インタビューで私見を語る
少し前のお話になりますが、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏が、MLBの新制度について語る記事が出ました。
結論から言うと、決定事項ではなく、私見です。記事が出たのは現地2022年6月30日のことで、ロボ・アンパイアーを2024年までに導入すること、ピッチ・クロックを導入すること、そして32クラブへの拡大プランを述べたものでしたが、これはESPNのドン・ヴァン・ナッタ・ジュニア記者のロングインタビューで出たことです。
私見でもありますし、トピックとしては何年も前から出ていたものばかりで驚くものではありませんでしたが、ただ、データが蓄積されてきた項目やさらに新CBAではコミッショナーに45日前通告により新ルール導入の権限が与えられているので(選手会もCBA交渉は譲歩したポイント)、現実味を帯びてきている面もあるので、主要トピックを見ていきたいと思います。
ロボ・アンプの導入(2024年までに!)
インタビューではまず、マンフレッド氏はロボ・アンパイアの導入を2024年までに実現したいとの考えを示しています。
インタビューしたESPNによると、ABS(Automated Ball/Strike System)という自動化されたシステムがすべての球種をコールし、ボールとストライクをイヤーピースでホームプレート審判に伝えるというもの。この仕組自体はすでにマイナーでも導入済み。
導入当初は高さやチェックスイングの判定に難ありではありました。
また、ボールとストライクをリプレイで確認し、各監督が1試合に数回チャレンジするシステムの導入も考えられています。
今でもボールとストライクをめぐる選手とアンパイアの争いは大きいですから。
MLBのデータによると、今シーズンの平均試合時間を9分短縮したとのことです。ここが時間短縮を大きな命題としている同氏がロボアンプを導入したいと思っている点でもあります。
新CBAではコミッショナー権限で導入を発動できそうですが、さすがに選手会にもある程度のお伺いは立てると思います。
ピッチクロック
また時短の大きなツールでもあるピッチクロックはデータが出ました。投手の投球間隔はピッチクロックを導入すれば、ランナー無しの状態では14秒、ランナーがいる状態でも18秒から19秒という数字が出ました。ESPNによると、現在の平均投球間隔は23.8秒。
約30分の時間短縮が見込まれます。
ピッチクロックの導入時期は明らかになっていませんが、これはかなり早い段階で実現しそうです。
32クラブ拡大の方針
またインタビューではMLBのフランチャイズを現行の30から32に拡大するプランも出ています。
このトピックはストリーミング配信のブラックアウトの話題から派生したもでした。
ストリーミングのブラックアウトとは?
MLBのストリーミング配信ではブラックアウト・ポリシーというのがあります。これはNFLなどでもあるのですが、MLBの場合、地元のローカル放送とTBSなどの全国放送が同一の試合を放送する際に、ローカル放送を受信できるエリアは全国放送分がブラックアウトされる(放送させない)というもの。言わば、地元メディアを優先している考え方です。
ストリーミングのブラックアウトを廃止したい
マンフレッド氏はまた、この話題は、6月のオーナーズミーティングで主要な議論となったと述べ、放送局との契約にブラックアウト条項が盛り込まれていることを指摘した上で、MLBにとってもこれを段階的に廃止することが「最優先事項」であると語っています。
このブラックアウトは正直、日本でMLB.tvを見ている分にはあまり不便さを感じないので、実感が湧かないのですが、アメリカではストリーミングの規制の解除を求める声があるというくらいに思っておいていいのでは思います。
ただ、ローカル放送局の広告収入が減りますから、既得権益とは言え慎重にやるべきでは?とも思います。
32クラブにしたい!
そして件について、マンフレッド氏は、多くの億万長者がストリーミング配信に興味を持っており、クラブ拡大への需要があることを明かし、「32球団にしたい」とも述べております。
数年前から候補として上がっているのはポートランド、ナッシュビルそしてシャーロットです。現フィリーズのベースボール・オペレーション社長のデーブ・ドンブロウスキ氏は、就任前、ナッシュビルの新クラブ設立に向けて動いているグループに参加しておりました。
なお、アスレチックスとレイズの動きにも影響が出るかもしれません。MLBはアスレチックスに対してラスベガスへ移転したとしても費用は請求しないとの見解をしてしています。オークランドで新球場を作るプランも進む中、どう動くのかというところですが、レイズとアスレチックスはあくまで移転に関してなので、拡張に関してはまた別のクラブということになります。
ピート・ローズ好き?
なお、マンフレッド氏は今後、ピート・ローズの名誉回復にも動くかもしれません。
これも割と頻繁に出てきた話題ではあります。監督在任中に野球賭博に関わっていたことが発覚したピート・ローズは、1989年に永久追放処分を課されております。
ローズはMLBに3度目の復権嘆願書を提出したと伝えられており、彼の弁護士は、サイン・スティーリングでヒューストン・アストロズへの制裁がないのに、ローズが制裁されるのは不当であると主張・・・いやいや、アストロズは関係者のサスペンションから、ドラフト放棄までかなり制裁を課されていますけどね。
MLBはロトとも近くなっています。しかし、野球と賭け事を遠ざける理由はフィールドのプレーに外部圧力がかかることをなくすためです。
いずれにせよ、マンフレッドはローズの言い分を聞く気でいるようです。ここは勝手にしろというところですね。
以上、決定事項ではなく、実現の可能性が高いのはピッチクロック、ロボ・アンプの順。ロボ・アンプの2024年導入はあくまでコミッショナーの希望的時期。32クラブはもう少し先というところでしょう。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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