次世代スター候補のアリゾナ・フォール・リーグMVP
現地2022年11月13日、MLBの次世代スター候補が集うアリゾナ・フォール・リーグ(通称: AFL)が閉幕しました。
今季は10月3日からスタートし、30試合に加えてHRダービー、オールスター(Fall Starという名称)、セミファイナル、ファイナルと1チーム当たり計32-33試合ほど行われました。
2022年のクラブ構成
アリゾナ・フォール・リーグは計6チームでプレーするのですが、6チームの中に複数のクラブが混在します。各クラブともに7名のプロスペクト達を供給します。
MLBのどのクラブがAFLのどのチームに配置されるかはだいたいは決まっているものの、数年単位で見ると、シャッフルは行われています。2022年のチーム分けはご覧の通り。ちなみに2018年の場合はこちらを。
2022年から1リーグ制
なお、計6チームで3チームずつ2リーグ構成でしたが、2022年からは1リーグ構成に変更となりました。そして上位3チームがポストシーズンに進むという仕組みとなっていて、まずはセミファイナルとして2位と3位が試合をし、次にファイナルとして1位とセミファイナルでの勝者が対戦する仕組みに。セミ・ファイナル、ファイナルともに1ゲームでの決戦です。6チームへのチームの割り振りは2021年と同じでした。
- メサ・ソーラーソックス :CHC/MIA/OAK/NYY/TB
- ソルトリバー・ラフターズ: ARI/COL/DET/STL/TOR
- スコッツデール・スコーピオンズ:ATL/BAL/BOS/LAA/SFG
- グレンデール・デザート・ドッグス: CWS/CIN/LAD/MIL/MIN
- ピオリア・ハベリーナズ : CLE/NYM/SDP/SEA/WSH
- サプライズ・サグアロス: HOU/KCR/PHI/PIT/TEX
(参考)2021年の2リーグ
(AFLイースト)
- メサ・ソーラーソックス :CHC/MIA/OAK/NYY/TBR
- ソルトリバー・ラフターズ: ARI/COL/DET/STL/TOR
- スコッツデール・スコーピオンズ:ATL/BAL/BOS/LAA/SFG
(AFLウエスト)
- グレンデール・デザート・ドッグス: CWS/CIN/LAD/MIL/MIN
- ピオリア・ハベリーナズ : CLE/NYM/SDP/SEA/WSH
- サプライズ・サグアロス: HOU/KCR/PHI/PIT/TEX
アストロズが入ったサプライズが優勝
今季はサプライズ・サグアロスが優勝。構成をご覧になっておわかりのようにアストロズのプロスペクト達が集まるチームです。ワールドシリーズに出たフィリーズも入っていますね。
実戦の中で育てるというのが一番の目的になりますので、地元のファンを除けばやはり注目は各個人に集まります。
MVPはヘストン・キャースタッド
最終日を終え、MVPに輝いたのはオリオールズのプロスペクト、ヘストン・キャースタッド(Heston Kjerstad)。難読スペルで、ひょっとしたら以降は「キャースタッド」というふうになるかもしれませんが、一旦は「カースタッド」と記しておきます。(追記:キャースタッドに変更しました。)
そのキャースタッドはとにかく打ちまくりました。オープニング・デーに424フィート(129.2m)のHRを放ち、打率.357、OBP .385、SLG .622、OPS 1.007をマーク。安打数35は最多。そのほかにも二塁打9、エクストラ・ベースヒット(XBH) 5、トータル・ベース(TB)61でAFL トップ。他のカテゴリでもトップ5にランクインしました。
ヘストン・キャースタッドとは
ヘストン・キャースタッドは1999年2月12日生まれの23才。2023年2月で24才になります。2020年ドラフトの全体2位、オリオールズ1巡目指名のOF。右投げ左打ち。アーカンソー大学(University of Arkansas)の出身。高卒時の2017年にはマリナーズから36巡目で指名されています。
キャースタッドはアーカンソー大では3シーズンで37HRを放ち、2020年のドラフトではパワーレフティーとして大いに注目されました。
