パイレーツ、久しぶりのメジャーFAディール
現地2022年11月25日、ちょっと驚きをもって接したニュースですが、ピッツバーグ・パイレーツがメジャー・ロスターに入れるつもりのFAの選手とサインしました。
マリナーズからFAのカルロス・サンタナと1年/$6.725Mでディール成立です。現時点ではフィジカル・チェック待ちで、すぐにオフィシャルとなる見込み。両者の合意には翌年のオプションなどはないと見られています。
パイレーツのFAディール
パイレーツはここのところ、大型ディールというものがありませんでした。
直近のFAとはディールは成立しているものの、$6Mを超えるのは久しぶりです。
【直近のパイレーツのFAディール】
- 【2022】ロベルト・ペレス(C):1年/$5M
- 【2022】ヒース・ハンブリー(RHP): 1年/$2.215M
- 【2022】筒香嘉智(INF/OF): 1年/$4M
- 【2021】トレバー・ケイヒル(RHP): 1年/$1.5M
- 【2017-19】イバン・ノヴァ (RHP) : 3年/$26M(AAV: $8.666M)
- 【2017-18】ダニエル・ハドソン(RHP): 2年/$11M
- 【2015-17】フランシスコ・リリアーノ(LHP): 3年/$39M
そのほかにももちろん成立したFAディールはありますが、主要なところはこのような感じです。
この中で最大のコントラクトはフランシスコ・リリアーノの3年/$39M(AAVは$13M)。イバン・ノヴァとのコントラクトが2019年までありましたが、今回のカルロス・サンタナのディールはそれ以降で最大となります。
1Bの打撃をプッシュ
2022シーズンはぞろぞろとモンスター級の選手がデビューしたパイレーツ。SSのオニール・クルーズ、OFのジャック・スウィンスキー、RHPのルイス・オルティズなど目白押しでした。
2021年は61勝101敗、2022シーズンは62勝100敗。2年連続最下位でしかも100敗超え。最後のポストシーズンは2015年という状況ではありますが、長い再建の過程でようやく上述の通り良い芽も出てきました。
そんなパイレーツの2022年の攻撃の弱点は1Bにありました。パイレーツの1BのOPSは.601で30クラブ中最下位。打率も.206と最下位です。打撃力が求められる1Bのポジションがこうでは、やはり得点力も上がらず、RUN591はMLB27位でした。
2022シーズンのパイレーツの1Bはマイケル・チャビスが129試合で最多出場で、OPSは.654。2番目に多かったのは筒香選手で50試合でOPSは.478、3番目はザック・コリンズの10試合(OPSは.178!)。
そんなパイレーツに強い1Bであるカルロス・サンタナが加入したという非常に意義のあるディールとなりました。
メイン1Bを期待
パイレーツは11月10日にマイナー選手とのトレードでレイズから1Bのジーマン・チョイを獲得。
彼は左打者ですが、2022シーズンは右投手より左投手の方を攻略していて、右投手に対して打率が.233だったのに対して左投手には.375。ただ、キャリア通算で見ると、やはり左投手には弱く、右投手には.247なのに対して左投手には.203です。
カルロス・サンタナはどうかというと、典型的な左キラー。2022シーズンは右投手が.178で左投手が.265。キャリア通算では、右投手が.226に対して左投手は.276。
よって、先発投手次第でチョイとゲームをシェアする可能性が高いですが、左投手先発ゲームであっても、シチュエーションによっては、カルロス・サンタナが起用されるシーンが多くなることが予想され、どちらかというとメイン1Bとして起用される見込みです。
また、パイレーツは11月15日にマーリンズをDFAとなったルーウィン・ディアス(26才/左投げ左打ち)をウェーバーで獲得。ルーウィン・ディアスも1Bで2022シーズンは58試合に出場。打率.169、OBP .224、SLG .288、HR5をマークしていますので、彼も含めて三つ巴の争いですが、カルロス・サンタナ、チョイとルーウィン・ディアスとの間はやや実力差がある感じです。
カルロス・サンタナとは
カルロス・サンタナは1986年4月8日生まれ。2023シーズンを迎えてすぐに37才となります。
ドミニカ共和国の出身で、もともとは2004年8月にドジャースとアマチュアFAとしてサイン。18才のときです。
もともとは捕手!
