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【MLB FA 2023】ジェイコブ・デグロムはレンジャーズとサイン!5年/185Mドル保証の大型契約(追記あり)

2022-23 オフシーズンの大物、デグロムがサイン

 驚きましたね。

 現地2022年12月2日、メッツからFAとなっていたMLB屈指の右腕、ジェイコブ・デグロム( Jacob deGrom )のディールが決まりました。テキサス・レンジャーズと5年$185M保証の大型契約です。

 こちらはすでにフィジカルチェックもパス済み。オフィシャルにディール成立です。

 そもそも他クラブとのサインも念頭に入れていましたが、現実となりました。

【YOUTUBE】Jacob deGrom AGREES TO DEAL WITH THE TEXAS RANGERS! (Signs 5-year contract in the Lone Star State)

MAX 222Mドルの大型契約

 今回のジェイコブ・デグロムとテキサス・レンジャーズとのディールは以下の通り。

  • 5年/$185M (2023-2027) + 2028 コンディショナル・オプション
    • 支払い
      • $30M (2023)
      • $40M x 2 (2024-25)
      • $38M (2026)
      • $37M (2027)
      • 【追記】2028年のコンディショナル・オプションの内容は以下。
        • $20M: 2023-2036年の間にデグロムが右肘のトミー・ジョン手術、もしくは右肩の手術して130日連続でILに入る、または上記期間内のMLSで186日連続で離脱した場合
        • $37Mのプレーヤー・オプション: 上記の条件に該当せず、2027年に160 IPを達成、もしくは、2027年にサイヤング賞投票でトップ5に入る、そして独立した医療機関で2028年はヘルシー であると診断された場合
  • アウォード・ボーナス:ゴールド・グラブ賞受賞、LCS MVP獲得、ASG出場で$0.1M、WS MVPで$0.15M、サイヤング賞受賞で$0.25M(2位で$0.2M、3位で$0.15M、4位で$0.1M、5位で$0.05M)
  • フル・ノートレード条項あり
  • 特典:デグロムはホームゲーム全試合のプレミアムシート6席を購入することが出来る
  • クラブ・チャリティーに毎年$0.15Mを寄付

 2028年は一定の条件で更新するかどうかを決めるコンディションナル・オプションで、これは成果をクリアーすれば更新となるべスティング・オプションと相互合意を前提としたミューチュアル・オプションの中間のような条件設定です。現時点ではその金額は明らかにされておりませんが、条件を突破すれば(ヘルシーであれば)$37Mとなり、それも含めると総額は$222M。ただ、保証されているのは5年/$185Mです。

 そして贅沢税算出の元となるAAVは37Mということに。

 いやはや、大きな契約となりましたね。

AAVランクではNO.3(サイン時)

 MLB屈指のベテラン右腕の大型ディールと言えば、2021年11月29日にマックス・シャーザーがメッツとサインした3年/$130M (2022-24)が衝撃的な高額契約でしたが、今回のデグロムのサラリーは期間、金額ともにそれを上回りました。

 ただし、AAV(Annual Average Value)で算出した場合$37Mとなり、シャーザーの衝撃的な$43.33Mには及びません。なお追記として、ジャスティン・バーランダーのメッツとのディールはAAVが$43.33Mでシャーザーと並びました

  1. マックス・シャーザー(NYM):$43.33M (3年/$130M :2022-24)
  1. ジャスティン・バーランダー(NYM) :$43.33M (2 年/$86.66M +  2025 $35M べスティング Opt)
  1. マイク・トラウト(LAA):$37.1M (12年/$426.5M: 2019-30)
  2. ジェイコブ・デグロム(TEX) $37M (5年/ $185M保証: 2023-27)
  3. ゲリット・コール(NYY): $36M (9年/ $324M: 2020-28)
  4. ジェイコブ・デグロム(NYM): $36M (5年/$137.5M :2019-23)前契約
  5. ノーラン・アレナド(STL): $35M (8年/$260M: 2019-26 + 1年/$15M:27)
  6. スティーブン・ストラスバーグ(WSH): $35M (7年/$245M: 2020-26)
  7. マックス・シャーザー(WSH): $34.5M (7年/$210M: 2015-21) 前契約
  8. トレバー・バウアー(LAD): $34M (3年/$102M: 2021-23)
  9. ジャスティン・バーランダー(HOU): $33M (2年/$66M: 2020-21) 前契約
  10. ザック・グレインキ (HOU) : $32.9M (6年/206.5M: 2016-21)
  11. コーリー・シーガー(TEX):$32.5M (10年/$325M)

バーランダーのFAディールも後押し

 話は少し逸れますが、ジャスティン・バーランダーは2022年に3度目のサイ・ヤング賞受賞というキラキラした冠をかざしての今回のFA。彼はタイガース時代の同僚のマックス・シャーザーのようなディールを希望しており、今回のデグロムのディール成立はそのバーランダーのディール実現も後押ししそうな雰囲気です。

