あまりにも不運
現地2022年8月10日、デトロイト・タイガースはベースボール・オペレーションのエグゼクティブ・バイス・プレジデントでGMのアル・アビーラを解雇したとアナウンスしました。
いわゆる編成のトップの解雇です。一応、アル・アビーラの英語でのタイトルはこちらです。
- Executive Vice President, Baseball Operations/General Manager
新GMを模索
タイガースのチェアマン兼CEOのクリストファー・イリッチは新GMをこれから探すと発表。新GMが決まるまでは現アシスタントGMのサム・メンジンがそのロールを担うこととなりました。
アル・アビーラのキャリア
アル・アビーラはキューバ出身です。元プロ野球選手で、捕手でした。1977年、当時ドジャースのルーキー・リーグで、カナダにあったレスブリッジ・ドジャースに在籍。現役はこの1年のみのはずです。
現役引退後、1987年にホワイトソックスのアフィリエイトであったフロリダのデイトナビーチ・アドミラルズでGMロールを経験。1989年から1992年までセント・トーマス大学のヘッドコーチを務めました。
本格的にメジャーリーグのフロントに入ったのは1992年6月。フランチャイズ拡張でフロリダ・マーリンズができることとなり、アル・アビーラは中南米のアシスタント・ディレクターとして加わり、1994年に同部門の責任者に昇格。ちなみにマーリンズのシーズンスタートは1993年です。
ミゲル・カブレラを発掘
1998年にマーリンズのスカウティング・ディレクターに昇格。この時、獲得したのが16歳のミゲル・カブレラでした。ミゲル・カブレラとは後に非常に深い付き合いとなりました。
2001年にマーリンズの臨時GMに就任。
2002年1月に、ピッツバーグ・パイレーツのGMのスペシャル・アシスタントとして採用されましたが、その3カ月後の同年6月にデトロイト・タイガースに請われ、GMのスペシャル・アシスタントとして稼働。
よって、タイガースには2002年から在籍し、今年で20年になります。
なお、タイガースはアル・アビーラを手放したくなかったため、2005年以降は他クラブからのインタビューをすべて断っています。結果、アル・アビーラはタイガースで内部昇格を果たしていくことになりました。
ドンブロウスキに10年
これだけ力があるなら、GMをやらせれば良かったと思うのですが、タイガースはアル・アビーラを獲得してすぐにデーブ・ドンブロウスキをGMとして採用。アル・アビーラはアシスタントGMとしてデーブ・ドンブロウスキの補佐を10年以上務めました。その間、タイガースは2006年にワールドシリーズに進出。カージナルスに1勝4敗で敗れました。
また、ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザーがピークとなった2011年から2014年は4年連続で地区優勝。2012年にはワールドシリーズに進出。しかし、ジャイアンツに0勝4敗でスイープされ敗退となりました。
2015年8月4日にデーブ・ドンブロウスキがタイガースから解雇された後、アル・アビーラは現ポジションに就任。以来、現地2022年8月10日までその役割を担っておりました。
リビルドがうまく行かず!
2015年にタイガースは最下位に終わり、アル・アビーラは積極的にリビルドに取り組みました。RHPのジョーダン・ジマーマン、OFのジャスティン・アップトンをFAで獲得。さらにクローザーのF・ロッドことフランシスコ・ロドリゲスとCFのキャメロン・メイビンをトレードで獲得しました。またマイク・ペルフリー、ジャスティン・ウィルソン、マーク・ロウ、捕手のジャロッド・サルタラマキアらも獲得。
タイガースの中心選手であるミゲル・カブレラ、ビクター・マルティネス、J.D.マルティネス、イアン・キンスラー、ジャスティン・バーランダーを温存して彼らを補強したことはなかなかの手腕だったと思います。
息子のアレックス・アビーラを手放す
2015年に捕手のジェームズ・マッキャンが台頭。この時、アル・アビーラは息子のアレックス・アビーラを手放す決断をしています。公私混同はせず。
2017年からリビルドが本格化
タイガースは主力がベテランになってきたことからリビルドを再考。
2017年の半ばには、J.D.マルティネス、ジャスティン・アプトン、ジャスティン・バーランダーらがプロスペクトとトレードされました。シーズン終了後にはイアン・キンスラーも続きました。
タイガースは2017年から2020年まで4シーズン連続で勝率4割を下回る成績を記録。ミゲル・カブレラももはや中心選手ではなくなってきていました。
しかし、タイガースはドラフトでトップ・プロスペクトを獲得。2018年にケイシー・マイズ、2020年にスペンサー・トーケルソンを全体1位で指名。
2021年は77勝85敗で期待の予兆を見せ、このオフには積極的に補強。今季の優勝争いを目指しました。
2022年に向けた補強がすべて裏目
タイガースは、ハビアー・バイエスと$140M、エドゥアルド・ロドリゲスと$77M、アンドリュー・チェイフィンと$13M、マイケル・ピネダと$5.5Mでサイン。トレードではレッズからタッカー・バーンハート、レイズからオースティン・メドウズを獲得。かなり良い補強となりました。
しかし、ハビアー・バイエスは現地2022年8月10日時点で、96試合、打率.220、OBP .262、SLG .372、HR 10と今一つ波に乗れず。これはまだ良い方です。
E・ロッドは怪我と個人的な問題で8試合しか先発しておらず、チェイフィンは好投しているものの、契約の2年目をオプトアウトすることができるため、このオフはその権利を行使する可能性が高いです。
マイケル・ピネダは怪我のため10試合しか先発出来ておらず、2022年のERAは5.27。タッカー・バーンハートは.打率.198、オースティン・メドウズは怪我のため36試合の出場にとどまっていて、とにかくすべてが裏目でした。
スペンサー・トーケルソンは開幕ロースターに入ったものの、先月にマイナー落ちするほど苦戦。ライリー・グリーンは怪我のため出遅れてデビューとなりましたが、平均以下のレベルの数字。マット マニングは、トミー ・ ジョン手術。ケイシー・マイズも怪我で機能せず。
タイガースはミゲル・カブレラの契約が2023年に切れるため、その後をターゲットに再度リビルドに入る予定です。
今季がちょっと不運過ぎました。
お読みいただき、ありがとうございました。
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