2008年のトレードデッドラインでドジャースがインディアンスから内野手のケイシー・ブレイクを獲得したトレードでインディアンスに移籍。デビューはインディアンスに移籍してからの2010年で24才の時になります。なお、デビュー時のポジションは捕手。もともとは捕手だったのです。
インディアンスではデビュー翌年の2011年からエブリデー・プレーヤーとして出場するようになり、捕手で95試合(88試合に先発)、1Bで66試合(66試合に先発)、DHで1スタートというふうに兼務しました(計155試合に出場)。この年にいきなり27HR、79RBIをマークしています。
【YOUTUBE】Indians turn a triple play when Carlos Santana dives for a bunt
2012年も捕手で100試合に出場(95試合に先発)、DHで27先発、1Bで21試合(20試合に先発)、LFで1試合に出場。計143試合に出場し、打率.252、OBP .365、SLG .785、HR18、RBI 76をマーク。
2013年は計154試合に出場。そのうち捕手での先発出場は81試合、DHでの先発は47試合、1Bでの先発は29試合。この年に打率.268、OBP .377、SLG .455、OBP .832、HR20、RBI 74をマークし、MVP投票で15位に入りました。
【YOUTUBE】Santana’s injury
2014年が捕手での出場が最後のシーズンに。この年は1Bをメインに、DH、3Bを守り(下の動画リンクをご参照。素晴らしい動きです)、打撃は打率.231、OBP .365、SLG .427、HR 27、RBI 85。インディアンスには2017年まで在籍。その間、ずっと154試合以上出続け、2016年には34HRをマークしました。
【YOUTUBE】Santana makes four outstanding plays
2017年オフにFA。その年の12月にフィリーズとサイン。3年/$60M(2018-2020)+2021年は$17.5Mのクラブオプションで$0.5Mのバイアウトつき。
フィリーズでの2018年は、打率.229、OBP .352、SLG .414、HR 24、RBI 86。
1度目のマリナーズには10日在籍
2018年12月3日、フィリーズとはまだ契約が残っていたのですが、カルロス・サンタナはマリナーズへトレード。このトレードは2022年のキー・プレーヤーになった選手が名を連ねているのがすごいです。
【マリナーズGET】
- カルロス・サンタナ
- J.P.クロフォード(J.P. Crawford )
【フィリーズGET】
- ジーン・セグラ
- フアン・ニカシオ(Juan Nicasio)
- ジェームズ・パゾス(James Pazos )
しかし、その10日後に今度はインディアンスに復帰します。これはエドウィン・エンカーナシオンが絡んだトレードでマリナーズ、インディアンス、レイズとの三者間で行われました。
【マリナーズGet】
- エドウィン・エンカーナシオン DH (from CLE) $25M/1 year ($5M バイアウト込み)+ 2020年クラブオプション $20M
- 2019のドラフト指名権(77番目=Comp. Balace Round 2)from CLE
- $5M CASH from TBR (2回で:5/1までに$2.5M、8/1までに $2.5M)
【インディアンスGet】
- カルロス・サンタナ(from SEA)$35M/2 Years ($0.5Mバイアウト込み)
- $6M CASH from SEA (2019年: 5/1までに$1M、8/1までに$1M、2020 年: 5/1までに$2M、8/1までに$2M)
- ジェイク・バウアーズ 1B/LF(from TBR)左投げ左打ち
【レイズGet】
- ヤンディ・ディアス(from CLE)3B/1B
- コール・サルサー(Cole Sulser) from CLE / Minor RHP
これがカルロス・サンタナのマリナーズでの1度目の10日在籍の有様です。
CLE復帰でシルバースラッガー賞
そして2019年、インディアンスに復帰したカルロス・サンタナは打率.281、OBP .397、SLG .515、OPS .911、34HR、93 RBIというとんでもない数字を出し、1BとしてALのシルバースラッガー賞を受賞。MVP投票も16位に入りました。
そして短縮シーズンとなった2020年は60試合すべてに出場。これがインディアンスでの最後のシーズンとなりました。
2020年オフ、インディアンスからFAとなったカルロス・サンタナはロイヤルズとサイン。
2021年も158試合に出場。ただ、打率は下がってきました。.214/.319/.342、HR 19、RBI 69。
そして2022年はロイヤルズで開幕を迎え、6月末にマリナーズへ移籍。ここでようやくシアトルでプレーするに至ったのでした。この年は両クラブで131試合に出場し、打率.202、OBP .316、SLG .376、HR 19、RBI 60。ちなみにマリナーズでは打率が.192でした。なお、HR19本のうちマリナーズ移籍後に15HRを放っています。
上述の通り、やはりだんだんと打撃は落ちています。メイン1Bとしての出場に期待がかかりますが、チョイとの併用ということになるかもしれません。
パイレーツ、未だ79M以下
まだまだ編成をし始めたところですが、現時点でのパイレーツの40manの見込みペイロールは$69.3M。2022年のサラリーは$74.6Mでした。
ひょっとしたら、今オフのFAの記事でパイレーツを取り上げるのはこれが最後になるかもしれません。
パイレーツ、ひょっとしたら、レイズのようにスーパー・レバレッジを効かせて大躍進するかもしれません。それにはやはり投手力なので、投手に投資しない限り躍進はないかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
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