しかし、ドラフト直後に心筋炎と診断されたため、2022年までフィールドで活躍する機会を得ませんでした。この症状により、2020年にオリオールズのインストラクショナル・リーグ・プログラムに参加することも、2021年にマイナーでプレーすることもできませんでした。これが時期的にCOVID-19由来のように思えますが、定かではありません。
2022年6月にようやくプロデビュー。シングルAからハイAで65試合に出場して打率.309、OBP .394、SLG .457、5HRをマーク。今回のAFLへの参加は開幕が2ヶ月遅れた分、初めてのフルシーズンのようなものでもありました。
上の打撃を見ると、ヘッドの使い方がカイル・シュワーバーそっくりですね。遠心力を効かしてロングも軽々と打てそうです。
歴代AFL MVP
AFLのMVPがどうして注目されるかは、ご覧のリストを見ればおわかりかと。MLB.comのAFLを紹介したページでは50%がASGに出場と書いていますし、このメンバーを見ればいかに登竜門として機能しているかがおわかりいただけると思います。
- 2022: ヘストン・キャースタッド(Orioles)
- 2021: ネルソン・ベラスケス(Cubs)
- 2020: COVID−19の影響で中止
- 2019: ロイス・ルイス(Twins)
- 2018: ケストン・ヒウラ(Brewers)
- 2017 : ロナルド・アクーニャ Jr. (Braves)
- 2016: グレイバー・トーレス (Yankees)
- 2015: アダム・エンゲル(White Sox)
- 2014: グレッグ・バード (Yankees)
- 2013: クリス・ブライアント (Cubs)
- 2012: クリス・マクガイネス (Rangers)
- 2011: ノーラン・アレナド (Rockies)
- 2010: ダスティン・アックリー (Mariners)
- 2009 : グラント・デスメ (A’s)
- 2008 : トミー・ハンソン (Braves)
- 2007 : サム・ファルド(Cubs)
いい数字を残した選手
ヘストン・カースタッド以外にもいい成績を残した選手がいますので、ご紹介します。いずれもトップ、もしくは上位の数字を残した選手たちです。
打者
- 打率: .400( 70-28 ) エドゥアール・ジュリアン( Edouard Julien/ツインズ)2B
- 打率: .400 (55-22) T.J.ラムフィールド(T.J. Rumfield/ヤンキース)1B
- HR: 6 タイラー・ハードマン(Tylor Hardman/ヤンキース)3B
- HR: 6 マット・マービス(Matt Mervis/カブス )1B
- RBI: 24 ロニー・サイモン(Rony Simon/元レイズ )SS
- OPS: 1.249 エドゥアール・ジュリアン( Edouard Julien/ツインズ)2B
- 盗塁 : 16 ザック・ビーン(Zac Veen/ロッキーズ ) LF
投手
- SO : 34 コナー・トーマス(Connor Thomas/カージナルス )LHP
下記の動画がコナー・トーマス。強そうなファストボールです。とりあえず、今AFL NO.1だったかもれません。
- WIN: 3 ノア・デノイヤー(Noah Denoyer/オリオールズ)RHP
- ERA: 1.75(IP 25.2) コナー・トーマス(Connor Thomas/カージナルス )LHP
【BOS】ニック・ヨーク、【TEX】K・ロッカー
レッドソックスのプロスペクト、ニック・ヨークはビッグリーグのポストシーズンの最中、AFLで結果を出しているということで調べてみると、打率.342、OBP .424、SLG .526、HR2、RBI 18と健闘しました。
なお、レンジャーズのプロスペクト、クマール・ロッカーは6先発、14.0 IPで2勝1敗、ERA 4.50,SO18という成績でした。
以上です。オリオールズが着々と良い要素を蓄積している感じがします。
お読みいただき、ありがとうございました。
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