ルーキー野手、大苦戦!
現地2022年4月22日、4月7日の2022シーズン開幕から16日が経過。8日に開幕を迎えたクラブも半数ほどあるので、全体としてはざっと2週間が経過したことになります。
実は2022シーズンのトップ・プロスペクトに上がっているルーキー達が大苦戦しているのをご存じでしょうか?今季のトップ・プロスペクト100のランキングはこちらのリンクをご参照ください。
ちなみに苦戦しているのは野手です。ハンター・グリーンなどハイ・ランクの投手で、デビューしている選手はなかなかいい成果を出しています。
2022トップ・プロスペクト1位のボビー・ウィット
この中できらびやかな順位にランクされているトップ・プロスペクト達は今季は開幕からメジャー・リーグに到達。
これは今オフに、CBAの交渉がありましたが、ルーキー達のサービスタイム操作をしないことでドラフトくじの報酬が与えられることに大いに起因しているとは思います。ドラフトくじやMLS操作との関連のまとめに関してはもう少しお時間をください。今、情報収集中です。
なかでも、注目されていたのがトップ・プロスペクト・ランク1位のボビー・ウィット・Jr.(ロイヤルズ)。
ボビー・ウィット・Jr.は4月7日のガーディアンズとのオープニングゲームでデビュー。しかも、1-1のタイスコアで迎えた8回裏、ランナーを置いて打席が回り、勝ち越しとなるタイムリー・ダブルを放ち、メジャー初ヒットが初RBIとなり、しかもその得点でチームが勝利するというすべてが整ってしまったデビュー戦を経験。
「ボビー・ウィット、順調だな」と思わせる活躍ぶりでした。スプリング・トレーニングでも打率.406、3HRをマークしていたのですから!
ボビー・ウィット、大苦戦!
ところが、ボビー・ウィット・Jr.が活躍したのは、このオープニング・ゲームだけ。
現地2022年4月22日を終えて、ボビー・ウィット・Jr.は46PA(打席)で44AB(打数)の7安打。打率.159、OBP .196、SLG .273、HR0、RBI 3、三振13、BB2。
OBPが.196です!これでも直近2試合でそれぞれ1安打ずつ放っているのでまだ数字が上向いた方。ちょうど10試合を経験した現地20日のツインズ戦の後には、打率が.128まで落ちていたのです。
ボビーだけではない!
大苦戦しているのはボビー・ウィット・Jr.だけではありません。上位ランクの下記の選手達も軒並み同じです。
目立つのは、下記の選手たち。特に、東京五輪にも参加し、スプリングトレーニングで3HR、打率.412をマークしたマリナーズのフリオ・ロドリゲスです。彼の場合、いみじくもボビー・ウィットと数字が似ています。
Name | Club | PA | AB | H | BA | OBP | OPS | HR | RBI |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ボビー・ウィット・Jr. | KCR | 46 | 44 | 7 | .159 | .196 | .468 | 0 | 3 |
フリオ・ロドリゲス | SEA | 52 | 48 | 8 | .167 | .231 | .439 | 0 | 4 |
スペンサー・トーケルソン | DET | 42 | 34 | 7 | .206 | .357 | .769 | 2 | 5 |
C.J. エイブラムス | SDP | 35 | 30 | 4 | .133 | .235 | .502 | 1 | 2 |
ブライスン・ストット | PHI | 31 | 30 | 4 | .133 | .161 | .328 | 0 | 3 |
タイガースのスペンサー・トーケルソンは持ち味の一発をすでに2本も放っていて、ボビー・ウィットやフリオよりは若干ましな数字を残してはいます。
そしてパドレスのC.J.エイブラムス、フィリーズのブライスン・ストットもほぼ似たような数字。
ボビー・ウィット、猛訓練中!
