2022年初のノーヒッター
現地2022年4月29日のゲームになりますが、ニューヨーク・メッツが地元シティ・フィールドでフィリーズを相手にMLBで今季初のノーヒット・ノーランを達成したのはご承知の通りです。
メッツのノーヒット・ノーランは2012年6月1日に、左腕のヨハン・サンタナがカージナルスを相手に達成して以来、約10年ぶりのこと。今回のノーヒット・ノーランはコンバインドでの達成となります。
タイラー・メギル、5戦で4勝0敗
まず、メッツ先発のタイラー・メギルの投球が良かったですね。今季の投球は素晴らしいに尽きます。ジェイコブ・デグロムが肩の故障、マックス・シャーザーはハムストリングス痛などで今季のオープニング・ゲームを任されたタイラー・メギルは、戦前の予想を覆す素晴らしい投球を披露。
201cmの長身を折れ曲げることなく、スムーズに体を動かし、回転レートも良さそうな品のあるボールを投げ、ナショナルズとの開幕戦に5イニング、被安打3、失点0で勝利。今季はこのゲームを含めて5戦に登板して4勝0敗で、ERAは1.93。しかも、彼が先発するゲームにメッツはすべて勝っているという、メッツの好循環を担った投手でもあります。
この日も5イニングを投げ、与四球3は出したものの、奪三振5をマークし、5回裏の味方の攻撃が実を結ぶまで見事に持ちこたえました。タイラー・メギルは2018年ドラフトのメッツの8巡目指名の投手です。
ドリュー・スミス、流れを切らさず
また、もうひとり取り上げたいのが2番手で登板したドリュー・スミス。6回のイニングの始めから登板し、まず先頭のジーン・セグラを空振り三振に。実は、筆者はドリュー・スミスでノーヒットは途絶えると思っていました。というのは、先頭のセグラにファウルで粘られ9球を費やしていたからです。これは合うなと思ったところ、最後のスライダーがむしろ浮いて奏功したという投球でしたが、粘り負けしませんでした。
ドリュー・スミスは6回にハーパーには四球を出したものの、7回1アウトまで4つのアウトはすべて三振。
ドリュー・スミスは2015年ドラフトのタイガースの3巡目指名。2017年1月にトレードでレイズに移籍した後、同年のトレードデッドラインでレイズがルーカス・デューダを獲得したトレードでメッツに移籍。デビューは2018年でメッツです。
その後は7回1アウトから8回1アウトまで左腕のジョーリー・ロドリゲス、8回の残り2アウトをセス・ルーゴが、そして9回は今季復調したエドウィン・ディアスがハーパー、カステヤーノス、リアルミュートという怖いターンを三者連続三振に斬ってとり、見事にノーヒット・ノーランの達成となりました。
苦心のノーヒッター:5人コンバインド、159球
今回のノーヒット・ノーランは上記の5人によるコンバインド。今季はレイズが現地2022年4月23日のトロピカーナで行われたレッドソックス戦で9イニングでのノーヒット・ノーランを達成。ただ、このゲームはレイズも無得点だったことから、延長のオートマティック・ランナーのいる戦いに突入。結果、3-2でレイズが勝利しました。よって、ノーヒット・ノーランとは記録されないことに。
メッツのコンバインド
今回のコンバインド・ノーヒット・ノーランはノーヒット・ノーランとしては非常に苦心したものでした。球数159球というのは、ノーヒット・ノーランの中でもかなり多い記録となります。BB6というのはフィリーズ打線に対していかに慎重に投球したか?がわかる数字になっています。ちなみに、下記のBFとはBatter Facedで対戦した打者の人数となります。
Pitching | IP | BB | SO | BF | Pit |
---|---|---|---|---|---|
タイラー・メギル | 5 | 3 | 5 | 18 | 88 |
ドリュー・スミス | 1.1 | 1 | 4 | 5 | 36 |
ジョーリー・ロドリゲス | 1 | 2 | 0 | 4 | 17 |
セス・ルーゴ | 0.2 | 0 | 0 | 2 | 5 |
エドウィン・ディアス | 1 | 0 | 3 | 3 | 13 |
Total | 9.0 | 6 | 12 | 32 | 159 |
過去のコンバインドで最多は6名
コンバインド・ノーヒット・ノーランで過去最多は6人のリレー。これが2度達成されています。直近の分から記載してみます。
(1)2012年6月8日のマリナーズ
2012年6月8日のドジャース@マリナーズ戦で、マリナーズがドジャースを1-0のスコアで下し、6名のリレーでコンバインド・ノーヒッターを達成。実に小刻みにつなぎました。
Pitchers | IP | BB | SO | BF | Pit |
---|---|---|---|---|---|
ケビン・ミルウッド | 6 | 1 | 6 | 18 | 68 |
チャーリー・ファーブッシュ | 0.2 | 0 | 1 | 3 | 10 |
スティーブン・プライアー | 0.1 | 2 | 1 | 3 | 15 |
ルーカス・リットキー | 0.1 | 0 | 0 | 1 | 3 |
ブランドン・リーグ | 0.2 | 0 | 1 | 2 | 9 |
トム・ウィルヘルムセン | 1 | 0 | 0 | 3 | 9 |
Total | 9.0 | 3 | 9 | 30 | 114 |
(2)2003年6月11日のアストロズ
もう1ゲームは、2003年6月11日のアストロズ@ヤンキース戦。スコアは8-0でアストロズが勝利。ご覧の面々でつないでいます。懐かしい名前がありますよ。
Pitchers | IP | BB | SO | BF | Pit |
---|---|---|---|---|---|
ロイ・オズワルド | 1 | 0 | 2 | 3 | 21 |
ピーター・マンロー | 2.2 | 3 | 2 | 13 | 57 |
カーク・サールース | 1.1 | 0 | 1 | 4 | 16 |
ブラッド・リッジ | 2 | 0 | 2 | 6 | 23 |
オクタビオ・ドーテル | 1 | 0 | 4 | 4 | 20 |
ビリー・ワグナー | 1 | 0 | 2 | 3 | 14 |
Total | 9.0 | 3 | 13 | 33 | 151 |
今回のメッツのコンバインドは四球も奪三振も多かったので、かなり球数も増えたと思います。
それにしてもこれだけ、苦心して大記録を達成すれば、メッツの団結力はますます強くなり、ちょっと手がつけられなくなるかもしれませんね。
なお、現地2022年4月30日のGame2ではフィリーズが4-1で勝利し、1勝1敗。もしも現地2022年5月1日のGame3でメッツが勝利するようなことになれば、開幕から7カード連続で勝ち越しということに。
お読みいただき、ありがとうございました。
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