TEX、贅沢税はまだ大丈夫

 2022-2022のオフシーズンにコーリー・シーガーとマーカス・セミエンの2人と大型ディールを成立させたレンジャーズ。

 今回のデグロムのディール成立で贅沢税がやばいのでは?と思ったのですが、まだまだ大丈夫な見込み。現地2022年12月2日時点で、40manの予想AAVの総額は、デグロムのサラリーを加算してもまだ$185M。これはMLS0-3、MLS 4-6のプレーヤーの予想額を加味した上の数字です。

 2023年の贅沢税の基準額は$233Mで、 予算次第ではまだ獲得に行くと思われます。実際、2022年はピッチャーでゲームを壊してきましたから。

Name2023 AAV
ジェイコブ・デグロム$37M
コーリー・シーガー$32.5M
マーカス・セミエン$25M
マーティン・ペレス$19.65M(QO受諾)
ジョン・グレイ$14M
ジェイク・オドリッジ
(トレードで復帰)
$12.5M
レンジャーズの高額サラリーの内訳(現地2022年12月2日時点)

デグロムの主要な実績

 ジェイコブ・デグロムの輝かしい実績はもう周知のことなのでかんたんに記載しておきます。

  • 2014 NL ROY
  • オールスター出場:4度 (2015、 2018、 2019、 2021)
  • サイヤング賞:2度 (2018 & 2019 ※2年連続)
  • NL ERA 1位:1度 (2018)
  • NL奪三振リーダー:2度 (2019: 255 SO / 2020: 104 SO)
  • 15勝以上: 1シーズン (2017: 15勝)
  • 200 IP: 3シーズン (2017、2018、2019)
  • 200 奪三振: 4度 (2015、 2017、2018、2019)

デグロムはヘルシーさをキープ出来るか?

 輝かしい実績を掲げるデグロムですが、MLB9シーズンで82勝57敗、ERA 2.52、1,607SOという通算成績。

 これほどの投手がまだ100勝を達成していないのは、1つにはデグロムがMLB屈指の投手となった2017年以降2021年までの5シーズンで、メッツ自体が沈んでいたというのがあります。

 デビューした2014年から2016年までは良かったのです。2014年はNLイースト2位、2015年はワールドシリーズへ進出。2016年はNLイースト2位。

 しかし、2017年から2021年までは勝率5割を超えたのは2018年のみ。10敗以上負け越しているシーズンが続いていました。

 デグロムはせっかくいい投球をしていてもブルペンでゲームをひっくり返されるということが何度も続き、2018年のサイヤング賞は10勝での受賞となったほどです(217.0 IP/ 269 SO/ ERA 1.70)。

 もう1点は怪我の多さによる登板機会の喪失。

2021年は凄かったが、途中離脱

 ジェイコブ・デグロムを語る上で、2021シーズンの凄まじさはもうこれは伝説のような事態でした(2019年もすごかったのですが)。もはや異次元の投球。

 このシーズンは7月7日が最後の登板となったのですが、15試合を投げて、1試合の被安打数の最高がたったの5。これが2試合あっただけ。

 とりわけすごかったのが2戦目から4戦目。この3試合は、14SO、14SO、15SO。このうち3戦目の2021年4月17日のコロラド戦は6.0イニングで14SOです。

 2021年の序盤はまたメッツ打線が湿りに湿ってほとんど援護らしい点がなかった状況で、まさに孤軍奮闘でした。

 2021シーズンのデグロムの4シームのアベレージ・ベロシティーはなんと99mphです。リリーバーではなく、先発投手のアベレージが99mphです。いかにすごかったがわかりますね。

 ただ、その凄さは体に大きな負担をかけていたのか、2021年は前腕部のハリで7月7日の登板でシーズンエンドになってしまいました。

 その影響は2022シーズンにも及び、今度は肩痛という事態に。復帰したのは2022年8月2日。シーズンの2/3をサイドラインで過ごしたことになりました。2022年は11試合で64.1イニング、5勝4敗でERAは3.08。なお、アベレージ・ベロシティーは98.9mphで、前年と変わりませんでしたが、本調子でないなというのがわかる投球でもありました。

 2023シーズンに35才となるデグロムの5年後は39才。本当にヘルシーさだけがポイントになりそうです。

次世代プロスペクト達にも好影響

 レンジャーズにはジャック・ライターがデビューを控えており、2023年にETA(デビュー)と予想されています。さらにライターのヴァンダービルト時代の同僚、クマール・ロッカーの存在も。

 今回のディールは今後のMLBを引っ張りそうな彼らが直接デグロムと接する機会が出来るという意味で、良い影響を与えそうです。

 お読みいただき、ありがとうございました。

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