ボビー・ウィット・Jr.が苦戦しているのは、スライダー。
メジャーに上がり、特にボールゾーンから入っているスライダーに苦戦しています。とりわけサイドワインダー系の低目からストライクへ入ってくるコース、あるいは左投手が投げる外側のボールゾーンからフレームへ飛んでくるスライダー。バックドア系ですね。いまや右投手のアウトコースへの常道ともいうべきスライダーにも苦戦。
追いかけてしまう状態へ
これらのメジャー・レベルのボールに衝撃を受けたボビー・ウィット・Jr.は、当然、それらに対応しようとします。そうすると、今度は待てばそのままボールになるものを変化の手前でさばこうとするがゆえに、手を出してしまい、もうボールを呼び込むのではなくて、追いかけてしまうような状態に。
そうなると、ボビーにはスライダーを投げれば良いということで、相手バッテリーも弱点をついて多投してきます。しかも色々なバラエティーを加えて。
ボビーは気づけばストライク・ゾーン外のピッチに対して 41.9 % でスイング。つまりボール球を振っている確率がとんでもなく高い数字に。ますます追いかけ、もはやちょっとしたパニックのような状態に。
また別記事に仕立てますが、マリナーズのフリオ・ロドリゲスも苦戦しているのは変化球で同じような状況。
マシーン相手に懸命に調整
ボビー・ウィット・ジュニアは、ホームゲームの後などにカウフマン・スタジアムのマウンドにマシーンを置き、スライダー回転にセット。今は必死に対応しようとしています。実はスプリットもまったく打てていないのですが、投げる投手が少ないので、まずはほとんどの投手が投げるスライダーに対応中です。
成果!
その甲斐あってか、現地21日のツインズ戦で、サイドワインダーというかアンダースローのジョー・スミスから、右中間に二塁打を放ち、まずは1つの成果を出しました。
現地2022年4月22日のマリナーズ戦(ボビー・ウィット・Jr.とフリオ・ロドリゲスが対戦する裏の楽しみもあるのですが)でも、1安打を放ち、デビュー以来果たせていなかった連続試合安打という形も残せてはいます。
一つの目安は50PA
ボビー・ウィットもフリオ・ロドリゲスもそうですが、そろそろ当たりが出てくるのではないか?と筆者は思っております。
というのも例えば、ボビーの先輩に当たるジョージ・ブレットは1973年にデビューしましたが、ご覧のように今のボビーと同じような成績でスタートしました。
今話題のミゲル・カブレラもそうです。3000本安打(現地2022年4月22日時点では2,999)を数えるミギーであっても2003年のデビューはご覧の成績。
- ジョージ・ブレット(KCR) 1973年 :(13試合) 41PA/ 40AB/ 5Hits
- ミゲル・カブレラ(FL) 2003年:(10試合) 40 PA/38 AB/ 4 Hits
例えば、ロケット・スタートを切ったフアン・ソト(WSH)は12試合で43PA/38AB /13安打( 2018年)を放ちましたが、そのような選手は別にして、デビュー10試合前後は一つの壁にぶち当たるということです。
それを突破する目安がだいたい50PAであると。
ミゲル・カブレラは11試合目からマルチ安打を量産し始めました。ジョージ・ブレットの場合、シーズンまたぎとなりましたが、翌年の1974年には129安打をマーク。ただ、HRはたったの2本でした。
時代が違えば、対戦投手の質も違うので、大きなことは言えませんが、50PA前後で状況は変わってくると思われます(変わらなければすみません)。
フリオ・ロドリゲスはすでに22日のゲームで50PAに到達。ボビー・ウィットもまもなくです。きっと変化が起きるはず。ちなみに、フリオ・ロドリゲスは22日のゲームでマルチ安打を達成しています。
ボビーはスーパー・スプリント!
なお、ボビー・ウィット・Jr.はすさまじい脚力を誇ります。MLB Statcastデータでは、毎秒30フィートのスプリント速度!これはMLBトップです。上記の二塁打の走塁も速かったですよね。
守備は肩がすごい!
そして、すでに評判になっているのが肩の強さ。信じられない動作から強肩を披露済み。
メリフィールド「大丈夫だよ!彼は」
ちなみに、チームメイトで先輩のウィット・メリフィールドは、「彼はただ、ちょっとした成功体験があればいいんだよ。そうすれば、きっとうまくいくよ」 (”He just needs a little success to kind of get the ball rolling. Then he’ll be fine” )と太鼓判。本当に、ほんの少しの成功体験で変わってくると思います。実際、ジョー・スミスのスライダーをひきつけて対応しましたから。おそらく左腕のスライダーなども個別に対応していく必要はあると思いますが、まもなく夜明けは近く、少なくとも今のどん底からは抜け出せると筆者は思っております。
お読みいただき、ありがとうございました。
コメント