SFG、ハイ・クオリティー・ゲームに勝利
現地2022年8月8日、ジャイアンツ@パドレスのゲームは唸ってしまうほど、ハイ・クオリティーなゲームでした。
このゲームには大きな分岐点がいくつかありましたが、やはり最後の結末に驚かされた方も多かったのではないでしょうか?
9回裏、ジャイアンツがパドレス打線からたった1点を守りきれるかどうか?という場面。しかも、パドレスはフアン・ソト、マニー・マチャードそしてジョシュ・ベルが控えるというターンでした。かなりの方がパドレスのサヨナラ勝利を予想したと思うのですが、それを力でねじ伏せたのがジャイアンツのクローザーのカミーロ・ドバル(Camilo Doval)でした。
予想外と言えるほどの結末だった
カミーロ・ドバル、渾身の103MPH
9回のマウンドに立ったカミーロ・ドバルは、先頭のフアン・ソトに対して、シンカーを連発。いずれも98mphを超える剛速球でした。そのソトは3球目のやや甘めのボールを叩いたものの、2Bゴロに倒れて1アウト。
つづくマニー・マチャードには99.2mphのシンカーで仰け反らせておいて、最後は89.1mphのスライダーでSSライナー。パドレスは追い込まれてしまいました。
そして、ジョシュ・ベルにはアウトコース主体でシンカーで押しまくり、3球で2ストライクに。そして最後はアウト・ハイへの102.9mphのなんとカットボールで空振り三振。
カミーロ・ドバルはパドレスの強烈な2、3、4番をわずか12球で打ち取ったのでした。ジョシュ・ベルには6球中、4球が100mph超えという凄まじい剛球で、MLBファンに大きなインパクトを与えました。
シンカーという武器を手にしたドバル
カミーロ・ドバルは2021年までスライダー、もしくはカットボールが多めの投手でした。4シームももちろん速くてアベレージで97.8mphを出していました。
2022シーズンになり、増やしたのがシンカーです。日本流で言うと2シーム、シュートの動きをするボール。今季はこれが際立って素晴らしく、現時点では絶好調の状態。捕手のジョーイ・バートもシンカーを主体に組み立てていると言っていました。
これがえげつなく決まっています。大きな武器を手に入れましたね!
速すぎるカットボール
そして昨年までも投げていたカット・ボールも今季はどうやら球速が上がっています。
カット・ボールというと、スライダーと同じ方向に曲がるボールで、スライダーよりも速くて、より曲がりが小さいという認識があると思います。代表的なカット・ボーラーとしてはマリアーノ・リベラやケンリー・ジャンセンが挙げられますが、彼らのカットボールの軌道は打者の手元に来てビデオゲームのようにグイッと急激に曲がる軌道です。
ところが、カミーロ・ドバルの場合、この日のファイナル・ショットを見てもおわかりの通り、とにかく速い!スライダーのような軌道をたどるボールはスピードが落ちて当然かと思うのですが、ドバルの場合はむしろカットの方が速いです。この辺が信じられないところです。スタット・キャストではカット・ボールのアベレージが99.2mph、シンカーが98.4mphです。
よって、ここ最近はもう4シームはほとんど投げておらず、ファストボールはシンカーかカットボールです。
しかし、ソト、マチャード、ベルの3人を力でねじ伏せたのは本当にすごかったですね。
スーパー・リレー
このゲームの質を高めたのは2人の先発投手。ジャイアンツのアレックス・ウッドとパドレスのブレイク・スネル。
アレックス・ウッドに至ってはパドレス打線を6.1イニングで被安打3、スコアレス、BB 0というほぼ完璧な内容。
ブレイク・スネルは4イニング目にロンゴリア、J.D.デービス、クロフォードに3連打を許し、タイロ・エストラーダに犠牲フライを打たれ1点を許してしまいましたが、スライダーがよく切れて、流れを完全に渡しませんでした。
そんな緊迫した雰囲気の中、ジャイアンツの守備が光りました。
7回裏、パドレスは新戦力のブランドン・ドゥルーリーが1アウトからシングルで出塁。ここでジャイアンツはアレックス・ウッドからジョン・ブレッビアにスイッチ。
その代わりばな、ブレッビアは6番打者にLF線に運ばれます。これで1Bランナーのドゥルーリーが本塁へ突進。パドレスが同点に追いついたと思ったその時、ジャイアンツはLFのルイス・ゴンザレスが最小限の動きでボールを中継に送球。これをブランドン・クロフォードがこれまた最小限の動きでホームへストライク送球。一旦はジャッジが手を横に広げましたが、捕手のジョーイ・バートがすかさずリクエストをベンチに要求。
チャレンジの結果、ホームはアウトに。ホーム送球の間、バッターランナーは3Bに進塁していたものの、その後はブレッビアがジェイク・クロネンワースを打ち取り、ピンチを脱しました。
大きなプレーでしたね。さすがメジャーリーガーというしびれるプレーでした。
ジャイアンツは8回はアンダースローのタイラー・ロジャースが無失点に抑え、ホールド。最後はカミーロ・ドバルの上記の投球でパドレスの反撃を封じ、1-0という渋いスコアでパドレスに勝利しました。
ジャイアンツ、わずかな希望の火をつなぐ
この日の勝利により、ジャイアンツは54勝55敗と借金1の状態に。
ナ・リーグのワイルドカード・スポットはブレーブス、フィリーズ、パドレスの順で、ブルワーズがパドレスと1.0ゲーム差、その後をジャイアンツが5.5差(WC3枠目まで)で追っています。
この日敗れていたなら、プレーオフへの火は消えたも同然だっただけになんとか首の皮一枚の可能性を残しています。
ジャイアンツは雰囲気がよくなってきました。1番はシンカーを手にしたカミーロ・ドバルの存在ですが、タイラー・ロジャースも復調傾向、そして打線もJ.D.デービスが入ったりと既存のプレーヤーを刺激しています。
すぐに火は消えるかもしれませんが、非常に良い傾向にあることは記しておきたいです。
パドレス、TDLの効果を疑われる
トレード・デッドラインで大躍進したパドレスでしたが、この日の敗戦で8月4日以降は5連敗。この5連敗の中にはライバルのドジャースにスイープされた3連敗を含まれています。
ちょっと打撃が不振で、この日の敗戦で2戦連続シャットアウト負け。「打線を強化したのに!」というファンの声が聞こえて来そうな結果となりました。
TDLであれだけ動きましたから、どこもパドレスは警戒しているとは言え、今ひとつ爆発できておりません。タティス・Jr.が復帰すれば状況は変わるかもしれませんね。タティスのヒーローとしてのお膳立ては整いつつある、そう見た方が良いかもしれません。
ジャイアンツも一戦一戦が大事になってきました。ここを踏ん張れるか、注目です。
お読みいただき、ありがとうございました。
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