A’sはローテーションとして期待
ポスティングによるメジャー移籍を表明していた阪神タイガースの藤浪晋太郎投手(28)が、現地2023年1月11日、オークランド・アスレチックスと合意に至った模様です。
藤浪晋太郎投手は、現地2022年12月1日にポスティング申請を受理され、複数のクラブと交渉を行い、Dバックス、レッドソックスなどから好感触を得ておりました。中でも、もっとも良いお話が出来たのがアスレチックスであったということです。
A’sは藤浪投手をローテーションの1人として期待しています。
契約内容
現時点でのステータスはフィジカルチェックの結果待ちで、まだオフィシャルではありません。
そして契約内容は1年という期間は明らかになっていますが、経済的な情報はまだ開示されておらず。なお、藤浪投手のエージェントはボラス・コーポレーションです。オプションまで付けたのではないか?と思います。
追記:金額が判明
現地2023年1月13日、合意報道から一夜空け、大筋の金額が判明しました。
- 1年/$3.25M(2023) 保証
- インセンティブ:$1M
アスレチックスの場合、トレバー・メイで$7M、アレドミス・ディアスで2年/$14.5M(2023-24)でAAVで$7.25Mですから、これでも頑張った方かもしれませんね。
入団プロセス
上述の通り、藤浪投手はポスティングによるメジャー移籍となった訳ですが、一応、プロセスを整理しておきたいと思います。
NPBのFA権の要件は2つ。
- 国内FA権:8シーズン
- 海外FA権:9シーズン
フィルター1:ポスティング
藤浪投手は、NPB在籍10シーズンではありますが、メジャーのMLS(メジャーリーグ・サービスタイム)に該当するNPB版の換算において、まだFA権行使には至っておりませんでした。
NPB出身の選手で、在籍9シーズン未満の選手はポスティング経る必要があり、これはNPBとMLB双方で合意している規定です。藤浪投手はこれに該当。よって、今回はポスティングによる移籍が必要となりました。
フィルター2:インターナショナルBPは不要(受け入れ側)
これは獲得側の規定になりますが、以下の要件によりインターナショナル・ボーナス・プールが発生するかどうかが決まります。インターナショナル・ボーナス・プールとは、海外FAの選手を獲得するために1年間に使える契約金の総額のことです。これがないと、お金にものを言わせて良い選手を片っ端から獲得しまくるという事態が発生してしまいます。よって契約金の上限の規制があるのです。この金額枠が削られるということは、獲得出来る選手の数も減ってしまうことから、クラブ側にとってはかなり重要。逆にこれが免除されるなら、NPBからポスティング移籍する選手の獲得意欲も上がるということに。
- 年齢:25才以上
- 外国のリーグで少なくとも6シーズン経過
- その2つの点に該当する選手を獲得する場合、獲得クラブ側はインターナショナル・ボーナス・プールが免除されます。(該当しない場合は、その枠を考慮する必要あり。)
藤浪投手は3になりますから、獲得するアスレチックス側は、インターナショナル・ボーナス・プールは免除です。
リリース・フィー
ただし、獲得側のアスレチックスは元の所属先の阪神にリリース・フィーを支払うことになります。
【リリースフィーの設定】
- 2,500万ドル($25M)で合意した場合→20%
- 5,000万ドル($50M)まで→ 1 + 次の2,500万ドル($25M)の17.5%
- 5,000万ドル($50M)超→1+2+残りサラリーの15%
- 契約に以下がある場合もその15%がNPBの所属クラブに。
- Supplemental Fee(余剰の料金)
- サイニング・ボーナス(契約金)
- Vesting Option(〜を達成すれば$〜)
リリース・フィーは、数千万円か
1年契約という時点で、どう考えても金額的には上記の1で決まりです。阪神へのリリース・フィーはその20%。
もしも総額$10Mの契約だとしたら、リリース・フィーは$2Mです。アスレチックスですから、おそらく$10Mを超えることはないと思われます。サラリーは$1Mから$9Mの間で、ボラス・コーポレーションが頑張って、サイニング・ボーナスでを+$2-3Mつけたとして、$10Mを超えるかどうか??というところになるのではと予想します。
追記:リリース・フィーも判明
阪神へのリリース・フィーは$0.65Mとなりますから、ざっと@JPY 128.8/USDで計算すると、8320万円ほどになります。なお、どの時点のレートをもって計算されるかによって金額は前後します。
大谷選手と同地区に
藤浪投手は、大谷選手と同地区のア・リーグ西地区になりました。エンゼルス&アスレチックス戦は対戦試合も多いですから、ファンとしても楽しみが増えますね。
なお、アメリカのメディアでも藤浪投手が高校時に大谷選手と並んで旋風を巻き起こしたこと、さらにプロ入り後の4シーズンで、ERAが3.00を切る好投を見せ、オールスターに4年連続で選出されたことも報じております。
アメリカでコマンドの修正が出来るかも注目
同時に、例の161球の登板のことも紹介され、ここ数年はコマンドで苦しんだことも報じてられています。
藤浪投手は2017年のWBCの侍ジャパンに選出。中国戦に登板した際、4番打者の脇腹に強烈な死球を与えました。筆者の知る限り、藤浪選手のコマンドがおかしくなったのは、これがきっかけだったように思います。コマンドで苦しみ続けた藤浪投手は、2017年以降は一桁勝利が続き、最高でシーズン5勝にとどまっています。
長身投手が多数いるMLBで
2022年にERA 3.38をマークし、復活の兆しを見せた藤浪投手。
198cmの長身から、High-90mphを投げるその大きな可能性に期待する声も多いです。MLBには2mを超える長身投手が何人もおり、彼らの体の使い方は藤浪投手に良い影響を与える可能性が大です。
それに仮にイップスの要素があったとしても、アメリカはイップス治療の先進国ですから、昇華するノウハウも豊富にあるはずで、これも藤浪投手には良い環境と言えそうです。
NO.3候補も、ライバルは強敵
アスレチックスでは、コール・アーヴィン、ポール・ブラックバーンの次のNO.3が期待されているようです。
なお、アスレチックスはリビルドによる主力放出の代わりに獲得してきたプロスペクトが豊富です。
2022年にフランキー・モンタス&ルー・トリビーノのトレードでヤンキースから獲得したケン・ウォルディチャックとJP・シアーズは藤浪投手の強力なライバルです。
さらに、Cのショーン・マーフィーをブレーブスに出したトレードで獲得したカイル・ミューラー、2022年4月にショーン・マナエアをパドレスにトレードした際に獲得したエイドリアン・マルティネスなどもそうです。
藤浪投手は不調になってから投げまくっていましたから、フィジカルチェックで良い結果が出れば良いと思いますし、そしてメジャーで輝くことを祈るばかりです。
お読みいただき、ありがとうございました。
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