高い湿気でかなりイライラするかもしれません。しかもメジャーの内野手とはアウトに出来る範囲も違いますので、そんな時にどういう態度になるのかも見てみたいところです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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