ブルペン強化のクラブは狙い目
現地2022年11月30日のストーブ・リーグは特に大きな動きはなく、アーロン・ジャッジへのオファーや、ザンダー・ボガーツの行き先に関する報道が散見されました。
おそらく各クラブは現地2022年12月4日(日)から7日(水)までサンディエゴで開催されるアニュアル・ウィンター・ミーティングに向けた準備で大わらわになっていることでしょう。物理的な準備というよりは、ディール成立への布石を色々と打っているものと想像します。この静けさからすると、バタバタっと大きなディールが決まりそうですね。
そんな中、ちょっと注目しておきたいリリーフピッチャーがおります。それが表題のロッキーズからFAとなっているリリーバー右腕のカルロス・エステベス(Carlos Estévez )です。
今オフにFA
カルロス・エステベスは2023年1月でMLSが6.022。つまり、今オフはFAとなったのです。
誕生日は1992年12月28日ですので、この年末で30才となります。そのカルロス・エステベスが注目となっているポイントをいくつかまとめてみます。
【人気のポイント1】 平均97.5mphの剛速球
なんと言っても魅力はそのベロシティー。球質はスピン量も多いとは思いますが、とにかく威力がすさまじいこと。2021シーズンはアベレージで97.1mphだった4シームは、2022年は97.5mphと上がっています。ちなみにキャリアの中でのアベレージの最高は2016シーズンの97.9mph。
デビュー時の2016年にはトリプル・ディジッツ(100mph超え)もバンバン叩き出していましたが、最近は100mphを超えることはほぼないものの、4シームは数字通りにいつでも97mphを超えてくるという威力です。球質は違いますが、数字だけのイメージで言うと、今ポストシーズンのワイルドカード・シリーズからNLCSまで登板ごとに97mph平均を出していたザック・ウィーラーのようなイメージ。
強いボールが魅力です。
【人気のポイント2】サラリーが安い
そしてなんと言ってもカルロス・エステベスはサラリーが高くなかったのが、人気の出そうなポイントです。
調停資格となった2020年から調停ファイル・イヤーとなった2022シーズンの3年間、カルロス・エステベスは、いずれも調停を避けてサインをしていますが、$1.08(2020)→$1.45M(2021)→$3.025M(2022)という推移。
2022年のサラリーがベースとなりますから、このオフの契約は複数年となっても単年で$10Mを超えることはなさそうです。人気が集中してせり上がるかもしれませんが、その線はまず超えないでしょう。なおトレード・ルーモアさんの予想着地点は3年/$21M。単年で$7Mですね。
スカウト陣は高評価
マイナス面ももちろんあります。
変化球はスライダーとチェンジアップのみです。2019年まではシンカー、カッターもありましたが、ここのところは、この2種類のみ。いずれも87-88mphという速度レンジで4シームとは8mphから9mphの速度差。打者からすればどちらかをマークすれば良く、ある程度は対策が容易です。
また、BB%はやや高めの9.8%(2022)。2021年以前は7.8%前後でした。リーグ平均は8.5%なので、2022年はベロシティーに頼ったのか、やや高い数字でした。
セットアッパーなので、試合の流れの一番きつい場面を任されていることもあり、ERAで3.50を下回ったのは2022シーズンのみ。2021年は4.38でした。ちなみに2020年は7.50でしたが、特殊なシーズンだったため、ここは考慮にいれない方が実像が出てくるはずです。
ヒッターズ・パークのコロラドをフランチャイズにして、この数字はかなり評価されてしかるべきかと思います。
キャリア
カルロス・エステベスは、2011年5月31日にコロラド・ロッキーズとアマチュアFAとしてサイン。ドミニカ共和国の出身です。
サイン後の2011年から2013年はルーキー・リーグに当たるドミニカ・サマー・リーグ、あるいはクラスAマイナスに所属。2013年には両レベルで6勝1敗、ERA 3.66をマークし、プロとして軌道に乗ってきました。
2014年にクラスAに昇格し、33試合で、53.1イニングを投げ、1勝3敗、ERA 4.73。2015年にはAAに昇格。さらに秋にはAFL(アリゾナ・フォール・リーグ)に参加。5試合、5.2イニングでERA 3.18と結果を出します。
2016年にAAAで開幕を迎え、4月23日にメジャー・デビュー。この年にいきなり63試合に登板。8月にはクローザー・ロールを担うことに。このシーズンは11セーブをマークし、55.0イニングでSOは59。
【YOUTUBE】COL@ARI: Estevez strikes out Tomas to end trouble
2017年は怪我などもあり、35試合、32.1イニングにとどまり、5勝0敗でERAは5.57。
2018年は終年でAAAに在籍。大きな怪我ではなかったものの、小さな故障がかさなり、この年は、AAAでも28試合で、28.1イニングの登板に終わり、ERAは6.35。
2019年は71試合、72.0イニングを投げ、ERA3.75をマーク。SO9は10.1、BB9は2.9でした。
短縮シーズンの2020年はERA 7.50とどうも調整がうまく行かなかったようです。
2021年には64試合で、61.2イニングに登板し、11セーブをマーク。ERAは4.38。
そして2022シーズンは62試合で、57.0イニングを投げ、ERAは3.47、SO9は8.5、BB9は3.6となっています。
彼もウィンター・リーグで決まりそうな気配があります。
ブルペンで苦労しているクラブからはかなり狙われていると思われます。果たしてどのクラブとサインするのか、注目です。
追記です:エンゼルスに決定
ブルペンが弱いクラブは彼が狙い目ということで、実はレッドソックスかエンゼルスに入れば良いなと思っていたのですが、エンゼルスに決まりました。
- 2 年/$13.5M (2023-24)
エンゼルスはこれでライアン・テペラとともに強いボールを投げるリリーバー右腕が二人もいることになりました。良いですね。
お読みいただき、ありがとうございました。
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