タティス・Jr.、80試合の出場停止へ
現地2022年8月12日、かなり残念なニュースが飛び込んできました。パドレスのフェルナンド・タティス・Jr.(Fernando Tatis Jr.)がPEDs (Performance Enhancing Drugs:禁止薬物)のテストで陽性反応。MLBの禁止薬物規定(performance-enhancing drug policy)に違反したとして80試合の出場停止処分を科されることが決まり、リストリクティッド・リスト(Restricted List)に入りました。
クロステボル(clostebol)で陽性
タティス・Jr.から陽性反応が出た物質はクルステボル(Clostebol)という物質で、アナボリックステロイド。アナボリックステロイドは摂取したものからタンパク質を作り出すステロイドホルモンで、本来の目的は骨粗鬆症や慢性の腎疾患、火傷などにより体力が消耗した状態を改善するために使用されるもの。悪用としては筋肉増強剤としての使用で、ドーピングとしては有名な物質。
タティス・Jr.のコメントをあとで掲載しますが、ringworm(リングウォーム)の治療に入っていたとコメントしています。リングウォームとは「白癬」。白癬とは皮膚の感染症の1つで、発症する場所によって症状の名が変わります。
サスペンション期間:2022シーズンはPSもアウト
処分の80試合ですが、直ちにスタートとしたようです。
パドレスは現地2022年8月11日時点で114試合を消化。したがって現地2022年8月12日から残り48試合、そして2023シーズンの32試合で計80試合の出場停止処分に。2023年5月の初旬に明けることになります。
パドレスは現地2022年8月12日時点で64勝51敗でナ・リーグ西地区2位。ドジャースが圧倒しているので仮にポストシーズンに出場するなら、ワイルドカード枠での出場ということになりそうで、現時点ではワイルドカード3枠目。レギュラーシーズンはあと1ヶ月半ほどあるので、どうなるかはその状況次第です。
タティス・Jr.はパドレスが仮にポストシーズンに出場したとしても、ゲームには出られないということになっています。
復帰が見えていただけに残念
タティス・Jr.はオフシーズンのバイク事故で左手首を骨折。ちょうどロックアウトの期間にドミニカ共和国で起こした事故で、当時、事故の件でレポーターがパドレス広報に質問した際、”which one?”というレスポンスがあったことから、複数回落ちたのではないか?とも言われていました。スプリングトレーニングでチームに報告した際に検査を実施して怪我の詳細が明らかになりました。
タティスは手術を受けて戦列を離れ、今季はまだデビューしていません。ようやく8月に入り、ダブルAのリハビリに送られ、光明が見えてきたところでした。マイナーリーグでは4試合に出場し、あと2週ほどでビッグリーグへの復帰が見込まれていた矢先の今回のPEDs使用のサスペンションでした。
打線活性化の鍵でもあった
パドレスはトレードデッドライン後、8月3日から10日までの8試合で3勝5敗と大苦戦。しかも4日から8日までは5連敗を喫しておりました。この5連敗中は、3点、1点、3点、0点、0点と、とにかく打線が打てない状態で、投手を泣かせておりました。
9日、10日は2連勝で、2試合で20得点するなどやや上り調子でもあります。
トレント・グリシャムが.Av195、ウィル・マイヤーズがAv.233ととにかく苦戦しております。
ここでタティスが復帰すれば9月から大いにスパート出来る!そう目論見を立てることが出来ておりました。ほんとうに残念。
本人のコメント
なお、本人のコメントは選手会を通じて出されております。
The Major League Baseball Players Association issued the following statement on behalf of Fernando Tatis, Jr.: pic.twitter.com/gCNVcs0a5Y
— MLBPA Communications (@MLBPA_News) August 12, 2022
反省はしているようです。
長期契約への影響
フェルナンド・タティス・Jr.とパドレスは現地2021年2月に、14年/$340M (2021-34)という契約でサインしたばかり。当時、MLB史上3番目の高額契約で、SSとしてあるいはMLS 2.000 以下の選手としては最大規模の契約でした。
このサスペンション期間はサラリーは支払われません。
ただし、サラリーの設定は最初は低めに、徐々に高額へと移行する内容ですから、パドレスの財布にはあまりインパクトを与えません。
【支払いスケジュール】
- サイニング・ボーナス:$10M
- 2021: $1M
- 2022: $5M
- 2023: $7M
- 2024: $11M
- 2025-2026: $20M/年
- 2027-2028: $25M/年
- 2029-2036: $36M/年
2029年からの7年間はクラブとしてはかなりキツめですが、A.J.プレラーはオプトアウトなどは入れておりません。
そしてトレードは以下の規定です。
- 2021-28: 全クラブをブロック
- 2029-34: 年間13クラブをブロック
いずれにせよ、サラリーが高くなってからの話ですから、「タティスとともに」という契約内容になっています。
ブレーブスとアクーニャの絶妙な設定
タティスは年齢的な未熟さゆえの一連のトラブルなのか、それともラグジュアリー契約を結ぶとこうなるのか?そこははっきりしませんが、その両方かもしれませんね。
その点で、ブレーブスとアクーニャの契約は絶妙かもしれません。2019年から2026年までの8年間で$100M。
- 2019: $1M
- 2020: $1M
- 2021: $5M
- 2022: $15M
- 2023: $17M
- 2024: $17M
- 2025: $17M
- 2026: $17M
- 2027: $17M (クラブオプション or $10Mバイアウト)
- 2028: $17M (クラブオプション)
この契約はアクーニャに対しては安すぎるなどの批判もありましたが、FA前に高めに設定して本人に大きなメリットを提供。そして2022年から一気にアップ。しかも、怪我をしたとしても、あるいは不調になったとしても、多くの人が致し方ないと我慢出来る範囲内かと思います。余計な嫉妬を受けない金額です。$30M/年を超えると、やはり色々とトラブルは出てくるように思います。ぶち破っているのはシャーザーくらいかと。
タティスがどれだけ成長するのか、見ものですね。早く復帰しなくては!と思うあまりに、焦って手を出したのでしょうね・・・と思っています。
お読みいただき、ありがとうございました。
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