ホットなレンジャーズ、5割まであと1勝!
5月半ば以降、レッドソックスの打線復活についつい気を取られてしまっておりましたが、実は目立たないながらも「あ、来たな!」と思わせる戦いぶりを繰り広げているのがテキサス・レンジャーズです。
現地2022年5月30日、グローブ・ライフで行われたレイズ戦では初回、レンジャーズのCF、イーライ・ホワイトがあわや3ランHRになろうかというHR性の打球をリーピング・キャッチ。これがもう額に入れて飾りたくなるくらいの素晴らしいプレー。
この伸び上がりは今のレンジャーズを象徴するようなプレーでもありました。
このゲームの詳細の前にここまでのレンジャーズの流れを見てみます。
アグレッシブな開幕から一転、打線が沈黙
レンジャーズはこのオフにマーカス・セミエン、コーリー・シーガーと大物野手を次々と獲得したのはご承知の通りです。これはとんでもない攻撃力になるなと。しかし、予想通り、投手力の整備までは追いつかず、大味なゲームが続くシーズンスタートとなりました。
「やはり打つなあ」と感心させた開幕シリーズから一転、打線は水モノという言葉通り、レンジャーズは打線が沈黙するようになり、気づけば4月のチーム打率はMLB23位の.219。おまけに4月のチームERAはMLB27位の4.57。これでは勝てません。もうライバル、エンゼルスの引き立て役のような存在になってしまいました。
リーダー、セミエンがスロースタート
本来なら打線、守備を引っ張る役割を担うマーカス・セミエンがとにかくスロー・スタートとなってしまいました。4月の成績は打率.157、OBP .226、SLG .217、OPS.443。21ゲームで13安打しか放っていないのですから壊滅的な数字です。これはやはりロックアウトが99日も続き、スプリング・トレーニングが短縮された影響もあったでしょう。打線を分断する存在に。
セミエンの不調、投壊もあって4月のチーム成績は、7勝14敗と大きく負け越し。大苦戦のレッズよりはマシ(4月は3勝)というスタートとなりました。
5月に入り、チームは上向き
スタートに躓いたレンジャーズでしたが、5月に入り、全体の歩調を整えるようにチーム力は上がってきました。
5月のチームERAはMLB5位
まず、守りの方ですが、5月はまだあと1日残しておりますが、現地2022年5月30日終了時点で5月のチームERAは3.45で、これは両リーグ合わせて5位!特に前年レッドソックスにいたマーティン・ペレスがいい活躍を見せており、シーズンERAは1.60。
おそらくレンジャーズはFAで獲得したジョン・グレイを中心にローテーションを考えていたと思いますが、ジョン・グレイはむしろローテーションの後塵を行くという立ち位置です。
またクローザーはジョー・バーローが担っていますが、ERA1.65、8セーブと安定しております。
セミエン、復調の兆し
そして打線です。開幕当初、打ちまくっていたブラッド・ミラーは現時点ではILに退いております。しかし、コーリー・シーガーを中心につながりが出てきました。大谷戦でもよく打っているジョナ・ハイムが捕手として完全にポジションを得ました。ミッチ・ガーバーはほぼDHに専念。
心配されていたマーカス・セミエンは5月の成績は打率.230、OBP .291、SLG 310。まだまだ低空飛行ではありますが、これを15日以降の後半に絞った場合、打率.283、OBP .353、SLG .400とノーマルな数字に戻ってきました。これから彼が復調すると、レンジャーズは手がつけられなくなるでしょう。
レンジャーズ・ナイト
さて、現地2022年5月30日のレイズ戦に話題を戻したいと思います。
1回表、レンジャーズ先発のグレン・オット(実況の発音はオトー)が1アウト1、2塁のピンチを迎えます。立ち上がりですから、こういうこともあります。そのピンチでオットはチョイにほぼど真ん中の失投を投げてしまい、これで3ランHRになるかと思われました。スタジアムは悲鳴に。
ところが、CFのイーライ・ホワイトがこの打球をしっかりとロックオン。そして素早くフェンスまでたどり着き、ドンピシャのタイミングでリーピング。フェンスの上部から腰まで出るくらいによく伸び上がりました。上の動画の通りです。
この完全にHRになったであろう打球をイーライ・ホワイトが好捕したことでスタジアムは悲鳴から賞賛へ。初回からスタジアムは大いに盛り上がりました。思えば、アーリントンの時からレンジャーズ・ファンは熱心な人が多いんですよね。
レンジャーズは大量失点につながるところを無失点に抑え、弾みをつけました。
ちなみにイーライ・ホワイトはジュリクソン・プロファーがレンジャーズからアスレチックスにトレードされた時の交換要員の一人でした。
グレン・オットが6回、2失点
このゲームはレンジャーズの良いところがふんだんに出たゲームでしたが、まず先発のグレン・オットが初回のイーライの好捕に救けられたこともあり、6回まで投げぬき、レイズ打線を2失点に抑える好投。ここまでゲームメイクしてくれれば今のレンジャーズには有利に働きますね。
ホワイト、ハイムがHR
レンジャーズは初回、レイズ先発のドリュー・ラスムッセンの制球難につけ込み、コール・カルフーンの2点タイムリーで先制。
そして2回裏にはイーライ・ホワイト2ランHRを、そして3回裏にはジョナ・ハイムがソロHRを放ち、序盤3回を終え、5-1とリード。
6回表にはマーカス・セミエンのタイムリーも出ました。
ジョシュ・スミスがメジャー・デビュー
前後しますが、2回裏、イーライ・ホワイトの2ランHRの直前、ランナーに出たのがジョシュ・スミスでした。ジョシュ・スミスは2019年アマチュア・ドラフトでヤンキースから2巡目指名された右投げ左打ちの3B。
ジョシュ・スミスはジョーイ・ギャロとのトレードでTEXへ
レンジャーズに移籍してきたのは2021年のトレードデッドライン。ヤンキースがレンジャーズからジョーイ・ギャロと左腕のジョーリー・ロドリゲスを獲得したトレードで動いてきました。このトレードにはこの日先発したグレン・オットも入っていましたので、移籍組が揃って出場、活躍ということに。
この日がメジャー・デビューとなったジョシュ・スミスは第1打席でメジャー初ヒットを記録。RFへのシングルヒットでした。ジョシュ・スミスはこの日、フル出場を果たし、第2打席では三振、第3打席ではLF前シングル、第4打席ではCF前シングルを放ち、この日は4-3。素晴らしいデビュー戦を飾りました。
マット・ムーア、ピリッとせず
好投したグレン・オットを継いだのはマット・ムーア。この日は打者5人に対し、被安打4、与四球1とピリッとせず、1つのアウトを取れませんでした。
8回表にはマット・ブッシュが上がり、2連続奪三振を含む三者凡退でまとめました。
9回表にはジョー・バーロウが登板。被安打2を許したものの、無失点に抑え、レンジャーズが9-5でレイズを下したのでした。
ザック・レクスが好返球
なお、3回表のレイズの攻撃で、2アウトからチョイがLFへ2塁打になろうかという当たりを放ったのですが、レンジャーズLFへのザック・レクスが2塁へ好送球。バッターランナーをアウトにし、チャンスの芽を摘み取りました。
このように、このゲームはレンジャーズの良いところが満載のゲームとなりました。
レンジャーズはこれで23勝24敗とし、勝率5割まであと1勝まで迫ってきました。ア・リーグ西地区はこれでますますヒートアップしてきましたね。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント